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全細胞を統率する2種類のシステムの違い


内分泌系は「手紙」のやりとり

まず内分泌系についてです。イメージが湧きにくい内分泌系。実はその理由は、「関係する臓器が多い」からではないでしょうか。たとえば、下垂体、甲状腺、副腎、、、などと挙げるといろいろ出てきます。これらをいちいち覚えようとすると、やはり大変。そしてそれぞれの臓器から出てくる「ホルモン」の名前を覚えようとするとさらに大変!

しかも、実は身体中の全臓器が内分泌という仕組みでやりとりをしていたりします。心臓から出るホルモンだってあるんですよ。だから厳密な意味で「内分泌のためだけの臓器」というふうに呼べる臓器は、ないんです。

だから、「代謝・内分泌」という科目は必然的に分かりにくい科目にならざるを得ません。

ですが、ここでみなさんに理解しておいてほしい**「内分泌系」というのは、「臓器同士(会社でいう、部署同士)がお互いに手紙で状況報告し合っていることを指すと思って**ください。

たとえば消化器系。食べ物を胃で十分に消化できたら、次は十二指腸に送りますよね。このとき、胃が「うちでの消化は終わったよ!次は胆嚢と膵臓、頼むよ!」という連絡を出します。こういう連絡のやりとりを担う「手紙のやりとり」がホルモンのやりとりだと思ってください。

ホルモンというのは、細胞たちが物流系に送り出す手紙です。そう、「細胞ムラ」を循環しているこの物流システムというのは、手紙を出すと目的の細胞に届くという役目も担っているのです。多くの細胞が共同で生活するために循環器系というのは必要不可欠なんですね。

では、臓器たちが互いにこれらのホルモンをやりとりしているのを、上層部で「監督」している存在はあるのでしょうか?

その答えは、「ある」んですね。臓器同士のやりとりといってもかなり複雑ですしホルモンの数もとてつもなく多い(まだ医学が見つけることに成功していないホルモンだって、まだその働きの全容が分かっていないホルモンだってあります)。これらを監督するのが、「やはり脳」なんですね。「脳は司令塔」です。

今日、この記事を読んだみなさんに覚えておいてほしい「固有名詞」が一つだけあります。それが、「視床下部」という場所です。脳みその中に「間脳」と呼ばれる場所があります。ここにある「視床下部」という場所が「内分泌系を統括する最高中枢」だということは、今のうちに覚えておいてください!

神経系は電話指示

では、神経系というのは何をしているのでしょうか?

これも実は脳を最高中枢とした全身の統括システムです。しかも、この「神経系」というのは、「物流系とはまったく別の、全身に張り巡らされた電線」なのです。

みなさんがレストランにいきます。そして最後のデザートとして目の前に「ティラミス」を出されて、「うわ、おいしそう!」と思ったとします(この過程にも神経系が関係していますが)。そしてみなさんがスプーン(フォークでもいいですが)を取ろうと利き手を動かしたとします。

その「右手を動かす」動作。それは、みなさんの脳内で作られた電気信号が神経系を伝わって右手の筋肉たちに届いています。みなさんが右手を動かそうと思ってから実際に右手が動くまでに、ほぼ時間差はなかったと思います。つまり「右手よ動け!」と思うほどの短い時間すら存在しなかったでしょう。

それだけ神経系を使った指令は早いのです。理由は、神経系を担う細胞たち(神経細胞)の特殊な構造にあります(これについては、初学者の方を混乱させたくないので、今は詳しく述べません)。

神経系には、「外部からの情報や刺激」を知覚する働きもあります。例えば、目で見たり、耳で聞いたり、鼻で嗅いだりした外部の情報はダイレクトに脳内に伝えられます。こういった「刺激を電気信号に変える」という特殊な細胞たちのおかげです。また、指で触ったものの感覚も、脊髄を通って脳に伝わります。これらもほぼ時間差なく、脳内に伝わります。

これらのシステムが滞りなく働くおかげで、わたしたち人類は天敵にいち早く気づき、生き延びてきたのですね。

脳は、これらの物流系を使った手紙のやりとり(内分泌系)と電線を使った指令のやりとり(神経系)を使いこなしている

神経系と内分泌系同士も連絡しあっているものの、こうした「ルート」と「速さ」の違いがあります。人体はこの2種類の統率系を上手に使い分けているのだ、ということを理解いただけたでしょうか?

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