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病気に共通した「仕組み」をイメージできるようになろう④

病気のパターン③炎症

さて、医療系学部のみなさんにとってはとても馴染みの深い言葉が出てきました。

今日のテーマは「炎症」です。これは一般の方々にとっても馴染みの深いワードでしょう。「虫垂炎」や「心筋炎」など、「◯◯炎」という病気の名前は良く聞きますよね。

そして、ほとんどの人が、この「炎症」が関係する病気を日常的に経験しているはずです。いわゆる風邪は「上気道炎」です。

それほど「身近」な現象なので、炎症については、ちょこっとだけでも詳しくなっておきましょう!

炎症のイメージは、「蚊に刺されたとき」のイメージ

風邪といえば、「咳が出て」「喉が痛くなって」「鼻水が出る」イメージですよね。あと微熱も出ますね。

これらの症状は、典型的には、いわゆる(新型じゃない)コロナウイルスがヒトの上気道に感染して起こす炎症の症状です。とはいっても、我々は「炎症の起こっている部分を直接見る」ことはできません。ですから、「上気道炎のつらさ」はわかっても「炎症がどんなものか」はイメージしづらいと思います。

そこで、みなさんに「炎症」をイメージしてもらいやすい例があります。それが、「蚊に刺された」あとの状態・変化です。

いかがでしょうか?あの「いまいましい」蚊に刺された後のあの痒み、そして腫れて赤ぼったくなっている状態。私は想像しただけで蚊に対する殺意がメラメラと燃え上がります(体質なのか、周りの人たちと比べて、めちゃくちゃよく刺されるんですよね。ちなみに私はB型です(笑))。

余談をしてすみません!イメージできましたか?そう、その状態こそ「炎症」です。もしくは、「顔にできたニキビ」を想像してもらっても良いかもしれませんね。

ちなみに、「コロナワクチン」の接種を受けた人は、注射された翌日くらいの「肩」の状態をイメージしたら一番わかりやすいと思います。

炎症は医学的に「腫脹」「発赤」「熱感」「疼痛」

この、「蚊に刺された場所に起こっている状態」。これをもし、蚊のいない極寒地域に住んでいるヒトたちから「言葉で教えてくれ」と言われたら、みなさんならどう伝えますか?

コロナワクチンを打った人は、打ってない人に、「肩が痛いらしいっていうけど、どんな感じになるん?」と聞かれたら、どう説明してあげますか?

「腫れて」「赤くなって」「熱くなって」「痛くなる(蚊の場合は、多くの場合は「痒い」程度)」ですね。これを「腫脹」「発赤」「熱感」「疼痛」と呼び炎症の四兆候とか言ったりします(5つ目として「機能障害」を入れるケースがあるようですが、これは、この4つの兆候が出現した「結果」生じる「アタリマエ」のことなので気にしなくて良いです)。

「炎症」は、人体が起こしている現象

この「炎症」という状態、実は、「人体が意図的に起こしている状態」だと知っていましたか?

「炎症を起こす特定の病気がある」わけではないのです。

蚊に刺されても、喉にウイルスが感染しても、顔にオデキができても、はたまた食中毒で腸炎になっても、「炎症」という現象が共通して起こります。

この「炎症」というのは、「身体の反応」なのです。何か、その場所にとって「よからぬこと(バイキンが着くとか)」が起こり、人体が「①異物を追い出し」「②壊れた部分を治す」という「おしごと」をしている状態です。

この「おしごと」が行われている状態をわれわれは「炎症」と呼んでいるのです。

「炎症」は何かが起きているサイン

この「炎症」という現象をみてわれわれ医療従事者は「◯◯炎」と呼びますが、実際には炎症そのものを問題視しているのではないのです。

「身体が炎症を起こす原因(だいたいの場合、人体にとって悪いもの)がそこにある」と認識するわけです。炎症をみたら、「その炎症の原因はなんだろう?」と考えるきっかけになるのです。もちろん、事件が起きている「現場」は、「炎症の起こっている場所そのもの」のことがほとんどです。


さて、身近な炎症という反応を、できるだけややこしい言葉を避けてイメージしやすく説明してきたつもりですが、いかがだったでしょうか?本音を言えば、伝えたいことは山のようにある。ですが、ここまで理解できれば十分だと思います。おつかれさまでした!

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