急性心不全(心不全の非代償化)の治療
心不全増悪の治療のメインは、
① 心臓を休め、
② 過剰な前負荷を点滴薬で除去する
ことです。
状態が安定してきたら、入院中に、数々の内服「心保護薬」を追加していきます。これらは再増悪予防のための薬になりますが、詳しくは「慢性心不全」を再増悪させないための薬として別記事にまとめますよ!
デコンペる
みなさんは、「デコンペる」、なんて医師が話しているのを聞いたことがあるでしょうか。"de-compensated"はいわば「非-代償」です。代償されていた心不全が、非代償化することを「デコンペる」と良く言います。喘息発作のように「心不全発作」とか、「急性心不全発作」とか言うことも多いですね。
下に参考リンクを貼ります。
では、安定していた(心疾患はあるけれどなんとか日常生活が送れていた)患者さんが急性増悪したとき、なにが起こっているのでしょうか。一言で言えば、
「『体力を上回る負荷』に対し、心臓がなんとかしようとして『前負荷』を増やそうと『無理』をしてしまった結果、体中に『Na』と『水』が過剰になってしまった状態。その『うっ血』が悪循環をもたらした状態」
です。本来(健康な心臓)であれば前負荷は増やせば増やすほど心拍出量は増えますが、不全心ではその効果は乏しく、むしろ「うっ血」を引き起こし、悪い影響がメインになってしまいます。これについて詳しく学びたい方は下記リンクからフランクスターリングの曲線の復習をしてみましょう!
急性心不全の治療① 酸素・安静
では、急性心不全の治療方針は?まず、酸素・安静です。前提として、心臓に「これ以上無理をさせない」のが原則になります。
急性心不全の治療② 利尿薬・血管拡張薬
急性心不全の点滴治療薬、三種の神器は利尿薬・血管拡張薬・強心薬です。
ここで、強心薬については、心不全治療薬としては非常に有効ですが、不必要なときにむやみに使わないほうが良いことから、「上級編」として今回は触れないことにします。気になる方は記事の最後にリンクを貼っていますのでご確認ください!
利尿薬と血管拡張薬はいずれも、過剰な「前負荷」を解除する薬剤です。下図2種類をご覧ください。
心臓を休め、過剰な前負荷をとる
復習ですが、急性心不全の初療は原則、
① 心臓を休め、
② 過剰な前負荷を点滴薬で除去する
ことです。「① 酸素・安静」→「② 利尿薬・血管拡張薬」です。利尿薬と血管拡張薬の使い分けは別記事にまとめます(急性心不全のクリニカルシナリオ(CS)分類)が、原則、「血圧が高ければ血管拡張薬を優先する」と考えてもらえればOKです。
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