マルゴー島

マルゴー島のワイン (2019.02.03)

元来がひねくれ者なのだろう、他にはない個性をもったワインに惹かれる。

もちろん、グランヴァンと呼ばれるワインも好きだ。しょっちゅう飲める代物ではないので、それらを目当てに試飲会に参加したことも多々ある。しかし、自分で買うとなると、値段のこともあるが、より珍しく個性的な逸品に手が伸びてしまう。

ドメーヌ・ド・リル・マルゴー 2011

知る人ぞ知る目白の田中屋さんで見つけ出した1本だ。ボルドーのマルゴー地区のワインなので広い意味ではメジャーなワインということになるが、ちょっと変わった生い立ちの持ち主だ。

このワインは所謂”本土”ではなく、ジロンド河の中州に浮くマルゴー島で生産されている。1740〜1875年まではシャトー・マルゴーがワイナリーを所有していたようだ。ワインの世界ではテロワールが大事にされるが、同じマルゴー地区でも島と本土では違いがあるようだ。具体的には島の方が温暖で霜や干ばつの危険性も低いとのこと。

このワインを買った動機は、珍しいロケーションもさる事ながら、自根の葡萄から作られている点にある。自根とは原木を意味するが、ボルドー含め世の中の殆どのワインは、接ぎ木した葡萄から作られている。チリやスペインでは自根の葡萄から作られたワインも時々見かけるが、ボルドー産のものは極めて稀だ。

ただし、肝心なことだが、レア=美味しい わけではない。レアで美味しくないワインはざらにある。このワインはと言うと、3000円程で購入したが、この価格帯のボルドーワインとしては十分な品質だ。

メルロー主体のためか、口当たりは柔らかくボディは中程度、鉄っぽくゲイミーな(肉、動物のような)香り支配的だが、奥にはスミレやバラ、ブラックチェリーの香りも感じる。明日飲めばまた一味違った表情を見せてくれるだろう。

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