無趣味からの脱却
Turn over a new leaf
2006年元日、私は趣味を持つことを心に誓った。何ともお気楽な目標だが、当時は割と真剣に考えていた。平日忙しいとはいえ、週末は土日両方休みを取れていたので、何かやろうと思えば時間は十分あった。しかし、掃除と作りおきスープ作って、残りの時間は無為に過ごすだけだった。
そんな中で自分が候補に挙げたのが、歌とワインだった。この頃は、後に結婚することになる妻を誘ってよくカラオケに行った。自分は歌うことが好きだったが、歌いたい唄(主にWANDS)のキーが高くて歌えないことが悩みだった。高音を出すためのハウツー本等を読んでみたものの、一向に上達する気配はなかった。そこで、試しに実際にその中の1冊の著者が開いたセミナーに参加してみたが、彼の声も振舞いも期待したものではなかったため、途中で帰ってしまった。
一旦それで諦めかけたが、暫くするとやはり気持ち良く歌いたいという思いが再燃し、今度は声楽教室を探すことにした。そこで出会ったのが、目白にある音楽教室だ。結局9年間毎週一回そこに通い続けた。幸運だったのは、ちょうど自分が体験レッスンを申し込んだタイミングでお世話になる先生が産休から復帰してきたのだ。私は楽譜が読めなかったので(結局最後まで満足に読めなかったが)、楽譜を軽視して(CDで耳から覚えたメロディーで)歌っていたため、先生には大分叱られたが、辞める頃には大分上達したのではないか。
歌とワイン、一見何の繋がりもないが、個人的には繋がっている。声楽と言えばイタリア。先生はイタリアに留学、現地の音楽院を卒業しイタリア語も堪能だった。完全な言い訳だが、私はメロディーを覚えるのに精一杯で、本来はイタリア語で歌詞を理解すべきところ、日本語で歌詞の概要を覚えるまでしか出来なかった。後悔先に立たず。イタリア語の時間を捻出すべきだった。自分が最も好きなワインは、フランスでもスペインでもなく、イタリアワインだ。そして、2019年秋、自分自身を試す舞台もイタリアだ。
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