マイワイン (2019.05.01)
令和の幕が開けた。雨の中、静かな幕開けだった。当初の予定では、近くのバーで日付の変わるその瞬間を乾杯するつもりだった。しかし、案の定と言うべきが、日中外出していた妻は時間が近づいても全く動く素振りを見せなかった。
「行かない」
自分から誘っておいてそれはないだろと思いつつ、ある程度予想していた私は事前に次の手を打っていた。NZで自分たちが醸したワインを冷蔵庫で冷やしておいたのだ。
「俺のワイン飲んでみる?」
若干疑念を孕んでいたが、返事はOKだった。授業で作ったものだと伝えたら、安心した様子を見せた(笑)いそいそと準備をし、令和を迎え、いざ乾杯。
「おいしいじゃん。2,300円でどうでしょう」
「!! そんなに出してくれるの?(笑)」
このワインは中国人のクラスメイト3人と共に手塩にかけて育てた我が子のようなワインだ。地元のワインコンクールでブロンズメダルも貰い、品質にはある程度自信はあったが、こんなに評価されるとは。
喜んでいると、
「でも、2,300円て、あなたが1時間ボーっとしてても稼げる値段でしょ。」
うーん...結局褒められたのかどうか分からないが、まぁ良しとしよう!おいしいと言ってくれたことは違いないのだ。
ワインは別々に発酵・熟成管理していたMLFとNon-MLFのシャルドネを最終段階で50%ずつブレンドしている。ブドウは学校の敷地にある葡萄畑から採れたもの、MLFに使ったフレンチオークは樽ではなくチップ。まさに学生ワインと言ったところだ。
最終成果物としてのワインは、ボディに比べてアルコール感が高い等、改善すべき点は多々あるが、飲んでいるとそういったことよりも当時アタフタしつつ楽しみながら作っていた景色が蘇ってくる。
先生の英語が誰も聞き取れず、3回目のDAPやYANの投入機会を逃してしまったが、結果的にそれが功を奏してアルコール発酵が穏やかに進み、繊細な香りが引き出せたこと。比重計の読み方が間違っていて、スタックしたと嘆いていたこと(笑)
とにかく、新しい時代を自分たちのワインと共に迎えられたことを心から嬉しく思う。幸先の良いスタートが切れた。令和も楽しもう!
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