霧筑波 ピュア茨城 純米大吟醸 しずく 本生原酒R3BY「ニュークラシック」
令和二酒造年度102回南部杜氏自醸清酒鑑評会(吟醸酒の部)にて主席(1位)を獲得したのが醸造元の合資会社浦里酒造店さんで、製造責任者は6代目蔵元である浦里知可良(ちから)氏。御年30歳です。元々のメイン銘柄であった「霧筑波」と異なる銘柄「浦里」を2020年に立ち上げて、より一層に純地元産酒にこだわりを持って醸造を行なっています。
このSAKEは、元々「霧筑波」の銘柄名で冬季に数量限定で出荷されるアイテムらしくシリアルNo.があってR3BYは83本の極少量生産であるのが分かります。この生産本数の要因はアイテム名の「しずく」、いわゆる雫取りの醸造方法でして、無加圧でモロミの自重にて液体であるSAKEを抽出する方法なのでモロミの良質なところを集める事が出来るとされ、よって生産量は少量に限られる事になります。・・・まぁモロミを何でもかんでも雫取りにしたら生産量がある程度確保されるという事もあり得ますけども、先ず雫取りは手間と時間が非常に掛かるので、上級なモロミにしぼって行ないたいというのが恐らく一般的な醸造家の思考であり、またモロミ量に対してSAKEが集められる割合、酒化率、正確には歩留まりが比較して低くなりますので、酒蔵さんとしてどのようにアイテム生産のラインナップ構成バランスを取るかがキーになると思います。そんな中、このSAKEは絶妙な存在(83本のみ)として絶妙なタイミングに造られてリリース(2月出荷)されるのでした。
このSAKE、と言いますかこの酒蔵さんのこだわりの一つは酵母でして、地元茨城県から誕生したとされている小川酵母をとても大切にされています。小川酵母は日本醸造協会によって、きょうかい10号酵母として頒布されてもいます。生み出される酸味が穏やかで、低温で長期発酵してくれるので綺麗な味わいに仕上がりやすく、そして香気成分の生成も高いと言われます。正にこのSAKEはそのスタイルを忠実に表現できていて、また純米大吟醸らしい丸みのあるアタックの味わいで嗜好性が高いです。
しかしながら、単に小川酵母を使用する、と言っても、左党の方々でもあまり小川酵母を使用したSAKEには出会わないのではないでしょうか。実は小川酵母は高い嗜好性があるものの醸造適性が低いとされ、アルコール耐性が低いのでSAKEを造りづらく寧ろ醸造家を選ぶ酵母とも言えました。かつ、令和時代の近年、酸味があるものもある程度の支持を集めますので酸味がないものをわざわざ造ろうともしない傾向もあります。なので強い意志がないと小川酵母には触れないかと思われますけども、このSAKEの醸造元は積極的に小川酵母を用いていまして熱い想いを感じる次第です。
よって、先ずベテランの左党の御仁にはクラシカルな吟醸酒としてお楽しみいただけるかと思っていまして、また最近の日本酒好きさんにも優しい米の甘みが味わい全体的に楽しめますのでお好みに寄り添えるかとイメージします。ワインラヴァーの御仁には食事の終盤、チーズなどと合わせて楽しむのも斬新です。他にもペアリングは、レンコンきんぴら、魚貝類でも特に貝、豚の角煮や肉じゃがなど、その味わいの構成上とても懐深いSAKEとなっています。
9/10p
≪霧筑波 ピュア茨城 純米大吟醸 しずく 本生原酒R3BY≫
合資会社浦里酒造店 茨城県つくば市
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