見出し画像

「dancyu MARCH2024」が寄せ鍋感が凄過ぎる

プレジデント社が発行するこの雑誌は既知の御仁も多いでしょうかと思いますけども毎年3月号が日本酒特集と銘打って書店に並びます。SAKEをメインにして酒類業界に身を置く者としては、毎年欠かさずチェックしまして、時に現在を切り取ったり、時に今後に活かしたり、とアレコレ得るものがある次第です。かれこれ二十年ほどは購読を重ねています(北仙台にはおおよそ十年分ほどが置いてありますのでいつでも読めますよ)。

しかしながら、今回取り上げますものは、タイトルのように、寄せ鍋・・・というかゴッタ煮・・・というか、テーマを「王道の日本酒」と掲げてしまっているからか、堂々と懐古的な振る舞いをドドンと見せつけているのが現在を切り取るべき雑誌としての役割に関して大きな違和感があります。また逆に雑誌としてのトレンド感を打ち出せる特集内テーマがあってもヴォリュームが少なくバランスが悪くて、、、例えるなら寄せ鍋は寄せ鍋でも極端に一つの食材が多くて食べ合わせ的に食傷気味になってしまう感じです。

せっかくですから今回はじっくりと特集内テーマごとに順を追って綴っていきたいと思います。


・王道の日本酒とは、どんな酒だと思いますか?

ココは4Pほど割いて、今回の号に登場する業界関係者、しかもトップランナー様と呼べる方々に言葉で定義して貰っています。その数のべ19名様。なるほど~、、、とは思う定義が並ぶのですけども、今回の号の後半には別に「20代~30代に聞きました 僕たち、私たちの王道はコレだ!」というのもありまして2Pほど割いて顔出しの10名様に具体的な銘柄と商品名を挙げて貰う形式で王道を紹介しています。
これらをジェネレーション(おそらく前者のグループはオーバーアラフィフ)や肩書などで分けた事や、大きく形式を変えている事にクエスチョンが浮かびます。「dancyu」という雑誌はそれほどまでに日本酒はジェネレーションで楽しみ方が違っていると考えているのでしょうか?いや考えているから斯様な誌面作りになるのでしょう。かといって、結果的に合計29名様の文字コメントは十人十色の千差万別で、記事を分けている必然性は乏しく、よって読み進めていると似たような記事をまた読まされたという食傷感が・・・(敢えていえば、やっぱり業界関係者の造り手の方々はコメントの質が異なるとは思いますけども、それも若手の造り手さんに登場して貰えば寧ろ共通性が出たかと想像します)。
これは、最近の言葉を借りれば「dancyu」のソフト老害と言えるかと。


・王道の酒蔵

ここから先は

2,028字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?