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アルザス(ストラスブール、コルマール)ワイン旅


1. はじめに

こちらは前回の投稿「ブルゴーニュ(ディジョン、ボーヌ)ワイン旅」の続きで、本年7月にアルザス地方を旅した記録です。アルザスをブルゴーニュの次の行き先としたのは、この後ドイツに立ち寄る予定だったこと、アルザスもリースリングなどの白ワインで有名な産地だったことが理由です。

2. 1日目(ストラスブール)

(1) ストラスブール到着~タルトフランベとリースリング

ストラスブールへは、ディジョンからTGV INOUIという高速鉄道で向かいました。2時間16分の旅。快適な車内でワインエキスパートの勉強をしていると、あっという間にストラスブールに到着しました。3ヶ月前にチケットを押さえていたこともあり、たったの57米ドルでした(予約した当時アメリカにいたため、米ドルで支払っています。日本の新幹線に比べて割安感がありますね。)。

個性的な外観のストラスブール駅

今回のホテルはストラスブール駅の目の前にあるLe Grand Hôtel。2泊で274米ドル。部屋はリノベされていたこともあり、安くも高くもない印象でした(ただし、部屋に向かう通路は、コンクリート剥き出しのリノベ工事中。フランスってこういうところアバウトなのでしょうか…)。

ホテルのロッカールームに荷物を預けて市街地へ。ストラスブールはディジョンよりも都会的で、1つ1つの建物が大きかったです。

クレベール広場(Place Kléber)
Wikiによれば、この広場は1753年にストラスブールに生まれたフランス革命将軍ジャン バティスト クレベールにちなんで名付けられたらしいです。いかにもヨーロッパの広場な光景。

お昼はアルザス名物タルトフランベ(アルザス風薄焼きピザ。いわゆるタルトでもなければ、フランベの工程があるわけでもありません。)を食べるべく、Googleマップで評価の高かったBinchstub BroglieGoogleマップ)というお店へ。アルザス1杯目はリースリングで乾杯!ドライだけどほのかな甘さも感じられて自分好みの味わい。そしてお待ちかねのタルトフランベ…

デカい!!これで一人前です。トッピングはトラディショナルを選択しました。薄いピザのような生地の上に乗っているのは、サワークリーム、チーズ、オニオン、ベーコンのみというシンプルさ。サワークリームの爽やかさで重さを感じず、サクッと完食できました。

(2) ストラスブール散策

午後はストラスブールの市街地を散策。まず向かったのは、「ノートルダム大聖堂(ストラスブール)」(Cathédrale Notre Dame de Strasbourg)

ストラスブールの街を代表する巨大で荘厳な大聖堂。外から見える塔も立派でしたが、内装も柱の装飾などディテールまで精巧に作られていました。

~インフォメーション~
(↑某世界で人々とふれあう街歩き番組を意識しました。)

ところで、「ノートルダムってパリでは?」と思いませんでしたか?
実は、(私もこの時調べたのですが、)ノートルダム(Notre Dame)は、フランス語で「私たちの貴婦人」という意味で、すなわち聖母マリアのことを意味しています。つまり、パリやストラスブールにあるノートルダム大聖堂は、聖母マリアに捧げられた施設ということです。フランス各地にノートルダムを冠する大聖堂や教会があるのは、このような背景によるものです。

大聖堂を見た後は、ストラスブールの街に沿って流れるイル川沿いを散歩。

写真に写っているのは、バトーラマというボートツアー。これも気になったのですが、時間の都合で今回は断念。
そこからラ・プティット・フランス(Quartier de La Petite France)というメルヘンな世界観のエリアへ。道中では、ドイツっぽい木組みの家々が並んでいました(アルザスはドイツと隣接する地方で、ドイツに編入されていたこともあるため、今でもその影響が残っています。)。

そして、一旦ホテルにチェックインして少し休憩。日本よりも湿度が低く快適ですが、さすがに7月は日差しも強く、歩き回ると結構疲れます。

(3) アルザスのディナー

1日目のディナーは、ラ・プティット・フランスにあるRestaurant La Petite AlsaceGoogleマップ)へ。ヨーロッパの夏らしく、通りに面したテラス席に着席。このお店を選んだ理由はアルザス尽くしのコースメニュー。お昼も食べたタルトフランベ(1/2サイズ)、アルザス名物のシュークルート、デザートのコースを頼みました。これで26.9ユーロで、お得感がありました。
乾杯はアルザスのスパークリングワイン、クレマン・ダルザスで。この店のタルトフランベは酸味は弱く、チーズ、オニオン、ベーコンが乗ったシンプルなものでした。そして、こちらが念願のシュークルート!

日本ではドイツのザワークラウト(Sauerkraut)がよく知られており、私も旅行前はザワークラウトと同じものと思っていました。しかし、シュークルート(Choucroute。綴りは全然違いますね。)には、豚バラ(角煮のようなもの)などソーセージ以外の具材も入っていて、かなり食べ応えがありました。写真では分かりにくいですが、この肉類の下に大量のキャベツが潜んでいます…!(頑張って食べたことを後ほど後悔することに…)
2杯目のワインはリースリングを注文しましたが、酸味と肉々しさからすると、ビールのほうが合うかもと思いました(でも今回はワイン旅なので基本的にワイン縛り)。締めのアイスも綺麗に盛り付けられていて、さすがフランスというディナーでした。

3. 2日目(コルマール)

(1) ワインツアー

2日目は、ワインツアーに参加するため、(南北に長い)アルザス地方の真ん中にあるコルマールを訪れました。美女と野獣のモデルになったといわれる街です。ストラスブールからは電車で30分ほど掛かるため、朝5:30に起床。

しかし、ここでトラブル発生…!

思いっきりお腹を下しました…きっと1日目のディナーでのキャベツ爆喰いのせい…旅行とはいえ食べ過ぎてはいけないと再認識…(でも学習できないのは人間の性。そんな時のために旅行にストッパは欠かせません。)

ツアーに参加できるか不安を抱えながらの身支度。なんとか気合で電車に乗り、さらにコルマール駅から20分ほど歩いてツアーの集合場所へ。今回はこちらのツアーを利用しました。

ドライバー兼ガイドのティエリさんは、地元ストラスブール生まれストラスブール育ちのフレンドリーな親父さん。英語でのツアーでしたが、カナダで仕事をしていた経験もあるとのことで、英語は聞き取りやすかったです。話好きで、移動中も含めて退屈しないで過ごすことができました。

~(再び)インフォメーション~
アルザスをよく知るガイドのティエリさんから、アルザスにまつわる歴史を教えてもらいました。

👨「アルザスは、第二次世界大戦中にコルマールの戦いがあった激戦地で、いくつかの村はドイツ軍に完全に破壊されてしまったんだ。」
👨「だから、復元された新しい街も多い。今でも銃弾の跡が残っている場所もあるよ。」
👨「アルザスは時代によってドイツ領だったりフランス領だったりしたんだ。私のお祖父さんは4回国籍が変わったよ。ドイツ統治下ではアルザスワインは質より量を重視されていて、フランス領になってから質重視に転換したんた。だから、よいグラン・クリュは若いものが多いんだ。」
👨「アルザスもブルゴーニュ同様に東向きの斜面にブドウ畑がある。グラン・クリュは平地ではなく、斜面の畑に存在しているんだ。」

この崩れた壁は第二次世界大戦当時のものがそのまま残されているものとのことです。
こんなところに星条旗
第二次世界大戦関連の記念碑で、ドイツ占領下のアルザスを解放した米軍を讃えているようです。

しばらくアルザスのブドウ畑の中を走って、1軒目のお店、Gustave LorentzGoogleマップ)に到着。

~飲み比べインフォ パート1🍷~
Gustave Lorentzでは6種類のワインをテイスティングしました。(ワインの勉強が追いついておらず、コメントが薄いのはご容赦ください…)

クレマン・ダルザス:瓶内二次発酵で造られるアルザスのスパークリングワイン。アルザスらしいドライさ。
リースリング:これもドライ。和食に合いそう。
ピノ・グリ:リースリングと比べると果実味が強い。
ゲヴェルツトラミネール:②、③と比べて甘さをよく感じる。
ピノ・ノワール:若くてフレッシュ。ブルゴーニュで飲んだピノ・ノワールとだいぶ印象が違う。
セレクシオン・ド・グラン・ノーブル(ゲヴェルツトラミネール):アルザスの甘口ワイン。ワインエキスパートの勉強で学んだとおり、とても甘い。ディジョンで飲んだトカイ(ハンガリーのワイン)と似ている。

1軒目で既に大満足。ここから2軒目に向かう途中で、面白いものを見ました。

まさかの自由の女神。実は、自由の女神像を作った彫刻家バルトルディはコルマール出身。そのため、コルマール周辺には自由の女神像がいくつか設置されているそうです。さらにしばらく車で走ると、2軒目のお店のある村に到着。この村はとてもフォトジェニックな街並みでした。

2軒目のお店はDomaine François baurGoogleマップ)。 ワインは撮り損ねましたが、お店の入り口からして歴史と伝統のある上質なワインを作っている雰囲気が出ています。ワインを作るための伝統的な道具やワインを貯蔵している大樽も見せてもらいました。

~飲み比べインフォ パート2🍷~
Domaine François baurでは5種類のワインをテイスティングしました。

クレマン・ダルザス:1軒目のものと比べて、甘みをやや強く感じた。
ミュスカ:香りは甘い。しかし、味はドライという不思議。
リースリング(グラン・クリュ):ミネラル感を強く感じる。土壌の石(石灰岩?)を見せてもらった。こんな石の土壌でブドウが育つとは驚き。
ピノ・ノワール:1軒目のものよりも味の骨格がしっかりしていた。
ゲヴェルツトラミネール:上品な甘さ。甘口ワインの製法ではないとのことで、甘すぎないバランスがよかった。

ワインを楽しむだけでなく、途中で見晴らしの良い展望台に寄ってくれたり、伝統的な街並みの中を走ってくれたり、グラン・クリュの畑を走ってくれたりとサービスの良いツアーでした。

グラン・クリュの畑だそうです。
横から見るとこんな感じでした。

(2) コルマール散策

ワインツアー後は、コルマールの街を散策しました。まさに美女と野獣を彷彿とさせるメルヘンな世界観でした。

街の中心部。多くの人がテラス席で食事をしています。
私も食事をしたかったのですが、お腹の調子が…
Marché Couvert Colmar
この中にあるパン屋でピスタチオブリオッシュとアーモンドクロワッサンを購入しました。
Marché Couvert Colmarの外観と運河
ラ プチ ヴェニス(La Petite Venise)というエリア。
フォトジェニックすぎて、写真を撮りまくりました。
同じくラ プチ ヴェニス(La Petite Venise)
名前のとおりヴェネツィアっぽいです。行ったことはないのですが。

元々の予定では夜までコルマールに滞在するはずでした。しかし、お腹の調子のせいで、15時頃に体力が尽き…後ろ髪を引かれる思いをしつつ、16時頃にストラスブールに戻りました。

(3) アルザスのディナー(?)

ホテルで休憩し、19時前にディナーに出発…のはずが、やっぱりお腹が絶不調で、どこのレストランに入る気も起きず、1時間以上もただ街を散歩する羽目に…
最終的に、この日のディナーはマクドナルドでテイクアウトをしました。注文したのは、フランス限定っぽいラップサンドとチーズのかかったフライドポテト。街中の酒屋でクレマン・ダルザスを購入して(ワイン旅なので体調不良はワインで治す。)、ホテルで晩酌。これはこれでアリというアルザス最後の夜でした。

今回の旅日記は以上です。最後までお読みいただきありがとうございます。
次はシュトゥットガルトで訪れたワイン博物館のことを書く予定です。

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