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赤 白 ロゼ スパークリング:各ワインの製法の違い


本稿はワインビギナーの方向けに作成しました。
全文無料公開ですが「投げ銭」制も採用しています。

まとめ
・本文中に赤、白、ロゼ、スパークリングの工程シェーマを掲載
・赤ワインは赤(黒)ぶどうの皮と種から色や味わいなどの成分を抽出しながら発酵させる
・白ワインは白(ピンク)ぶどうを絞って果汁だけで発酵させる
・ロゼワインは赤(黒)ぶどうを絞って果汁だけで発酵させる
・スパークリングワイン(トラディショナル・メソッド)はタンクで1回目、瓶の中で2回目発酵の発酵を行う
・2回目の発酵で酵母が作った二酸化炭素が密閉瓶の中でワインに溶け込みきめ細かい泡になる


こんばんは、じんわりです。

 みなさんはワインを飲んでいるときに「このワインはどうやって造られているのだろう?」とふと思いを巡らせたことはありませんか。ワインの製造工程を実際にご覧になったことはありますか。

 最近はYouTubeなどを検索すれば何でも電子的に見聞できてしまう時代ですし、国内のワイナリーさんでもワインづくり体験のようなイベントがあるようですので、好奇心旺盛でアクティブな方はお調べになったり直に見学されたことがあるかもしれません。

 本稿ではワインビギナーの方が、赤、白、ロゼ、スパークリングそれぞれの製法のあらましをご理解頂けるように簡略化して書いています。それぞれのワインタイプの製法を概観することでその特徴=アイデンティティが見えてくるのではないでしょうか。


【赤ワインの製法】
赤(黒)ぶどう破砕 → 醸し発酵(果汁、皮、種) → もろみ圧搾 → 液発酵 → 熟成 → ブレンド → ろ過・瓶詰 → 熟成

 上のシェーマが標準的な工程を簡略化したものだと思って頂いて良いでしょう。醸し発酵という言葉がありますが、皮や種から色、香り、味わいや口当たりの成分を「抽出」することを「醸し」と呼びます。赤い(黒い)ぶどうを使うということと「醸し」の工程が赤ワイン醸造のアイデンティティであり、その結果香り良くボディを感じる赤紫のワインが出来上がります。「もろみ」とはワインになりつつある発酵中の果汁のことです。
 上述の工程と基本は同じくして、世界には新旧入り交じっていろんな変法があります。例えば、ぶどうを陰干し=凝縮させてから発酵させるアパッシメントという技法や、おなじみボジョレ・ヌーボーの地域の固有技術とされるマセラシオンカルボニックなどはユニークな赤ワイン醸造技術として有名なところでしょう。


【白ワインの製法】
白(ピンク)ぶどう破砕 → 搾汁 → 果汁発酵 → 熟成 → ブレンド → ろ過・瓶詰 → 熟成

 白ぶどうから作られ、ぶどうの破砕後はすぐに搾汁される流れが白ワインの特徴でしょう。白ワインは通常フレッシュで果実感のある味香りがアイデンティティであるため、渋み苦み、酸化による褐変や香りの減退を最小限に抑える必要があります。シェーマへの補足として、赤ワインより低い温度での発酵、もろみを赤ワインほどは酸素に晒さないようにすることなどは、一般においしい白ワインを造るうえでの重要事項でしょう。

 数多ある白ワインの中には、皮からの味香り成分の「抽出」を狙った「スキンコンタクト」という技術が使われる場合もあります。赤ワインの「醸し」に似ていますが、低温短時間かつアルコール発酵を伴わない点が赤の「醸し」との違いですね。白ワインを赤ワインのように醸して造るとオレンジワインですね。
 「(ピンク)」と書いてあるのは灰色がかったピンク色のぶどうが白ワイン醸造に使われることがあるためです。代表的な品種はピノ・ノワールが変異した「ピノ・グリ」や我らが日本ワインのアイコン品種「甲州」ですね。


【ロゼワインの製法】
赤(黒)ぶどう破砕 → 短時間の醸し発酵(果汁、皮、種) → もろみ圧搾 → 液発酵 → 熟成 → ブレンド → ろ過・瓶詰 → 熟成

 ロゼワインの特徴として色においても造り方においても赤ワインと白ワインの中間という趣ですね。醸し発酵が長い=赤ワインよりの造りだと濃いめのピンクに、破砕直後の搾汁=白ワインよりの造りだと薄めのピンクに仕上がります。ロゼワインは赤ワインの「副産物」的な位置づけでつくられることもありますね。赤ワインの色や味香りを濃くする=もろみ中の果皮の比率を上げるために破砕後の果汁を一部抜き取り、捨てるのはもったいないので赤ワインとは別に醸造するという考え方です。ロゼワインは色の淡い赤ワインという捉え方、ピンク色の白ワインという捉え方のどちらも正解のように思えます。なお、シェーマ提示は割愛しましたが赤ぶどうと白ぶどうを一緒に破砕して発酵させる造り方もあります。

 ロゼワインは近年世界的流行にあるようです。何故流行りなのかは不明ですがヨーロッパでもアメリカでも売り上げが伸びているようです。日本ではイマイチ流行らないようですが、日本人の嗜好や食事に合うように思うのは私だけでしょうか。ご興味を持たれましたら一度チャレンジしてみては如何でしょうか、手始めに1本¥2,000前後から。

 アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットが自宅兼用で買い上げた南仏のワイナリーChateau Miravalは、タッグを組んだ腕利きワインメーカーのおかげもあってロゼで市場を沸かせましたね。ボトルデザインもなんともおシャンティです。私は過去2度ほど飲ませて頂く機会がありましたがいずれも好印象だったのを覚えています。ピット夫妻の離婚を機にシャトーを売るという話がありましたが2018年2月のゴシップ記事では結局売らないことにするという論調でした。結局売却したのかしてないのか、私は気になってしようがありません。事情通の方がいらっしゃったら是非教えてください。あ、どうでもいいですか?(笑)


【スパークリングワイン(トラディショナル・メソッド)の製法】
白(黒)ぶどう破砕 → 搾汁 → 果汁発酵 → ブレンド → 低温処理 → 瓶詰 → 瓶内二次発酵・熟成 → 滓抜き・リキュール添加 → 打栓 → 熟成

 上にお示ししたものが所謂シャンパーニュの製法を簡略化したシェーマです。トラディショナル・メソッドなんて呼ばれ方もします。白ワインの製法に瓶内二次発酵という「一捻り」を加えたユニークな製法と考えることもできそうです。スペインのカヴァ、イタリアのフランチャコルタもこの製法の代表格ですね。その他類似の方法として瓶内ではなく密閉タンク内で二次発酵させるシャルマ式(マルティノッティ式)と呼ばれる作り方があります。シャルマというと今世界的流行と言われるイタリア北部の泡「プロセッコ」を連想するでしょうか。シャンパーニュよりお値段とアルコール度数が控えめで味香りもより爽やかフルーティ、総じて気軽に飲めるところが世界中でウケているんでしょうか。低アルコール化はこのところ世界的な潮流のようですし。

 この他にスティルワイン(泡のない普通のワイン)に機械で二酸化炭素を吹き込み溶け込ませるタイプのスパークリングワインもありますが、泡の長持ちやキメ細かさは瓶内二次発酵が勝るというのが定説ですね。
 弊ブログがワインビギナーの方にお勧めする1本¥2,000前後の予算で選択肢がより豊富な泡はカヴァとプロセッコでしょう。シャンパーニュでも税抜1本(750ml)約¥2,000円のものは探せば出てきますがシャンパーニュ全体の相場からすると破格ですし稀有ですね。1本¥3,000台でもシャンパーニュにしてはお値段控えめという印象を持ちます。


 ここまで挙げた泡のなかでコストと味香りのキャラクターを総合して考えると、ワインビギナーの方にはプロセッコがとっつきやすいように感じます。ご興味持たれましたらプロセッコで泡デビューを飾って頂いてはどうでしょうか。プロセッコ自体が日本ではまだメジャーではないのでシャンパーニュやカヴァ程の選択肢はないのですが、eコマースサイトで探せば簡単に見つかりますね。
 お家での手料理デート、お祝い事やハレの日なら「いきなり奮発して¥5,000のシャンパーニュを!」という華々しい泡デビューを飾って頂くのも悪くないですね。


 赤、白、ロゼ、スパークリングの造り方を簡単に概観しました。ワイン造りというものは赤白ロゼ泡問わず「ぶどうの皮から如何に抽出し、如何に結い上げるか」に妙があると私は考えます。もちろんワインを造る前の畑の仕事も大切ですね。

 本稿を読まれたワインビギナーの方が今まで以上にワインにご興味を持って頂き、これからももっとワインと仲良くなって頂ければいいなと思います。

さんて!

じんわり

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