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ワイナリー訪問記〜カンティーナ・リエゾー〜

ワインメーカーに勤めていた湯本さんが、イタリアでのワイン文化に触れ、国内に戻って2007年から栽培を始めたワイナリー。
イタリア語でワイナリーを表す「カンティーナ」の名前を冠する通り、イタリア系の品種にも力を入れている。

カンティーナ・リエゾー 醸造長・湯本 康之さん

カンティーナ・リエゾーは栽培も醸造も、ご家族のみでされているワイナリー。
新潟生まれの湯本さんは、2000年から高山村に移ってワイン製造に携わり、2007年から畑を借りてワイン造りをスタートさせた。
醸造所もクラウドファンディングにて資金を集め、2015年からワイナリーとして展開させた。

①畑の美しさ

畑からはブドウ畑の奥には長野の盆地・善光寺平が広がり、その奥に見える長野の都市部と北アルプスがとても綺麗で、いつまでも見ていられそうな風景だった。

綺麗だったのはその風景だけではなく、とにかくブドウ畑もとても綺麗にされていて、何も考えずに畑を眺めていても「あぁ、綺麗だなぁ」と思ってしまうような景観でした。
それは見た目だけの話ではなく、畑には除草剤も使わずに草刈りが丁寧にされ、刈った後の土はフカフカに。
ブドウ木も丁寧に摘葉、摘芯がされていた。
こう言った細やかな作業によって日当たりのコントロールもされ、エネルギーがブドウに凝縮されるのだと思う。

醸造所内もとても清潔に保たれている印象でした。
とても気になったのが、ワインを貯蔵させるステンレスタンク。
ステンレスタンクのメリットといえば2層構造になったタンクで1層目と2層目の間に温度コントロールをした水を流すことで、低温発酵や貯蔵ができるというメリットが浮かぶ。
しかし、湯本さんが選んで使っているのはシンプルな1層構造の造りのステンレスタンクらしい。
これはネット記事を拝見して知ったことだが、
「自動で温度管理ができてしまうと、どこで醸造しても同じになってしまう気がするから」と。
自然環境にあわせた醸造をして、その土地やワイナリーでしかだせない味わいのワインを作るために様々な工夫をされている事が伺えました。

②育てているブドウ

ドメーヌ型で栽培も醸造もされている湯本さん。
葡萄の栽培は、長野の土地に合ったシャルドネ、メルローを始めに、イタリア品種のネッビオーロ、バルベーラ、ドルチェットまで。
バルベーラは非常に樹勢が強い品種でもあるため、油断すると木がどんどんと伸びていく。
ドルチェットに挑戦したのも最近だったが、日本でドルチェットを栽培することに対しては難しさを感じている様子だった。
早熟品種なのだがそこまで糖度が上がりにくく、酸味も落ち着いている。しかし、熟させる為に遅摘みしようと思うとポロポロの粒が落ちてしまうらしい。
スパークリング用にするなど、使い道を考えながらトライ&エラーをされている様子も伺えた。

他の畑と見比べて気になったのはブドウに傘掛けをされていなかった事。
国内の他のワイナリーを見ると、ブドウ一つ一つに傘かけを行うことが多く、私自身も何度か他のワイナリーでそのお手伝いをさせてもらっている。
雨粒から避けるためや、強烈な日射から守るために、なんとなく傘掛けは必要なものだと感じていた。
ただ理由を聞いてみると、その雨量も含めて「土地のテロワール」だからこそ、それを表現するのだと話されていました。
そもそも、傘掛け自体は湿度の高い日本で独自に確立された技術で、確かに海外のワイナリーの写真を見ると傘掛けがされている写真は見たことがない。(写真だけじゃなくて早く海外のワイナリーにも行きたい所だけど、、)
これは、聞いた話からの推測でしかないのだけど、そもそも長野の北部の台地はは年間降水量が少なく、湯本さんがブドウ木も常にコントロールするよう心がけているからこそ、傘掛けに頼らなくてもいいようになってるのかなと。

③現地で見る光景と知識

ワインだけを見ているとどうしても知ることのできない、ブドウの成長のお話しを沢山聞かせていただいたのも印象的だった。
これまで私は種の状態に目を向けることはなかったが、完熟していない白い種だと青い香りを持ち、完熟した黒い種であればナッツ系の香りが出てくるお話しであったり、白ブドウの熟した具合を枝の色で知ることができたり、などなど。

他にもリエゾーさんの畑は標高620m程の位置にあるが、15年前の植樹をした当時は寒すぎてワインブドウを育てるのが難しいと言われていたそう。
温暖化の影響も受けて、より高地にも畑ができてきたり、時代の推移も聞かせていただきました。

植樹して数年のブドウ木。
接木の所にはテープが
樹齢10年以上の木の根本
接木した所は、人間の関節部みたい

●まとめ

畑や醸造所にも現れていましたが、接していても湯本さんの丁寧さは本当に各所から滲み出ていた。
その中で「自分なら、この場所なら、どういうワインを造るのか」と言う所まで、思考が張り巡らせられているような印象を受けさせられました。

畑や実際の醸造器具に関しても、「何故このやり方をしているのか」「この器具でかかるコストはどれくらいか」などのお話も聞けて、丁寧な説明からは自分の不足している知識にどんどんと肉付けがされていくような感覚。
自分の知識では、あくまでまだまだ教科書の表面的な知識に留まっているようで、さらにワイナリーのことを知りたくなった。

また、各所の綺麗さだったり、醸造所内にはお子さんが絵を描いた木樽があったり、カンティーナ・リエゾーさんの名前の由来にも奥様の「リエ」様から文字っていたりと、
ワイナリーからは湯本さんの家族やワインに対する愛情が感じさせられる、とても素敵な空間でした。
これも後から知った事だけど、カンティーナ・リエゾーさんのCiaoCiaoのボトルは、お子さんたちがモチーフになってるという、、素敵だ。

湯本さんの子供が木樽に描いた絵
かわいい、、
湯本さんと訪問メンバーで。
左の浮かれポンチ達はブドウポーズw

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