見たい!知りたい!連続式蒸留機
これまで見学したことがなく、いつか実物を自分の目で見てみたいウイスキー製造設備といえば、なんといっても連続式蒸留機(Continuous still / Column still / Patent still / Coffey still)です。というのも、ニッカの宮城峡蒸溜所やサントリーの知多蒸溜所、白州蒸溜所をはじめ、連続式蒸留機は非公開となっている場合が多いのです…。
ここでは、いつの日にかの見学を夢見て、予習したことをまとめます。
連続式蒸留の仕組み-ざっくりまとめ-
連続式蒸留機とは、酒税法の定義から抜き出すと、「アルコール含有物を連続して供給しつつアルコールを連続して蒸留することができる蒸留機」となります。1回ずつ沸騰させて留液を得る単式蒸留とは異なり、何日も続けて稼働させながら連続して醪を投入し、塔の内部にある複数の棚を通すことで気化と凝縮を繰り返し、連続して留液を得ます。
さらに「その蒸留の過程においてフーゼル油、アルデヒドその他の不純物を取除くことができる蒸留機」でもあるため、単式蒸留器と比較的して、アルコール濃度が高く、不純物の少ない蒸留酒を造ることができますが、原料の特質が失われる※とされます。
一方で、手法として連続式蒸留を行ったかといって、画一的に単式蒸留よりもクリアな留液になるわけではありません。どんな種類の連続式蒸留機(器)をどう使うかによって、得られる酒質は大きく変わります。例えば、葡萄を原料とするコニャックとアルマニャックの製造を比較すると、単式蒸留器で2回蒸留するコニャック(68~72%程度)よりも、1塔式連続式蒸留器で1回蒸留するアルマニャック(52~72%程度)の方が「留液のアルコール度数を上げないため、原料や発酵由来の成分が多く留液に溶け込んで」います。
連続式蒸留機(器)による製造工程には、目指す酒質や成分の取り除き方、生産効率など、数多くの企業秘密やノウハウが隠されているようです。
連続式蒸留機とローモンドスチルの比較
内部に複数の棚を設けることで留液を得る蒸留器といえば、ローモンドスチルを思い浮かべます。
1831年にアイルランドのイーニアス・カフェ(Aeneas Coffey)が特許を取得した連続式蒸留機に対し、ローモンドスチルは、1956年にハイラムウォーカー社のアリスター・カニンガム(Alistair Cunningham)と アーサー・ウォーレン(Arthur Warren)が開発したとのこと。
ローモンドスチルは、限られた蒸留所内スペースでのモルト原酒の作り分けを目的としており、醪の連続的な投入は行わず、1回ずつ沸騰させます。
連続式蒸留機と比較して、狙う原酒や蒸留方法の違いはもちろんのこと、必要となる設置スペースが違う点が興味深いです。
なお、Webサイト「SCOTCHWHISKY.COM」から、ローモンドスチルの稼働時期を蒸留所ごとにまとめてみると、下図のようになりました。また、2015年設立のインチデアニー蒸留所が独自のローモンドスチルを導入したようなので、こちらも見学してみたいです。
見学できないなら自作してしまえばいいじゃない?!
連続式蒸留について検索をしていたら、なんとラム用に自作?!の蒸留器をつくった方の動画を発見しました。なんて面白い!YouTubeには世界中の興味深い動画がたくさんあり、わくわくが止まりません。
様々なタイプの連続式蒸留機、いつか見学できることを楽しみに、引き続き予習に励みたいと思います。