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『ニュークリア・エイジ』ティム・オブライエン(村上春樹訳)

『ニュークリア・エイジ』は、村上さんが「現代の総合小説」と呼びたいと評価された作品です。僕も何度かこの本を読みましたが、初回で衝撃を受けたことを忘れられません。言葉にするのが難しいのですが、すごく圧倒された感覚がそこにありました。

ティム・オブライエンは、ベトナム戦争での従軍の経験を元に小説を書いてきた作家です。村上さんも本作のほかに何作か翻訳されています。戦争を題材にした『僕が戦争で死んだら』や『カチアートを追跡して』の2作もすごくいい作品です。(この2作については、村上さんが翻訳されていません。)
『ニュークリア・エイジ』は、ベトナム戦争に触れる部分はあるんですが、舞台が戦場というわけではありません。この作品の概要を簡潔に伝えることは難しいのですが、ぜひ多くの人に読んでほしい本です。

僕はこの小説を読み終えたあとで、誰かとすごく話しあいたかった。そしてもし誰かと話しあえないのなら(話しあえなかった。というのはその時にはまだこの小説を読んだ人がまわりにいなかったので)、何かすがるべき言葉が、空白を埋めてくれるべき言葉がほしかった。

このように、村上さんは解説で語られましたが、すごくこの言葉に共感してしまう、パワフルな力を持つ小説でした。



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