狂うほど“キミ”の話が書きたいのに

もう何十回も頭に叩き込んだあの曲。
一度、私の耳に入れたらもう最後。
その曲によって創られた世界は私を逃がさない。
私を現実にもどしてはくれない。
そんな空想の世界で“キミ”は一人微笑む。
その仕草が、雰囲気が私を狂わせる。
でも私は、君の容姿も性格もワカラナイ。
私の身体は“キミ”の魅力で勝手に踊らされる。
リアルでは意味を持たないその動きはまるで挙動不審。
この世界と“キミ”の魅力を共感してほしいから、もっと鮮明なものにしたいから。
足りない頭と貴重な時間を使って君の話を書こうと奮闘するのに……
何度やっても、ナンドヤッテモ、出来上がったものは“キミ”とは違う「まがい物」。
「まがい物」と“キミ”の違いを探るため私は今日も曲を聴く。
そうして“キミ”にまた踊らされる。
リアルの作業なんかほっといて、不気味な動きと空想に浸る頭で今日という時間を溶かしていく。
あぁ、私はこんなにも、こんなにも、こんなにも、コンナニモ、コンナニモ、コンナニモ、コンナニモ、こんなにも!!狂ってしまうほど“キミ”の話が書きたいのに!!!
“キミ”はそんなことお構いなしに今日も私を狂わせる。

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