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ウォークマンの思い出──読んで良かった(2022年2月25日版)

最近読んで良かったものを徒然なるままに挙げてみます。どれも大変面白かったです。著作に関わられた皆さん、そして、これらの存在に気づかせてくれた皆さん、ありがとうございます!

◎ 40年前の「ウォークマン論争」は現代に続く 違和感こそが未来の光

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新型ウォークマン(デジタルオーディオプレーヤー)の発売を機に、かつてのウォークマン(カセットテーププレーヤー)の時代に思いを馳せるエッセイ。面白く読みました。ありがとうございます!

自分だけのためにイヤホンで音楽を聴く、という行為は今や当たり前。しかし発売当初は、風当たりが強かった。

(記事より)

そうだったかも。

最初のウォークマンが発売された1979年当時、私は片田舎の小学6年生でした。なので、初代ウォークマンのインパクトは、あまり記憶にないのですが、その1、2年後に出たウォークマンⅡは衝撃的でした。カセットテープ再生機なのに、見た目のサイズがカセットテープケースに近かったからです(さすがに厚みは1.5倍ぐらい?ありましたが)。

その後、社会に出て自分で初めて買ったウォークマンは、いわゆる新世代ウォークマンで、これはなんとカセットテープケースサイズよりも小さく(薄く)なってました。これまたビックリ仰天。この体験で、ソニーという会社の凄さが、私の中に刷り込まれました。

その念願のマイウォークマンで何を聞いていたかというと、私の場合、音楽ではなく、もっぱらラジオの英語講座でした。

カセットテーププレーヤーであるウォークマンは、当然ながら、再生するソースは「カセットテープに録音」しておく必要があります。当時の主要な音楽メディアはレコードだったので、つまり、ウォークマンで音楽を聴くには、レコードの音をカセットテープに録音する、という作業が必要になります。

ステレオコンポ(レコードプレーヤー、アンプ、カセットデッキ、スピーカーが一式揃ったもの)を持っていれば何てことないのですが、当時は、そんなものは持っていなかったので。その代わりラジカセ(ラジオとカセットテープデッキが一体化された)はあったので、ラジオの英語講座を録音してせっせと聴いていました。

いまNHKでやっている朝ドラ(カムカムエヴリバディ)はラジオ英語講座がストーリーの下敷きになっているようですが、私にとってもNHKのラジオ英語講座は懐かしい思い出です。あと民放ラジオでやっていた「100万人の英語」もテキストを購入して聴いてました。J. B. ハリス、ハイディ矢野、國弘正雄、小林克也の各先生には(ラジオなので一方的にですが)大変お世話になりました。懐かしい。

◎ ソニー創業者・盛田昭夫が36年前に書いた「ウォークマン考」

ウォークマンの思い出に浸りながら検索してみたら、なんと、ウォークマン発売当時(正確には、初代ウォークマン発売から2年後の1981年)のソニー会長だった盛田昭夫さんのエッセイが公開されていました。1981年4月号の「文藝春秋」誌に掲載された文章のようです。40年の時を経て読めるとは。ありがとうございます!

これによると、ウォークマンの原型が開発されることになったのは、

当社の井深さんが「他人に迷惑のかからないようにステレオを聴きたいのだが、あのヘッドホンは、重くて困るし、ステレオからひもつきでは行動も束縛される。携帯用のステレオカセットにヘッドホンをつけて歩いてもみたが、重くて仕方がない」と言いながら一式を私の部屋に持ちこんできた。

(記事より)

というのがきっかけらしい。そこから思考を進めて「絶対に必要となるのは、小さいステレオカセットプレーヤーと軽くて邪魔にならないヘッドホンだ」となり、ウォークマンの製品化に繋がっていきます。当の本人が書いてるのだから、臨場感がすごい。

しかし、開発途中であることに気づきます。

これはなかなかいけると思いながらわが家で一人悦に入っていると、側にいた家内は一人で何を聞いていると思ったのか実に憮然とした顔をしている。そうだ「彼女」のことを忘れたら「彼」は窮地におちいるだろうと気がついて、すぐにヘッドホンを二つ取付けられる様にした。

(記事より)

そうそう。確かウォークマンには、ヘッドホン端子(ステレオミニプラグ)が2つついていました。さらにオレンジ色のボタンがあって、これを押している間は(? ちょっと記憶が曖昧。押す度に変わるトグルスイッチだったかも)再生音が小さくなり、(ヘッドホンをしたまま)他の人と会話できる、みたいになっていました。この機能は、こういう気づきから生まれたんですね。なるほど。

これならいけると、私は自信をもった。そこで、社内の製造、販売担当者に商品化を説いてみると、意外や意外、ほとんどの人達が誠にひややか。これは作っても売れないでしょうというのである。

(記事より)

新しい市場を作る製品は、既存市場の延長戦で考えれば「違う」となるのは必然。それでも自分の直感を信じて製品化しちゃうところがソニーっぽいですね。さすが。

あと興味深かったのは、「ウォークマン」というネーミングの話。

英語的にはおかしな言葉で英語国の販売担当者は絶対にいやだといい出し、英国ではストアウェイ、その他の米国を含んだ英語国ではサウンド・アバウトと命名されることになった。

(記事より)

これは知りませんでした。確かにwalkmanは、ネイティブは「そう言わない」気持ち悪さはあるでしょうね。でも、ワールドワイドで生き残ったのは、正しい英語じゃないほうだったというのは面白い。

まさに「読んで良かった、ありがとう」でした。ありがとうございます!


《Postscript》
コンテンツの黄金サイクル」が広がるといいな、の小さなステップとしてアウトプットを続けています。

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