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「サッカーのある日常」の奪還に向けて、まずは「サッカーのある非日常」を

6月15日、Jリーグ再開後の日程が発表されました。いつ動き出すのかもう動き出さないのではないかと漠然とした不安に苛まれる日々が続いていましたが、ようやく今季の今後が見えてきましたね。最初はリモートマッチという特殊な状況ですが、まずは試合が再開されることを喜びたい。

覚悟してはいたものの、やはりすごい過密日程。特に8月は、ルヴァンカップを合わせて1ヶ月で8試合。当然ですがフリーランスのわたしはターンオーバーなしであります。もちろんアシスタントなんて雇えるような立場じゃないので、体力勝負あるのみ。

それでもやっぱり実際の取材対象が見えてくると力が湧いてきます。選手たちが自粛期間に闘う気持ちを一旦切ったと話していたのを、わたしも身をもって理解できたような気がしています。

そして! 再開に向けて、大分トリニータオフィシャルコンテンツ「トリテン」で、片野坂知宏監督インタビュー! 前後編にわたるガッツリボリュームです。月額税込330円の有料コンテンツですが、是非!

まだ記事には出せなかった部分もありますが、試合に向けての準備や取り組みなど、具体的にサッカーについて質問できるって、なんてシアワセなの。選手たち曰くの「サッカーが出来る喜び」は、われわれにとっては「サッカーを取材できる喜び」です。

練習取材もまだ解禁にはならないし、試合取材についてはいろいろと悩ましいことも多いです。一試合あたりの記者枠25名。ホームゲームや地方のアウェイならどうにか申請すれば入れそうかな…というところですが、シーズン終盤の首都圏アウェイなんて、取材に行けるのだろうかと不安。

というのも、われわれフリーランスは、Jリーグの定めるメディア優先順位がとても低いのです。最高は通信社。共同通信とか時事通信とかです。次に一般紙・スポーツ紙・ブロック紙。次いで地方紙と英字紙。それからサッカー・スポーツ専門媒体が来ます。わたしが書かせていただいているエルゴラッソはここ。そしてようやく5番目に、われわれ登録フリーランス。その下は在京キー局・系列局とその他、となります。

25人枠から漏れた場合はDAZN観戦で取材することになります。でも、DAZNではピッチ全体が見えないため、ゲームの機微を追うのは難しい。そういうサッカーの最も面白い部分はわれわれフリーランスがいちばん情報量多く濃密に伝えていると思うのですが、試合会場に行けないとなると厳しいことになりますね。いやー、いくら記者クラブだからって通信社とか特に、試合結果の数行しか記事にしないんだからさー、DAZNで十分じゃん。そういうときは記者枠譲ってくださいよ…とボヤきたいのは山々。特にわたしなんかはクラブオフィシャルの仕事もしているので、行けないと結構マズいことになるのですがどうなるんでしょうね…。

そして、コロナ禍の下で出来るだけ移動を少なくしようという意図なのでしょうが、試合後の記者会見、なんと現地に取材に行かずともオンラインで参加できてしまうのです。現地でもオンラインですが、自宅でも同じ条件での取材って、経費と労力を使って現地に取材に行く意味…。質疑応答の際の質問は現地に赴いた記者優先、というアドバンテージはあるのですが、そんなの普通、現地に行った自分しか引き出せなかったコメントを、自宅から動かずに取材している記者にまで提供したくないって感じるものでしょう…ケチくさいこと言ってるようかもしれないけど、特にフリーランスはみんなシビアなんですよ…。というわけで現地に行った記者たちが質問を控える可能性もあります。少なくともクリティカルな質問は、わたしなら出来ない。自分のためだけでなく、チームのためにも。

それに、われわれは監督や選手との信頼関係の下で取材活動を行なっています。この人だから答える、とか、この媒体には載せてほしくない、という思いが、取材される側にもあるわけで、それをこの限定された状況下でどう乗り切っていくか。

こんなんじゃサッカー文化が停滞してしまう…!! そういうことにならないためにも、なんらか方策を考えていかなくてはなりません。頭が痛いところですが、それでも、サッカーのある日常の奪還に向けて、まずは「サッカーのある非日常」からのリスタート。制限つきの難しい状況ですが、許される範囲で最大限のことが出来るように頑張ります。

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