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「牡丹餅」

甘党の父に供へし牡丹餅 

ふる郷の軒のつららの太きこと 

父が亡くなって四十九年になる今日。
お骨になった父と一緒に厳寒の故郷に帰った時の、軒の太い氷柱などを思い出している。
入院でしばらく留守にしていた家に近所の方々が集まって、雪かきや炊き出しをしてくれていた。

お彼岸にはまだ早いけれど祥月命日だから、大好物だった牡丹餅を作って供える。
今はどこででも買えるものだが、前日から小豆を煮て手間をかけることが私にとっての一つの供養のかたち。
母があんを伸ばして私がごはんを丸めて共同作業で作った日々も懐かしい。
いまはひとりであたふたしながら作っている。

久しぶりに山椒の木の擂り粉木の登場
堅く絞った晒し布巾にあんを広げて包むと綺麗に出来上がる