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「ミッションステートメント」であなたを再起動しよう

世界で最も読まれている成功本「7つの習慣」で、著者のコヴィー氏は「個人のミッションステートメント」を作ろうとすすめています。

私はミッションステートメント作り、それを繰り返し読むことで、40代から人生を再起動しました。

42歳でサラリーマンを辞め、起業し、今年は8期目です。家庭はあきらめていましたが、自分の半分の歳の女性と結婚しました。個人のミッションステートメントで、人生に大きな変化が起きたのです。

この記事では、「個人のミッションステートメント」とはなにか、なぜ作るのか、どうやって作るのか、作ればどんなメリットがあるのか、をまとめます。


「7つの習慣」におけるミッションステートメントの作りかた

組織が使命を言語化して声明する 多数の人々を迷いなく統率する

ミッションとは「使命」、ステートメントは「声明」です。企業が、自らの社会的使命を行動指針として言語化したのがミッションステートメントです。

意思決定から迷いを無くし、多数の従業員を統率しやすくする、といった効果があります。国における憲法も、ミッションステートメントといえるでしょう。

多数の人々が集う組織は、迷いなく、定めた使命へ向かうため、ミッションステートメントを用意します。

「7つの習慣」では、個人のミッションステートメントを作ることをすすめています。あなたや私。たったひとりなのに、なぜ個人でもミッションステートメントを作るべきなのでしょうか?

個人になぜ必要なのか 成功を思い描き 実行するため

ミッションステートメントを作る理由は、7つの習慣における第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」ためです。この習慣は「すべてのものは2度作られる」という原則(「原則」という言葉が様々な意味を含み多用され、この書を歯応えあるものにしているので注意しましょう)に基づいています。

家を作るときは、まず設計図を作り、それから実際に作りはじめます。人生も、まず成功した人生の完成図を描き、それに沿って毎日を生きよう、というわけです。

設計図がないまま家を作り始めて、偶然にも素晴らしい家ができてしまった、ということがあり得ないように、行き当たりばったりの人生が真に成功することもないのです。

あなたが死んだらどうやって弔ってほしい?

著者は、あなた自身の葬儀において、

  1. 親族

  2. 友人

  3. 仕事関係

  4. 奉仕活動してきた組織

の4者に、どんな弔辞を述べてもらいたいだろうか、と問いかけます。まさに、終わりから思い描くわけです。加えて、

「原則」と「価値観」を土台に
どんな人になりたいか
何をしたいか
「役割」と「目標」

をミッションステートメントに書こう、としています。

実は、本書には、これ以上に具体的なミッションステートメントの作り方は載っていません(ミッションステートメントを実践に移すための「自己宣誓書」の作り方は少し具体的に示されていますが)。これは恐らく、読み手に考えを促すためです。ミッションステートメントは、フォーマットに従って書けば出来上がる、というような安易な文章ではないのですから。

私のミッションステートメントの作りかた

自分を弔ってくれる人がいるのかさえわからない時代に

「7つの習慣」が示すミッションステートメントの作り方をおさらいすると、

・自己の葬式でどんな弔辞を述べてほしいか
・「原則」と「価値観」を土台に
・どんな人になりたいか
・何をしたいか
・「役割」と「目標」

ということでした。このヒントだけで、自己の人生の使命を言語化するのは、難題です。「そもそも私を弔ってくれる人がいるの?」という不安を持つ人も、現代の日本には多いはずですから。

そこで、弔辞はひとまず後回しにして、私のミッションステートメントの作りかたを紹介します。4行日記を書くのです。

4行日記でミッションを発見する

私が、人生を再起動させるミッションステートメントを作れたきっかけは、4行日記です。

毎日書いて、読み返すと、自分が何を大切にしているのかが、見えてくる。これが4行日記の仕組みです。日記は1日に1回書けばいいので、時間はかかりません。習慣化には苦労しないでしょう。

50日分の日記がたまれば、読み返すのが相当に面白くなります。半年積み重ねれば、十分にミッションステートメントを作る材料となるでしょう。

4行日記にはさらに、ミッションステートメントの「役割」にも通じる「属性」という概念があります。4行日記と「7つの習慣」は、相性がいいのです。

ミッションステートメントの最大公約数 「健康」「他者」「おかね」

健康でなければなにもできない 不健康=時間の損失

あなたが作ったミッションステートメントは、他の誰ともかぶることがありません。私のミッションステートメントが、他の誰かとそっくりだということも、ないのです。しかし10年以上、この自分のためだけの文章を読み続け、編集を重ねて気づきました。誰にも共通する、最大公約数的なミッションステートメントがある、ということに。

3つあります。

1. 健康
2. 他者との関係
3. おかね

です。

健康な肉体は、よりよく生きようとするなら(あるいはそんなことを考えもしない人にとっても)、不可欠です。どのような小さなことでも、何かを実行するには、肉体を駆使しなければなりません。指先ひとつ動かさずに、思考をめぐらせるだけだとしても、脳という器官を使うのです。健康を損なって早期に死んでしまえば、時間の損失です。

死なないまでも、不健康なままで生きることは、苦痛が増え、行動を制約されることでしょう。すると、ミッションステートメントどころではなくなるのです。

健康を損なうことは、多くの場合、不可逆です。加齢により、肉体はゆっくりと劣化し、元には戻らないのです。

歯が痛いだけで不幸になる

わかりやすい例が、歯です。一度痛み出したら、もうミッションステートメントどころではありません。根本的に解決しなければ、少なくない確率で、治療した歯はまた問題を起こします。削った歯は、元には戻りません。

「根本的な解決」とは、この場合は「定期的に歯科に通うこと」です。専門家に歯の状態を点検してもらい、正しい歯の磨き方を習い、それを習慣としなければ、歯の健康を保つことはできません。

私のミッションステートメントには健康でいるための項目があります。それを具体的なタスクに落とし込んで、定期的に歯科に通っています。

「健康でいる」は、すべての人がミッションステートメントに加えていい、最重要なことです。

人生はすべて他者との関係で決まる

最大公約数的な2つめのミッションステートメントは「他者との関係」です。人生そのものが、他者との関わりで構成されています。

あなたが話し下手で、人間嫌いだとしても(私にもそういう傾向があります)、そこから逃げていれば大きな後悔を残すことでしょう。「嫌われる勇気」が明かしたように、あなたの悩みはすべて、他者との関係です。

一見、他者は介在しないような悩みでも、その根本を探れば、芋づる式に、他者につながります。自分の顔が嫌いだ、という、個人で完結していそうな悩みだって、自分の顔を見てくれる他者がいてこそ。この世界で、自分の顔を見るのが、鏡の中の自分だけだとしたら、自分の顔の造形なんてどうでもよくなることでしょう。

自分の顔をきちんと見てくれる他者がいるか

自分の顔を見てくれる他者さえ存在しない、完全に孤独な人生であれば、悩みは消失しますが、現実的には不可能ですし、そのような生を望む人はいません。

そして、自分が気にするほど、他者は自分の顔を見ていません。実は最も恐ろしいのは、他者にじっくりと自分の顔を見られることではなくて、きちんと自分の顔を見てくれる他者がいないことです。であれば、他者との関係をどのように築くかが、人生の根幹となります。

自分の顔をきちんと見てくれる他者を欲するなら、まず自分から他者の顔を見なければなりませんし、そのためには主体的な生き方が求められます。きれいごとでなく、あなたも私も他者に生かされていますし、つまりは誰かを生かしています。

他者との関係を軽視せず、逃げることもせず、正面から取り組む。すべての人が、ミッションステートメントに加えていい、2つ目のことが「他者との関係をどのように築くのか」なのです。

おかねが欲しいですか

万人に共通する最大公約数的な3つ目のミッションステートメントは、「おかね」です。

おかねをミッションステートメントに含めていいのか、どうか。私は長いあいだ迷いました。おかねは汚いもの、という観念がどこかにあったのです。

たとえば「私はおかねのために働き、多くのおかねを得る」というテキストをミッションステートメントに加えるのは、違和感があります。それでも、現実的におかねは必要です。おかねと向き合わなければならない。私は決意してミッションステートメントの末尾に、おかねのことを書き加えました。

他者貢献の報酬として堂々とおかねをいただこう。おかねのリテラシーを身につけよう。そんな内容でした。それから長い時間がたち、ごく最近になって、おかねのことをミッションステートメントの先頭に近いところに位置づけました。

私はミッションステートメントにおいて「自由」を最も重んじています。自由でいるには、絶対におかねが必要なのです。おかねの人生における優先度に、ようやく正面から向き合ったのです。

カネの切れ目が縁の切れ目

おかねとは不思議なもので、それ自体を追いかければ追いかけるほど、逃げていきます。いっぽうで、他者との関係を大事にしていれば、あちらから転がり込んできます。

「カネの切れ目が縁の切れ目」といいますね。ネガティブな意味で使います。私はこれを、ポジティブにとらえています。仕事とはまさに縁。他者に貢献し、その成果をおかねとしていただく。

縁が切れなければ、おかねが途切れることもないのです。これが私のおかねへの考え方です。

人生に、どのようにおかねを位置付けるのか。人によって、おかねへの価値観は違うものです。しかし、重要度は誰にとっても高いはず。

健康、他者との関係、おかね。この3つの要素は、誰もがミッションステートメントに加え、人生をかける価値があります。

的確に言語化するため紙に手書きで修正し続ける

PCだときれいな下書きをいつまでも編集し続けるだけ

ミッションステートメントは、手で書きましょう。

パソコンやスマホで書くと、何度でも、すぐに、きれいに書き換えることができて、文章に芯が通らないのです。「見た目はきれいだけど完成度の低い文章」を、いつまでも編集し続けることになります。

考える=手で書く 考えるとは基本的にめんどくさいこと

書いたミッションステートメントは毎日読んで、気づきや違和感があれば、赤ペンで書き込みます。言葉の微妙なニュアンス。句読点の有無や場所。漢字かひらがなか。接続詞はこれでいいのか。ふと湧き出た発想や疑問も、言葉にして書き止めましょう。

パソコンやスマホだと、推敲の跡が残りません。訂正が面倒ではありません。だから、編集しすぎてしまうのです。

紙に手書きだと、推敲は迷いと決断の連続です。めんどくさいです。しかし、だからこそいいのです。考えるって、そういうことですから。

しばらくすれば、紙は真っ赤になっているでしょう。年や期が変わるタイミングで、新しく書き換えましょう。そしてまた、読んで書き込んでの繰り返しです。

ミッションステートメントは少しずつ磨かれ、的確に、精緻になっていきます。

自己の使命を文章にして毎日読むとなにが起こるのか

自分でも自分のことをなんにも知らない

ミッションステートメントの作成には、時間がかかかります。その価値は、あります。

私たちは、自分のことを知っているようで、実はなんにも知っていません。だから迷います。本来の自分の価値観に適していない道を選んでしまい、「原則」から外れたことをして、人生を大きく回り道します。

適切なミッションステートメントが作れたら、誤りに気づき、修正できるかもしれません。私は、38歳のときに、「7つの習慣」でいうパラダイムシフトの経験をし、世界が大きく変わりました。本来の自身の価値観に気づきました。

しかし、そこからどのように生きれば分からなくなりました。それまで、誤った価値観で生きてきたので。人生、というよりも、私自身を再起動する必要があったのです。

迷った私は「原則」と本来の「価値観」に従い、自身のミッションステートメントを探しました。

社会生活で価値観は上書きされていく

親や学校や職場から受けた影響で、私たちの価値観は「上書き」されます。小学、中学、高校、大学、職場。長く生きるほど、上書きの回数が増えます。

しかし、生まれ持ったあなたの価値観は不変なので、上書きと反発し、ストレスが増え、生きづらくなります。もう、ミッションどころではありません。

本来の価値観に気付かず、何度も上書きされた反対の価値観で物事を判断してしまうわけですから、当然です。

私の場合だと、価値観は「自由」です。自由を最も尊びます。しかし30代後半まで「会社組織に所属して生きていくのが大切だ」という、上書きの価値観に支配されていて、苦しみました。

私は自由が好きなのだ、と気づいてからは、自由になるために行動し、会社をやめ、起業しました。それ以来、ずいぶんと生きるのが楽になりました。ストレスが減り、性格も穏やかになりました。

そして、今でも「これは現実なのだろうか」と呆然とするのですが、年齢が半分の女性と結婚し、眺望のいい広いマンションで、仲良く暮らしていいます。50年ほどの人生において「今がいちばん楽しい」と断言できます。

「私のミッションステートメント」によって、自身を再起動した結果です。

使命を明確にすれば間違わない 迷わない

ミッションステートメントを手帳に書き、毎朝読むことで、また新たな発見があります。加筆修正しながら、ミッションステートメントは的確に、精緻になっていきます。

長い時間をかけて修正を続けているからか、自分の感覚になじむ良い文章です。優れた作家の文章もよいものですが、自分のミッションステートメントは、それとはまた違ったよさがあります。読むだけで快く、頭にかかった霧が晴れていきます。毎朝「これが自分なのだ」と気持ちを新たにして、1日をスタートできます。

ひょっとしたら、毎朝だけでは読むのが足りないのかも。1日に何度も読みたいほどです。これほどミッションステートメントを大事にするのは、迷わないためです。間違った選択をしないためです。

ふと酒が飲みたくなったって、ミッションステートメントがあれば、飲まない勇気が湧いてきます。

会社を辞めたくなったって、ミッションステートメントがあれば、次の行動に迷いません。自由が好きなら転職でなく起業の準備をしたほうがいいのかも。チームで何かを作り出すのが好きなら、自分に合った職場探しをするべきでしょう。

結婚だって、ミッションステートメントが明確な者同士なら失敗の可能性が減らせます。会社を辞めて起業したい人と、パートナーには会社勤めしてもらいたい人とが結婚しても、うまくいきそうにありませんから。

「あなた自身」の再起動にリミットはあるのか

私は40代から「個人のミッションステートメント」作りに本気で取り組み、自身を、人生を再起動しました。

この年齢に、リミットはあるのでしょうか。

例えば、当時の私に家族がいたら、さすがに会社を辞めることはできないでしょう。

でも、家族を扶養する役目を終えたら、再起動するチャンスが訪れるかもしれませんね。そのような転機に、間違いのない判断をするため「個人のミッションステートメント」を今から作るのは、決して遅くはないのです。

・2021-01-10初出
・2022-05-29改訂
・2022-10-24noteに転載




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