<番外編>山川先生の診察室(前編) /脳神経外科医・山川伸隆の「予防論」
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右手に痺れがっ……!!
『ビジネス発想源』の筆者・弘中勝は2016年10月上旬、背中全体に激しい痛みが走る日があり、それ以来右腕が痺れる症状がずっと続き、11月に近くの整形外科で診察を受けた結果、リハビリ通院をすることに。
奇しくもその時、このnoteマガジンの『脳神経外科医・山川伸隆の「予防論」』の再連載が決定して編集中だったタイミングでした。
そんなわけで、あまりにも絶妙すぎるタイミングだったので、弘中勝が実際に三重県伊勢市にある山川伸隆先生の「いせ山川クリニック」に行って山川先生に診療をしてもらおう、ということになりました。
今回は『脳神経外科医・山川伸隆の「予防論」』の番外編として、弘中勝が山川先生の診察を受けた「山川先生の診察室」をお届けします。これはインタビュー記事ではなく、れっきとした「診察」です(弘中勝は保険証を提示し、診察料も払っています)ので、皆さんも実際に病院に行かれた気持ちで読んでいただければと思います。
それでは、「山川先生の診察室」をどうぞ!
■三重県伊勢市「いせ山川クリニック」
-2016年11月下旬のある晴れた日、弘中勝、「いせ山川クリニック」(三重県伊勢市小木町557)に到着。
-受付後、診察前に待合室でスタッフの方の付き添いで、血圧と両手の握力を計測。順番が来て、診察室に入る。
弘中勝:弘中です。よろしくお願いします。
山川伸隆先生:こんにちは。どうぞお座り下さい。
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▼ 山川 伸隆 (やまかわのぶたか)
脳神経外科医。三重県伊勢市出身。三重大学医学部附属病院、桑名市民病院勤務後、大津市民病院脳・神経外科副医長、市立伊勢総合病院脳神経外科医長を経て、平成19年に伊勢市小木町にて「いせ山川クリニック」を開業。脳卒中、頭痛、認知症サポートなど幅広い治療・指導を行なっている。自身で企画する伊勢地区「脳卒中・認知症市民公開講座」は、毎回数百人を動員する人気講座となっている。
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山川先生:どうされましたか?
弘中:今、右手が痺れるので東京の病院でリハビリに通っているんですけど、今日は山川先生にも経過を診てもらおうと思って。
山川先生:今、東京で通院をされているんですね。では、症状など詳しく聞かせてもらえますか?
弘中:えーと、僕、普段あまり肩こりなど感じなかったんですけど、10月上旬に、朝起きたら背中全体が凝ってすごく痛い日があったんです。2、3日でその背中の痛みは和らいだんですが、その頃からずっと、正座をした時の足の痺れのように、右腕全体が痺れるようになったんです。
山川先生:痺れは、ずっとそのまま続いてたんですね。
弘中:はい。いずれ自然に治るだろうと放っておいたんですが、次第に、顎を上げたりすると右の脇に痛みを感じるようになってきたので、11月初めに自宅近くの整形外科に受診しに行きました。レントゲンで見てもらうと、ストレートネックなので首の4、5番目あたりの骨が原因なんじゃないかということで、様子見でお薬を飲みながら、プチリハビリのため通院してます。
山川先生:リハビリの内容は?
弘中:マイクロ波で右肩を温めたり、8kgで顎の牽引をやっています。週3回か4回ぐらい通っていて、いま3週間ぐらいです。
山川先生:分かりました。先ほどの握力の結果を見ると、右手の握力が左手より弱くなっていますね。右利きですよね? じゃあ、僕の手をぐっと握ってみて下さい。
弘中:(両手で山川先生の両腕をつかむ。) …右手はあまり力が入らないです。
山川先生:オッケーです。右手が痺れるというのは、どのあたりが痺れますか?
弘中:肘から先の上側(親指側)から、指先までがピリピリすることが多いです。親指とか人差し指とか。
山川先生:ああ、それはすっごく分かりやすいです。小指や薬指はないですよね? 内側(小指側)も痺れます? ないですね。分かりました。通われている病院で出されたお薬は分かりますか?
弘中:(薬の名前をメモしておいたスマホで確認する。)セレコックス錠、リリカカプセル、メコパラミン錠です。通院を始めてからずっと飲んでます。
山川先生:そうですね、薬はいいと思います。今、痛みはありますか?
弘中:ぐっと力を入れて上を向くと、右腕に痛みが来ます。
山川先生:上だけですか?
弘中:いや、力入れて下を向いても同じです。なんかこう、脇の下に鉛の玉を押し当てられているような感じになって、脇の下や右腕がぎゅーっと痛くなります。(顎をあちこちに向けてみる。) あ、特に、左上に首を上げると来ますね。
山川先生:ああ、それはすごく大事な話です。右向くと出ないんですよね。横は左を向いた時しか出ないですよね。
弘中:はい。あとは右腕に力が入らないから、2歳の子とかお米とかをとっさに抱きかかえようと思ったら、抱えられなかったり。
山川先生:ああ、これ良いこと教えましょう。両手で重いモノを抱きかかえるポーズをしてみて下さい。
弘中:こうですね。(両方の手のひらを上に向けて構える。)
山川先生:ちょっと重みをかけますから、耐えて下さいね。(山川先生、弘中の両腕を上から押す。)けっこう厳しいですよね。じゃあそのままで、両手の親指側をちょっと上げてもらえますか。また重みかけますよ。
弘中:(手のひらの親指側を上に向ける。山川先生、先ほどと同じように弘中の両腕を上から押す。)さっきより、けっこう耐えられます。
山川先生:ですよね。これ、昔は忍者なんかがよく使ってて、今でも介護の現場とかではよく使うんですけど、重いものを持つ時に力のない人が両手を上向きにして持つと持てなくて落ちちゃうという場合、重いモノの下にスッと両手を入れてほんの少し親指を上げてみると、楽に持ち上がるんです。思い切って、手首をくるっと返しても(手の甲が上になる)有効です。
弘中:不思議! 手のひらで上に持ち上げるんじゃなくて、親指と人差し指で手前にグッと引きながら持つ感じですね。
山川先生:今度は、こちらに背中を向けて下さい。痛かったらごめんなさい。(弘中の肩や背中を押す。)何かスポーツをされてますか?
弘中:特に何もしてないです。
山川先生:そうなんですか。何かスポーツやってるような良い筋肉のつき方をしてますよ。でも触ってみたら、右と左の筋肉の差がかなり分かりますね。バランスがけっこう悪いんです。じゃあちょっと、レントゲンを6方向、ポポポと撮らせてもらいますね。
■「いせ山川クリニック」レントゲン室
-弘中、正面、横向き、首を上向き、下向きなど様々な方向からレントゲン撮影。再び診療室に戻る。
■「いせ山川クリニック」診察室
山川先生:(撮影したレントゲンを見て)まず、左右のバランスが良くないんです。自分ではまっすぐ立っているつもりでしょうけど、全体的に右肩が下がっている。分かります?
弘中:ホントですね! 僕、以前はすごく姿勢が良いってずっと褒められてたのに…。こっちの下がっているほうが、右肩ですか。
山川先生:そうです。さっき背中を触らせてもらって明らかに分かったのが、普通はこうつかむと、スポーツをやっていたり利き手だったりすると右肩の棘上筋(きょくじょうきん)のほうが厚みがあるのに、左利きですか?というぐらいに筋力が落ちている感じです。
弘中:そんなにですか。それも、首が原因なんですよね?
山川先生:必ずしもそれだけじゃないんです。想像で原因を言うのは良くないと重々承知の上であえて説明しますが、全身の絵を簡単に上から描いていきますね。(手元のノートに簡単な絵を描く。)まず頭があって、首があって、鎖骨があって、胸の骨があって、骨盤があって、これらのどこかが歪んでるかもしれませんよと。
弘中:腰のあたりの歪みも、首や肩に影響してくるんですね。
山川先生:ええ、しかもここだけで話が終わらなくて、もっと下の膝とかは悪くないかとか、靴のかかとの磨り減り方が偏っていないかとか、いろんなところから来ている可能性もあるんです、靴の磨り減り具合とかはどうですか?
弘中:僕いつも、ウォーキングスタジオが併設されている店で靴を買っていて、毎回履いてきた靴の靴底を見てもらえるんですけど、ちょうど数週間前に買いに行って、履いてた靴を見てもらった時は、きちんと正しいすり減り方だと言われました。
山川先生:それはバッチリですね。膝も痛くないんですよね。では、例えば腰痛はないか、仕事で座っている時間が多くないかとか。
弘中:座りっぱなしの時は多いですね。
山川先生:そうすると、座り方でバランスを悪くしている可能性もあったりするんです。あとは、横から撮ったレントゲンのこの顎のところ。分かります?
弘中:顎は、2本写ってますね。
山川先生:そうです。顎の2本のラインは普通ならそれなりに重なるはずが、2本に見えるというのは、顔がゆがんでいる人以外であれば、小首を右側に傾げている可能性があるんですね。そして、首を前後に曲げた写真がこれですね。(2枚のレントゲン写真を交互にパカパカ表示する)
--すっかり露わになった、弘中勝のレントゲン写真。あなたはこの写真から、今回の症状の原因を読み解くことができますか?
そして山川先生の診断は…?
番外編「山川先生の診察室」前編はここまで。
後編(2017年1月上旬公開予定)をお楽しみに!
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