見出し画像

隣にいないときに、隣にいるであろう相手のことを考える

恋人との時間は、一緒にいるときよりも一緒にいないときのほうが圧倒的に多い。

1日のデートの時間よりも、デートの日を迎えるまでの時間が長いし、ご飯を一緒に食べる時間よりも、どこにご飯を食べにいくのか悩む一人の時間が長い。

恋人とは、遠くにいても近くにいる。遠くにいるけど、何かで繋がっている。そういう不思議な存在なのだろう。

だからこそ、一緒にいない間にどのくらい相手のことを考えるのか、考えてくれてるのかが、一緒にいるときに滲み出る気がする。

例えば今日、恋人とデートだとしよう。恋人との待ち合わせ前、喉が渇いてきた。近くのコンビニに入って、ペットボトルが並ぶ扉の前に立つ。

さて、あなたはどうする?


1、自分のお茶を買う。恋人と会う。
2、自分のお茶を買う。ふと思い立って恋人の分は? と考える。持っていたら、と思い自分の分だけ買う。
3、自分のお茶を買う。ふと思い立って恋人に連絡する。「飲み物いる?」。
4、自分のお茶を買う。ふと思い立って恋人の分も買っちゃう。
5、自分のお茶を買う。ふと思い立って恋人の分は? と考える。一旦は買わないけれど、恋人と会ったあとに「飲み物買いに行く?」と直接聞く。

もっとあるだろうけど、今の私が思いついた5パターンはこんな感じ。


というか、そもそもどうしてこんな話をしたいのかというと、パターン4に遭遇したのがきっかけだ。

この休日、妹と、妹の恋人と、3人で遊んだ。

えっ……邪魔ものでは? との声が聞こえてきそうだけど、妹カップルは他の人に対してとってもオープンなので、私のことをとてもウェルカムしてくれるのだ!(強めに言い聞かせる)


目的地まで車で向かっていたときに、妹の恋人が「トイレに行きたい」と言った。近くにコンビニを見つけ、車を停める。彼だけがコンビニに行き、私と妹は車の中で待機していた。

そして用を済ませた彼が車に戻ってきたとき、手には3本のペットボトルがあった。午後の紅茶ストレート、レモンティー、ミルクティー。「どれがいい~?」と聞くその笑顔が妹は好きなのだろうな、と思った。だけど私は、

……っ!?!? 気配りのできる恐ろしい子……!!


ガラスの仮面、月影千草

と思っていた。

だってたぶん私なら、何も買わないと思うから。

車で恋人が待っていることが明らかにわかっても、自分の用が済んだら「お待たせー」とか言って何事もなかったかのように車を走らせると思う。

だけど妹の恋人はトイレを出て「あ、車に恋人とお姉さんがいるのか」と一瞬でも私たちのことを考えたのだ。すごい。素晴らしすぎるって。そうできないだろう私からすると、そうできる彼はとてもすごい。

さっき出した想定の話でも、きっと私はすぐにパターン1を選ぶと思う。

1、自分のお茶を買う。恋人と会う。
2、自分のお茶を買う。ふと思い立って恋人の分は? と考える。持っていたら、と思い自分の分だけ買う。
3、自分のお茶を買う。ふと思い立って恋人に連絡する。「飲み物いる?」。
4、自分のお茶を買う。ふと思い立って恋人の分も買っちゃう。
5、自分のお茶を買う。ふと思い立って恋人の分は? と考える。一旦は買わないけれど、恋人と会ったあとに「飲み物買いに行く?」と直接聞く。

もしこうやって選択肢が書かれていたとしたら、パターン1は選ばない気がする。だってどうみたって他の選択肢のが「良いじゃん!」とわかるからだ。でも現実問題、それはわからない。現実って難しい。

それだけに、こういう場面で「恋人を想う時間」が滲みだす。

一緒にいないけど、相手のことを考える。相手のことを考えたうえで行動する。選択する。

隣にないときに、隣にいるであろう相手を考えることが2人を恋人にしてゆくのかもしれない、なんて思ったのだった。

なので、妹カップルを私はけっこう応援しているし、2人のファンでもあるのだ。

いいなと思ったら応援しよう!

たなべ
”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。