「今から晴れるよ!」の能力が現実にあるといいなあ。
晴れてるって、すごい。
ここ最近、天気が悪くて洗濯物が溜まっていた。中干しでなんとか凌いでいたけれど、私はなるべく外干ししたいと思ってる。
東京のはずれに住んでいて、たまにこのことを話すと「危ないよ!」と言われる。だけど、外干しがいいのだ。
そのほうが洗濯物が喜んでいるような気がする。
人間は太陽に当たるとビタミンDができると言うが、洗濯物もきっと太陽から何かをもらっている気がする。お日様のいい匂いとか、ふんわりとした肌触りとか。外に干さないともらえないエネルギー。
4月の今週は、しとしとと雨が降っていた。けれど今日、ようやく“晴れ”が巡ってきたのだ。
からから、とベランダを開ける。
ふぅっと空気の匂いがした。夏の匂いと、久しぶりに雨が上がった匂い。ちょっと青臭い匂いも混ざってる。
晴れてる。
そのことに胸がいっぱいになった。順番に洗濯物を干していても「あ〜晴れてる!」と呟いてしまった。
太陽が出てる。青い空。青臭い匂いは空の匂いなのかもしれない。
洗濯物を干しながら、新海誠監督の「天気の子」を思い出していた。
「天気の子」の主人公の女の子は、天気を晴れにできる能力を持っているんだけど、すごいところに目をつけたなあ、と思う。
晴れてるってだけで、私はこんなに満たされた気持ちになる。そんな「晴れ」を題材にした新海誠監督もやっぱりすごい。
だって、晴れて欲しいって思うもん。
「天気の子」の中でも、疾走感と透明感のある「グランドエスケープ」という曲。
気づかぬうちに口ずさんでいた。
洗濯物が風に揺られる。バスタオルも、スカートも、ワンピースも、風にふわふわと舞う。
私も気持ちもふわふわと舞う。
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