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「恋人の条件は?」「年収とその使いっぷりかな」

もし、「恋人の条件は?」と聞いたとき、「年収」と返ってきたらどうだろう。

友達と話をしていて、お金の考え方について発見があったのでそれを書こうと思う。

大学時代の友達と夜ご飯を食べに行った。彼女は、私とお笑いのツボが同じで、会話のテンポが似ている、とても波長があう友達だ。

お互いの近況や、ちょっとした愚痴、これまでの思い出話の花を満開に咲かせたあと、彼女がマッチングアプリをしているという話になった。

これまで何人かマッチングした男性とご飯を食べに行った彼女。けれど、結局どの人も「ちょっと……」と決めきれなかったらしくその後は何も起こっていない、とのことだった。それを聞いて私は「あらまあ、意外」と答えた。
彼女は人見知りもしないし、初対面の男性とご飯を食べに行っても楽しく過ごせるようなタイプなのに。

何気なく「大学生の頃と、恋人に求める条件で変わったところがあるの?」と聞いた。

すると彼女は1ミリの隙もない速さで「年収かな」と答えた。

「年収!」なんともわかりやすく、それでいてちょっと引いてしまった私。「お金が全てじゃないよ」「お金だけで人の価値は決まらないよ」というようなことを素直に思ったし、なんなら直接彼女にそう言っている自分がいた。彼女は社会に出て、何があったのだろうか。お金で何かがあったのだろうか。騙されたりでもしたのだろうか。

ところが、彼女は「そういう意味じゃなくてね(笑)」と話を続けた。

彼女曰く、年収はその人が働いた分だけもらえる社会からの正当な対価だと思えるようになった、とのことだった。
というのも、彼女が働いている業界は歩合制が採用されており、頑張れば頑張るほど評価されるし、その分の対価として給与ももらえるとのことだった。「頑張れば頑張るほど」というのは、そのために頭を使う必要があって、顧客をとるために働き方にも工夫が必要となる。
彼女自身、普段はばりばりと働いていて、周りの上司や先輩からは見習うところが多いのだという。

「そうするとね、やっぱり年収がある人ってそれだけ努力してるはずだし、結果としての1つの指標だと思うんだよね。私も働いてみて、それだけの年収を稼ぐためにはやる気も、根気も、それから継続も必要ってことがわかってさ」

リッチな生活をしたい、玉の輿をしたい、みたいな理由もなきにしもあらずだけどね、と彼女は笑った。

私はこれを聞いて「ごもっとも!」と思った。というか目から鱗ぽろぽろ話だった。

これまで「年収〇〇円以上が条件です」と言われたら、「なんとまあ」とちょっと引いてしまう自分がいた。それは、相手を財布・ATMのように無機質なものとして見ているその人にちょっと違和感があったからだ。
私自身、お金はないよりもあるほうがいいとは思う。それは、幸福がお金で買える、とは思わないけれど、お金があることで回避できる不幸はきっとあると思っているから。

けれど、「年収」をお金や、お金の総量として見るんじゃなくて、「その人の社会的価値」「その人の努力の結晶」のように考えたことはこれまで一度もなかった。
ここに「ほお~! なるほど!」と思ったのだった。

「年収があったとして、他の条件はある?」

「あとはね、お金の使いっぷりかな」

「使いっぷり?」

「そうそう。例えば稼ぎが良い人と一緒にご飯に行くと、そのことを自分の自慢にしたい人がいるんだよ。それ自体は悪くないよ? それだけその人が頑張ってるってことだから。
でも初対面だし、私も学生じゃないからある程度のお金は稼いでる状態で、お会計のときに『支払います』って言ったときに、『いいよいいよ、僕これだけ稼いでるから』って言われたら、それは私に対しての敬意がないと思わない? 年収を鼻にかけてるのかどうかって使いっぷりでわかると思う」

なんと! なんと!! なるほど!!!
私は目から鱗がもう3枚ぐらい落ちた。

他にも、その人がどのくらいのグレードのお店を用意してくれて、いくらの料理を食べるのか、お酒を飲むのか、を見るのだ、と彼女は言った。

そこで現れるのは、稼いだお金をどんなふうに使うのか、金銭的価値観だという。もちろん初対面の食事だから奮発しているかもしれないという可能性を考えつつ、どんなチョイスをするのかを見ることで普段の使い方を垣間見る。

そして極めつけは、支払いだ。全額支払いをしてくれるのか、割り勘にするのか。
もちろん全額支払いをしてくれることには感謝しかないがそのときの言い方、お会計の済ませ方、相手への気遣い方を見るのだという。
理想はやっぱりトイレに行ってる間に済ませて、「さ、帰ろうか」と手を出してくれる男性(割と夢見がちな友達なのだ)。

割り勘にするときも、1円単位で割り勘を求めてくるのか、お札のみ割り勘を求めてくるのか、もしくは、「うーん、じゃあ僕が支払うから3000円だけくれる?」と合計は言わないもののそれらしい値段をもらうようにしてくれるのかなど、自分に対しての敬意や、気の遣い方を見るという。

お金1つでこんなにもチェックポイントがあったとは。

何よりも、年収とその使いっぷりを見る、というのはなんと理にかなっているんだろう、と私は思った。
お金って動くものだ。だけどそれを手に入れるためには、まずは自分が動かなければならない。だからこそ、価値が宿るし、自分の思い入れも入ってくる。そしてそれは人といるときに、自分の分身として隅々にその人が出てくるのだという気づきがあった。

ほお~なるほど。

もちろんすべてがこの通りではないし、これは彼女の偏見でもあるのですべてを鵜吞みしないでほしい。
ただ、こういう側面もあることは確かだな、と私は思ったのだった。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。