私が選んだ”希望”、友達が選んだ”優しさ”
家に1輪の花がやってきた。テレビの横でするっと咲く花が目に入るたび、可愛くて仕方ない。
先日行った「100色の結婚式−2100年までにカタチにしたい100のこと−」展には、100色、色とりどり、を表すために1000本の花が飾られていた。( 冒頭の写真は、一部)
来場者は、入口で長い傘を入れるようなビニール袋を渡され、「気に入った花があったら1輪持って帰ってくださいね」と言われた。
そんな特典があるとは知らなかった私たち。これぞ棚からぼたもち。嬉しいオチ。……と、思わず韻を踏んじゃうくらい、こういうフリープレゼントがまだまだ嬉しいお年頃なのだ。
正直な感想をいうと、展示を楽しむというより、花畑に行った、というほうが近かったかもしれない。展示会場自体が小さいから、展示物や作品より、花のほうが目立っている。
赤、ピンク、白、ボールド、黄色、オレンジ、コーラルピンク。かたちの違う花たちを選ぶのは心がわくわくした。何せ、花を買ったことも、もらったことも生まれたこの方ないのだ。1輪挿しの花瓶を買って、花のある生活をしたいなあと思っていたから、これは好タイミングだった。
花をもらったことがない、だけど花のある生活をする……このふたつから私は、ぴこーんとあるアイデアを思い付いた。
「ねえ」
友達に話しかける。
「ふたりで贈り合おうよ。私が〇〇ちゃんにあげる1輪を選ぶから、私に1輪選んでいいよ」
ずいぶん上からな物言いで、このナイスアイデアを、ちょっとすかしている。ツンデレがよくやる、ほんとは行きたいのに「行ってやってもいいけどね?」と言っちゃうあれだ。
「ツンデレかよ(笑)」
しっかり気づくからこの子が好きだ。
友達に選ぶとなると一気に花への見方が変わる。この子に似合う色はどれだろう。この子に合う形はどれだろう。花びらの向き、花全体の角度、茎の倒れ具合。そういう細かいところまで目に行く。なにせ1000本分の1本。この無限にあるようにも見える花の中から1本を選ぶ。
「ねえ、テーマ決めない?」
言い出しっぺはいつも私だ。
「テーマ?」
「私は、”〇〇ちゃんからの優しさ”ってタイトルで私に花を選んで。〇〇ちゃんも何かテーマ決めていいよ」
「え~……じゃあ、”希望”にしようかな」
こういうのに付き合ってくれるし、付き合ってくれた上でちゃんと考えてくれるから好きだ。
テーマもきまったところで見る花はやっぱりまた違って見える。この子にあう”希望”の色。この子が想像する”希望”のかたち。たった1輪の花をえらぶために1時間ほど、小さな会場をぐるぐるした私たち。
「決めた」
そう言って私たちは2輪の花を選んで贈りあった。
こちら、私が選んだ”希望”。
そしてこちら、〇〇ちゃんからいただいた”優しさ”。
花そのものも素敵なんだけど、だけどもっと素敵に見えるのは、こういう背景があるからより可愛い。可愛くて仕方ない。