携帯を握りしめても思い出はできないから、天王洲アイルへ行ってくる
Fさんが著書の「20代で得た知見」という本の中にこんな一文が出てくる。
携帯を握りしめても、思い出はできない。
スマホやSNSが普及した今、ほんとうにそうだなあと思う。昔から、百聞は一見に如かず、と言われるけど、特に今の時代、この小さな機械スマホで百聞どころか千聞、億聞の情報が手に入る。自分が気になることは大抵、気になるまま文字を打てば、誰かが答えてくれている。
魚へんの漢字なんて、「魚里 漢字」と打つだけで、あなたが知りたいのは「鯉」という漢字ですね、と言われる始末。とはいえ、この機能にはとても助けられている。ありがとうスマホ。
でもだからこそ、実際にしてみることや体験したことがより貴重になる。実際にしてみるとわかるけど、実際にしてみた瞬間だけが"実際にしたみた”じゃない。
どういうことかというと、どうやったらできるのか調べてみたり、何回か試作してみたり、そういう過程も含めて"実際にしてみた”なのだ。観光地に行くとしたらその場所に行くだけじゃなくて、行くまでの道のりとか、迷ってマップを見たりとか、そういう副産物も"実際にしてみた”は与えてくれる。
だから私は明日、「ブルーピリオド展」に行こうと思っている。
展示していることを知って、まずこのサイトにすっごいワクワクした。ぜひスマホで見てほしんだけど、スクロールしてるはずなのに、画面が横に流れてゆく。こんな美術館のような素敵なサイト作ったのだれ!? ってなる(笑)
物語のキャラクターたちが順に出てくるのも愛しい。私は主人公が美大に行くきっかけをくれた美術部の先生がとても好きなんだけど、ああ~! 先生!! ってなる。
調べてみて、会場は倉庫らしい。最寄りは……
て、て、て、天王洲アイル!?
名前だけめちゃくちゃ聞いたことあるのに、一体何があって、どうしてそんな駅名なのかわからないけど、さわやかでシャレた感じだけがする天王洲アイル。
ほら、実際に行こうとするとこういうことが起きる。Instagramで調べてしまえばブルーピリオド展についての情報は億聞、得られるだろう。
だけど、実際にブルーピリオド展に行かなければ天王洲アイル駅に降り立つこともなかったし、自分の最寄り駅から天王洲アイルまでを調べることもなかったと思う。
だから、百聞は一見に如かずなのだ。携帯を握りしめても思い出はできないのだ。