東北プロボノ2020 活動記 vol.1
2020年8月下旬にスタートした本プロジェクト。チーム活動がスタートして約2ヶ月半が経過した時点の、プロジェクトに参加しているウィル・シード社員の活動エピソードをお届けします。
1.参加チームを決めるまで
▼マッチングイベントにて
8月下旬、東北の事業者と参加者のマッチングイベントが開催されました。参加者が各事業者のプレゼンを聞いて、自分が参画したいチームを決めるものです。
「東北プロボノプロジェクト2020」の事業者の方々は、誰もが強い想いをもって、東北で様々な社会課題に向き合って活動していらっしゃいます。その中で私は、バンザイファクトリーという会社のプロジェクトチームに参加したい!と強く思いました。
私は「つくる」ことが好きで、現在は「研修の場をつくる(企画する)」仕事をしています。これまでずっと無形のものをつくり続けてきた中で、バンザイファクトリーが事業として取り組んでいる「製品をつくる」ことに触れたいという感情が沸きました。
さらに、バンザイファクトリーの会社紹介の映像には「こんな仕事を創り出したい・被災地に新たな仕事を創りたい」という言葉があり、「仕事が人を磨く」という私が大切にしていることに重なる感覚を覚えました。単純にプロジェクトをつくるのではなく、仕事をつくる想いに惹かれた瞬間です。
2.チーム活動が始まった!
9月下旬。いよいよチームメンバーが顔を合わせる日です。どんな人たちと活動するのかな…と少し緊張しました。そして、チーム活動のすべてがオンラインで行われることにも、最初は不安がありました。オンラインで複数人が集まると、メンバーが順番に話すようになり、雑談などのラフな会話がうまれにくく、チームビルディングがしづらそう…と感じていたからです。
▼私自身ができることは何か
そんな中で私が心掛けたことは①オンラインミーティングでは相手に反応が伝わるようにオーバーリアクションすること、②ミーティング外のslack上での情報共有には即レスすることでした。
「初めまして」のメンバー同士がこの活動に注力するためにも、土台となる関係性を良好にしていきたいと思い、そんな行動を取ることを選択していました。ささいなことですが私自身がチームビルディングで気をつけてきたことを活かすことができたと思います。
▼囚われない
「オンライン実施だからこそ」の気づきもありました。仕事では当たり前に行われる「名刺交換」ですが、今回はオンラインのため、チームメンバーと名刺交換をする場面は一切なく、初対面の挨拶から自己紹介やその後のコミュニケーションを重ねていきました。名刺交換がなかったことで「□□会社の●●さん」ではなく「この活動の何かしらに惹かれている●●さん」と、その人自身に対峙している感覚が強くあります。もちろん「企業 と 企業」の構造の中で仕事をすることで培われる組織人としての誇りや、だからこそ生まれる緊張感や醍醐味、そして成果創出への達成感は大切です。
それらを大切にしながらも、その人個人と対峙することで「この職種の人はこういう特性がありそう」「この役職の人にはこのようなの能力が備わっていそう」などの思い込みを取り払えたように感じます。同時に、これまでの自分自身が企業の中にあるラベル(企業名・職種・役職など)に少し囚われすぎていたのではないか、と気づくきっかけとなりました。
▼多様なメンバーとチームとして活動する
10月初旬、バンザイファクトリーの社長に初回ヒアリングの時間をもらい、私たちが取り組むべき課題が定まり始めました。ところが、解決策のアイディアについて議論しつつも、具体策が深まらず煮詰まった時期があります。
そんなある日、チームメンバーが「次回は、全員が具体策を資料に落とし込み、それを持ち寄ってディスカッションしましょう。資料の構成はいったんフリーでやってみましょう」と言ってくれました。私もまずは自分なりに課題を整理して、文章化したり、解決策のアイディアを具体的にして、資料をつくり、ミーティングに臨みました。
すると持ち寄った資料にはたくさんの「違い」と「違いからの発見」がありました。例えば、「目的」という項目があるのは全員共通なのですが、その背景をしっかりと書き表す人もいれば、解決策の詳細さに重きを置いて検討してきたことを書いている人もいる、といった具合です。
そして、口頭でも資料に込められた考えを発信する中に、メンバーのこのプロジェクトへの想いや、普段の仕事でも大事にしていることを以前よりも強く感じられるようになりました。何より「見える化」することで議論がだいぶ前進したことは、今でも覚えています。
こういったチーム活動の紆余曲折を経ながら、私たちは1つのチームになっているのだと思います。
3.もっと知りたい!
普段の仕事とは違う領域に対して課題設定から解決策立案まで行うことには、やはり難しさもあります。そこを突破していく最初の「鍵」は、バンザイファクトリーをよく知ることでした。
▼バンザイファクトリー
バンザイファクトリーで生み出される商品・製品の1つ1つには、なぜこの商品・製品をつくろうと思ったのか、という作り手の強い想いが存在します。そして、商品・製品を改善・改良し続けている話をきかせてもらい、「良いものをお客様に届けたい」という開発にかける強い信念も感じました。
バンザイファクトリーの主力商品の1つである「椿茶」もまずは自分自身で味わって知ることから始めました。
「あぁ、そういえば椿ってこういうかおりだったなぁ!懐かしいなぁ」「甘みがあるけど、後味がすっきりしてる!」「飲んだあとしばらく椿を感じられる…」など、たくさんの感情が沸いてきました。
自分で椿茶を味わった後に、バンザイファクトリーで椿茶を製造している工場の様子を映像で見せてもらい、そして、商品に込められた気持ちを聞かせてもらうことで、この商品を世の中にもっとひろめたい、と心から思えるようになっていきました。
バンザイファクトリー社長の高橋さんは、バンザイファクトリー以外にも、レッドカーペット・プロジェクトのリーダーとして活動されています。
高橋さんのすべての「顔」に共通項があるならば、「それぞれに宿る強い想いと圧倒的な行動力」だと思います。ただ、私は、高橋さんのあふれる想いに触れる中で、「人は、“一人”という存在ではあるが、その“一人”の中に多様な想いが宿る存在である」と感じるようになりました。“一人”の人が持つ、無限の可能性に気づかされたのです。
プロボノチームが課題を設定し、解決していくにあたっては、高橋さんのさまざまな想いのどの部分に応えているのか、しっかりと見ていく必要はあります。ただ、無限にひろがる想いが様々な活動の機動力になっていることを肌で感じ、「想い」は1つに絞らなくてもいい。1つに絞らない豊かさを学ばせてもらいました。
そして、この活動をきっかけに、東北についてももっと知りたいと思うようになりました。
▼最後に
今、チーム活動は、私たちが考えている解決策をバンザイファクトリー高橋さんに提案する、という局面を迎えています。その結果のエピソードはまた、活動記Vol.2でご紹介します。