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フライト準備から学ぶマネジメント

 先日の出張で飛行機を利用したときのこと。搭乗中に何気なくシートポケットにある機内誌をパラパラとめくると、機長の方が書かれた「パイロットの大切な準備」というコラムが目に留まりました。コンサルタントとして様々な職種を分析してきましたが、パイロットの仕事は触れたことはなく、どんな準備が必要なのか、興味深く読み進めていくと次のようなことが書かれています。

 パイロットは、フライト前に航空法で定められた6つの確認項目をチェックする必要があるそうです。航空機の整備状況、燃料の 搭載量、積載物の安全性、飛行場・航空路の状況、そして気象情報など、我々でも想像できそうな項目が並んでいましたが、その中で馴染みのないものが一つありました。それは “飛行機の重心位置”というもの。飛行機を安全に飛ばすためには、飛行機の重心を適正な位置にもっていく必要があり、機長は飛ぶ前に機種毎に細かく設定された(主翼から〇〇cm以内)重心の通りになっているか、自身で確認しなくてはいけないそうです。

 組織にも“重心”というものがあります。それは飛行機と違い都度変わるもので、ある時は生産性に重心を置かなくてはいけないし、時には全体のワークライフバランスを優先的に見なくてはいけない。人に関しても新人教育に重心を置く時期もあれば、特定職種(例えば新規開拓営業)に力を注ぐべき期間もあるでしょう。思うように成果が上がらない組織は、マネジャーがこの重心を読み違えている場合が多いように思います。

 MBWA(Management By Walking Around)というマネジメント用語があります。マネジャーが現場に足を運ぶことの重要性を説 いた言葉です。マネジャーは日々職場に赴きメンバーと会話し(リモートワークでは違うやり方が必要ですが)、優先順位の高い課題(重心)を正確に把握する。それが、マネジャーの“フライト準備”と言えるでしょう。