創世記1章1節 原語解説
בראשית ברא אלהים את השמים ואת הארץ
初めに、神が天と地を創造した。(新改訳)
In the beginning God created the heavens and the earth. (NAS)
בְּרֵאשִׁ֖ית (ベレシート) 初めに/in the beginning
בָּרָ֣א (バラー) 創造した/created
אֱלֹהִ֑ים (エロヒーム) 神/God
אֵ֥ת (エット) 〜を
הַשָּׁמַ֖יִם (ハシャマイム) 天/the heavens
וְאֵ֥ת (ヴェエット) 〜と〜を /and
הָאָֽרֶץ (ハアレツ) 地/the earth
(上記のヘブライ語には、発音記号(ニクダー)を付けました)
創世記のあまりにも有名な書き出しです。非常に完結な文ですが、この一文に全宇宙が詰まっています。
各単語を以下で詳細に見ていきます。
בראשית(ベレシート)
「初めに」、又はin the beginningという意味です。
実は、日本語では「創世記」または英語では「Genesis」というタイトルが付いていますが、ヘブライ語聖書のタイトルは、この בראשית なのです。
בּ は、ベートという2番目の文字です。「〜の中に」又は英語のinを意味する前置詞です。
この文字は、ヘブライ語で「家」を意味するבּות (バイト)の省略形です。
家とは、家族が住む場所ですよね。ということは、創世記では、最初の1文字でいきなり「家族」が示されていると解釈してもよいかと思いました。
ראשות (レシート)は、「頭、初め」を意味する単語 ראש (ローシュ)が変化した形です。
新約聖書の観点からいうと、初子であり、教会のかしらでもあるキリストを予め暗示している、という解釈も成り立つではないかと思います。
ברא (バラー)
「創造する」又はcreateを意味する動詞です。時制に関しては、私もまだわかっていないので説明を割愛します。
日本語、英語、中国語、韓国語のいずれの言語でも、名詞の後に動詞が置かれますが、ヘブライ語では、名詞の前に動詞が置かれます。これが大きな違いです。
אלהים (エロヒーム)
「神」を意味します。ここでは、אלהיםは、前の動詞の単数形のבראと呼応するので、単数として扱って「偉大な神」と訳すこともできるようです。
את (エット)
日本語の「を」に相当する前置詞です。ヘブライ語聖書では、11000回以上使われているようです。英語には対応する前置詞がありません。
השמים (ハシャマイム)
ה (ハ)は、英語のtheに相当する定冠詞です。
שמום (シャマイム)は、「空」又は「天国」を意味します。
ואת (ヴェエット)
最初の文字 ו (ヴェ)は、andに対応する接続詞です。את (エット)は、上記でも述べたように、「を」に相当する前置詞です。
הארץ (ハアレツ)
ה (ハ)は、英語のtheに相当する定冠詞。
ארץ (エレツ)は、「地、地球」を意味する単語です。
イスラエルには、הארץ (ハアレツ)という新聞社があります。
感想および参考元
この一節読んだだけでも、とてもワクワクします。きわめて単純な文型ですが、何度読んでも、この一節に込められた意味を把握しれきれないように思えます。原語にはまだまだ秘密が隠されているような気がします。
創世記1章の発音の仕方については、以下のサイトを参考にしてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=t0-IilfvCEE
なお、私はヘブライ語の初学者に過ぎませんが、この解説には、以下の文献とサイトを参考にしました。
青木偉作著「はじめての聖書ヘブライ語」
牧師の書斎
http://meigata-bokushin.secret.jp/index.php?1%E7%AB%A01%E7%AF%80
http://meigata-bokushin.secret.jp/swfu/d/auto_CnHBmA.pdf
The Complete Tanakh (Tanach) - Hebrew Bible
https://www.chabad.org/library/bible_cdo/aid/63255/jewish/The-Bible-with-Rashi.htm
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