利尻山でバックカントリー①
スプリットボードを購入し、たまにバックカントリーではなくバックカントリーを中心に滑ることを決心した2022−2023シーズン。そして、そのときなんとなく目標としていた利尻山でのバックカントリー。2024年2月に2シーズン目にしてその目標に到達した。たどり着くまでは試練を要したが、滑走するときについては天候に恵まれ最高の体験をすることができた。そのときの記憶を記録に残しておきたい。
1. スケジュール
1日目:東京ー稚内ー利尻島へ移動
2日目:バックカントリーツアー1、利尻島泊
3日目:バックカントリーツアー2、利尻島ー稚内へ移動、稚内泊
4日目:ゲレンディング@稚内こまどりスキー場、稚内ー東京へ移動
2. 利尻島までのアクセス
利尻島へのアクセスは、いくつかのルートがあるが今回は東京ー稚内が空路、稚内ー利尻島鴛泊港が海路の計画だ。
羽田ー稚内 ANA
稚内空港ー稚内港 宗谷バス
稚内港ー鴛泊港 ハートランドフェリー
3. 1日目 羽田空港から利尻島へ
羽田と稚内の結ぶのは1日ANAの1便のみ、その便に合わせたようなダイヤでバスとフェリーが運行されているが、フェリーについては電話で問い合わせたところANA便が遅延しても出航を調整しないとのことだった。出発の前日、ANAから天候調査中のメールが来ていた。そうはいうものの着陸するだろうと鷹を括っていたのが・・・。
東京ー稚内(ANA571便 羽田10:40ー稚内12:35)
当日、ANA便が稚内付近で降下し始めたときに窓の外を見ていると真っ白な雲の中に包まれた。こんな天候で着陸するのだからいくらレーダーや操縦支援システムが発達したとはいえパイロットは大したものだと思っていた矢先、降下していた機体は上昇し始めた。機内アナウンスが流れ、着陸寸前で規定外の視界となったため一度上昇してチャンスを伺うと説明された。しばらく低空で旋回を続けたのち、機体はさらに高度を上げた。再びパイロットから説明があり、低空で長時間旋回していると燃費が悪いため、高度を上げて様子を伺うとのことだ。まだ諦めていないと力強いコメントが最後に付け加えられた。30分以上は旋回していただろう。これ以上遅れては着陸できたところで、空港から市街地へ向かうバスは待っていてくれたとしてもフェリーは出航してしまっている。冬の北海道、何があるのかわからないものだと潔く諦めた。そして結局天候が回復しないため新千歳空港にダイバートすることになった。新千歳空港で降ろされた我々、乗客の選択肢は3つ、1.羽田空港へ帰る便への振替、2.新千歳から稚内に向かう便への振替、3.陸路(JRまたはバス)で稚内へ向かう振替。確実に、快適に稚内に当日中にたどり着ける方法は電車だろうと判断し、新千歳空港から札幌、旭川を経由して旭川へ向かう長旅が始まった。
新千歳空港ー札幌(快速エアポート)
快速は頻繁に出ているし、旭川で乗り継ぐ電車まで十分時間があるが、鹿に衝突して遅延などの話をよく耳にするので準備を整えすぐに札幌に向かった。
札幌ー旭川(ライラック35号 18:30ー19:55)
旭川に早く到着してもやることはないのだが、豪雪地帯の岩見沢を通過しなければならないため、自由席で構わないから早めの特急電車で旭川へ向かうことにした。札幌ー旭川の区間はおそらく北海道でかなりの上位の幹線のようで最低1時間に1本以上の特急電車が走っているため非常に便利だ。
旭川ー稚内(サロベツ3号 旭川20:06ー稚内23:47)
最後の乗り継ぎにして一番乗車時間が長い電車。そして日も落ちて辺りは漆黒の闇で景色はないに等しい。そろそろ旅の疲れが出始め、暖かい車内で眠りに落ちていたところ急ブレーキがかかった。車内アナウンスに耳を傾けると鹿と衝突したとのことだった。本当に出くわしてしまった。しばらく停車し、安全確認ののちに出発した列車であったが雪と野生動物の影響による減速などが影響して稚内駅に到着したときはすでに日付が変わっていた。
稚内に宿泊(ドーミーイン天北の湯)
以前、夏の利尻山に登りに来たときにも宿泊したドーミーイン。サウナに入りたかったのでここにしたのだが深夜は火を落としてしまっており入れず。
翌日は朝一番のフェリーに乗車しなければならないので、フロントでフェリーターミナルまでのタクシーを予約して、翌朝の出発時間のギリギリまでサウナを楽しめるように全ての準備を整えて就寝。
1日目のまとめ
おそらく羽田から飛び立ったANA便が稚内に無事に着陸をしてしまったらこんなにも印象深い1日目にならなかったと思う。時間がかかりすぎるので進んで選ぶことはまずないが、列車を乗り換え目的地になんとか辿り着かなければならないと一人で必死になるのは平凡な日常にいい刺激だし、旅をしていることを実感させてくれた。一番の目的は利尻山を滑ることなのに非常に充実したスタートを切ったと言えそうだ。