セルフサービスBIツールの課題
日本の企業はTableauなどのセルフサービスBIツールを導入している企業が多くありますが、ガバナンスが効かなくなり負債が蓄積されてきています。一部のテクノロジー企業を除いて、不便さを許容していて開発効率が悪かったりメンテナンスが効かなくなっています。
数年前は「Tableau?なにカッコイイじゃん」という声が多方面から聞こえてきましたが、最近は静かになってきているのは作り手がストレスを感じているからではないでしょうか。
この記事では今日本で起きているセルフサービスBIツールの課題をご紹介してどのように対処すべきかを記載したいなと思います。
この記事を書くことで、BIツールを利用されている方から「こんな課題もあるよ」「こんな対処法あるよ」といったアイデアを頂いて、より知見を深めることができたらなと思います。
お気軽にnoteのコメントやDMなどを頂けると嬉しいです。
セルフサービスBIツールが浸透した背景
ビッグデータという言葉がバズワードとなった2012~2014年頃から日本のビジネス全般でデータ分析が流行しました。
そのおかげでデータを可視化するという意味でわかりやすいBIツールの需要がとても大きくなりました。ただ、日本のほとんどのビジネスユーザはデータを扱って意思決定した経験はなく、データを管理する方法も知りません。
データ分析者が使うお堅い分析ツールは受け入れられず、「あらゆるユーザが手軽にデータ活用ができる"セルフサービス型"のBIツール」が流行しました。
爆発的に流行したTableau
ここ4,5年でTableauがBIツールのトップオブマインドを獲得しました。
Tableauの優れている点はたくさんありますが、勝因はどのツールよりも使いやすさとカッコよさを追求して共感を生んだ点だと思います。
スタンフォード大学のデータベースの視覚化の研究から生まれた製品だけあってデータビジュアライゼーションの観点では先行していました。
ドラッグ&ドロップの直観的な操作も早急に取り入れ、データ分析の理解がなくても直観的にグラフを作成することができます。
また、デザイン性も昔から良く、他のBIツールがこぞって真似をするようになったほどです。また、最近流行りの「デザイン思考」で製品が設計されており、本能レベルで興味抱き、行動レベルでまた使いたいと思わせるとても優れた製品だと思います。
正直4,5年前はUIUX部分に極振りしすぎており、テーブルの結合は弱いし、スピードは遅いし、データの深堀も弱かったため大丈夫かと思っておりましたが、その見栄えの良さでユーザを獲得していき、収益の約25%を研究開発費に充てることで弱点を補い、名実ともにNo1の製品となりました。
Tableauの功罪
本題となりますが、Tableauは開発ライセンス(Desktop)を一つ購入すると参照は無償(Reader)という使い方も存在し、大企業だけでなく中小の企業も含めて、日本中で浸透しました。
あまりに手軽に利用できてしまうため、一般のユーザもどんどんワークブックを作っていき一時は盛り上がりを見せておりました。しかし最近あまりに話題にならなくなりました。
いくつも要因はあると思いますが、Tableauの内的要因について仮説を立ててみました。
仮説1.作ってみたけどそれ本当に意味あるの?問題
Tableauは2タップで簡単にグラフを作成できます。選択した情報に合わせて、おすすめのグラフをレコメンドしてくれます。グラフは目的に沿って形で可視化しないとミスリードしたりすることがあります。私がBIツールのコンサルタントをして日本中の企業を回っていた時もなんとなく作成したダッシュボードを経営報告して、経営層もなんとなく鵜呑みにしていることがよくありましたw 有名な大企業でもですw
仮説2.定義管理無理でしょ!問題
Tableauをチームや全社で使う場合はTableau Serverという製品版を利用します。誰でも作れるが故にみんなで自由にファイルの公開をするとします。
するとやがてその定義合っている?という現実に直面します。セルフサービスBIツール全般に言えるのですが、定義を一元管理する機能が非常に弱いです。
Tableauで定義の確認をする場合はワークブックを一つずつ開いて確認する必要があります。仮に100個のワークブック1つあたり10個のデータソースにまたがる条件式を確認する場合、1000箇所確認する必要があります。
※少し大袈裟ですが、、、
git自動連携などあるといいですよね、、、
しかも、SQLをTableauに直書きしている場合は、データソースを確認するのですが、確認時クエリーを発行するので重たい処理がある場合、確認するだけで何十分も待たされます。
それだけでなく確認箇所はSQLだけなくUI側にもあります。Tableauは設定箇所がExcel並みに多く何を設定しているのか、フィルターがどことどこで適用されているかを一覧確認できないです。
これでは一般ユーザには到底、品質担保はできないですし、エンジニアはそれならPython使うよ。ってなっちゃいます。
仮説3.結局開発効率悪すぎじゃない問題
Tableauはまず1つのグラフを1つのシートに作成していき、部品が揃ってからダッシュボードと呼ばれるグラフを配置する画面に配置していきます。
これがイケてなくて、可視化のプロじゃないとダッシュボードに何を配置するかあらかじめ決めることはできないです。
そのため多くのユーザは全体を俯瞰することができずなんとなく作成したグラフ群を並べていき、いまいちだから作り直してしまうという事態に直面します。
仮説4.細かいところに手が届かない問題
ちょっとした話ですが、意外とグラフによっては複数軸設定できなかったり、設定を数式で書くことができなかったりとエンジニアにとっては窮屈なことが多いです。
まだまだ、いっぱいありますがこのくらいに留めておきますw
上手い対処法があれば教えてください!
Tableauの活かし方(2019/08更新)
ではTableauはどのように活用すればいいかを考え直しました!
Tableauは全社員が活用することができるメジャーBIツールの一つです。※Power BIも
初めてビジネスでデータを扱う方が発想力を育むツールとして活用します。
大学におけるデータの視覚化の研究をルーツとする製品だけに美しいビジュアライズが多くの人を惹きつけます。
Facebookのグループを探せば大量のコミュニティが出てきます。
Googleでわからないことを検索することもできる唯一のツールです。
Excelのように万人が扱える環境が整っています。
Tableauをきっかけにデータを好きになり、データを起点としてビジネスを進める思考を養うツールとして整備して、状況に応じて、SQLやPython/Rなどを勉強する。そんなデータ・ドリブン環境の最初の一歩目として最適なツールではないでしょうか。
セルフサービスBIツールを活用するために
BIツールを活用する手段は以下3つと考えております。
特にLookerはおすすめです!
1.部署ごとで管理しよう
Tableauは効率の良い管理がしづらい製品ですので、全社展開をすると作業工数は膨大ですし、スピード感も遅くなってしまうため、難しいというのが私の意見です。そのため部署ごとに定義を管理して他部署と定義やルールは違うことを許容して展開するのが良いと思います。全社展開が必要になった際はDOMOなどの全社展開が得意なツールに変えるしかないのかなと思っています。
2.業務委託さんにお願いしよう
データ分析を志す正社員にとっては無駄に管理のいるBIツールは負の遺産になりがちです。特に独立組織となるデータ分析室のような部署の場合は、情報を全社展開するため運用に時間を割かれ、好きな分析ができなくなります。一部のキャッシュリッチな企業が実践していますが、開発や運用を委託者に任せる方法はみんなが幸せになるかと思います。お金さえあれば、、、
3.Lookerを入れよう!
これらの課題を解決できる製品としてLookerがあります。
エンジニアファーストな製品で効率的に運用できるし、とてもイケております!!Lookerの記事は明日投稿します!
最後になりますが、本記事の意見は私の主観となります。まだまだ理解できていな部分もありますし、別の一面を見るとポジティブに感じることもあるかと思いますのでアドバイスを頂けると嬉しいです!
また、現時点で私の把握している情報で製品がアップデートされることで解決されていく可能性もありますことをご理解ください。
お読み下さりありがとうございました。