2021年11月18日に見た夢
小学生くらいの男の子が列車に忍び込もうとしている。干し藁が敷き詰めてある車輌があったり、先頭で運転手が石炭を焼べていたりと、西部開拓時代を思わせるが、一部車輌にはカードキー付きの扉などもありサイバネティックな先端技術も垣間見れる。奇妙な時代錯誤の混淆物。プラットフォームはアーチ型の天井がすごく高くて、スチームパンク風デザインがかっくいい。男の子は列車強盗を考えているとか政府転覆を企図したレジスタンスに身を投じているだの、別に何かそういう壮大なことをしているわけではなさそうだ。単なる興味、好奇心、いたずら。或いは無賃乗車で40キロ先の隣町まで行きたいだけかも。僕は彼と共に同乗する。単なる傍観者として。彼は散歩に連れ出された柴犬よろしく嬉しそうに列車内を嗅ぎ回り、至るところを物色する。放っとくとマーキングすら始めそうだ。僕ははらはらしながらも彼を見守る。列車は動き出して、彼は厳重に封鎖された扉を見つける。丸い回転ハンドル付きの、何だか『2001年宇宙の旅』の宇宙船内に出てきたらしっくりするような扉だ。彼は何の躊躇もなくそれを開けてしまう。僕はおいおい、と思う。扉の厳重度が違うぞ。大丈夫なのか? 案の定開けた途端に警報が鳴り出す。赤いランプが明滅して視界を真っ赤に染める。少しだけ開いた扉の隙間からは如何にも宇宙船ぽいコントロールパネルやら数え切れない程の監視カメラに映し出された映像が見える。少年と僕は観念して捕吏を待つ。やって来た捕吏はこんなことはいつものルーティーンに過ぎない、といった態度で僕らを粛々と捕える。特に慌てたりはしていない。僕らも慌てず騒がず、両手を前に出し、彼らの仕事を楽にしてやる。手錠がかけられる。
僕らが連れて行かれたのは殺風景な白い壁が続く建物だ。別に近未来的な建物とかじゃない、地方の役所とかむしろ地域文化会館みたいな場所に思える。シルバー合唱団がBホールで25人の聴衆を前に定期演奏会でもやりそうな雰囲気だ(聴衆の半分は寝ている)。ここで少年と僕ははぐれてしまう。僕は彼を捜して建物をうろつき歩くがどうしても見つからない。焦燥感に駆られるが彼を見つけることは出来ない。
唐突に場面は変わり、いつの間にか僕は学校にいる。学校と言っても校舎の外壁から突き出たよく分からないスペースで、かなりの高さがある。二階か、三階か、四階か。いずれにせよ気軽に飛び降りられる高さではない。僕はここになんだか微妙な友達二人といる。青春だろうか。T口とA木という、いずれも会えば親しく話しはするものの、別にそれ以上の感懐は抱いてない二人と一緒だ。特にA木の方はちょいウザくらいに思ってるかも。二人は何らかの時間を迎えたようで外壁を伝って教室へ戻ってしまう。僕も戻りたいと思ったものの、二人が伝っていった配管や手すりなどを見ると足が竦んでしまってどうしても踏み出すことができない。どうやってここに来たのだろう? 僕は高所恐怖症なのだ。仕方なく別の脱出路を探す。回り込むと閉鎖された遊園地と学校校舎の中間みたいな不思議な場所へ出る。あらゆる遊具や出口が錆びた鉄条網で封鎖されているので僕は途方に暮れてしまう。諦めてコンクリの上にごろ寝していると、知人の女性3人がランチと買い物のついでにちょっと寄った、みたいな雰囲気で助けに来てくれる。よかった。僕は仰向けになった自分の裸のお腹の上にポケットから出したフルーツと貝を乗せる。貝もとろっと新鮮だしフルーツの切り身はタルトのケーキみたいに透明なぷるぷるしたゼラチンを纏っていて、とてもきれいだと思う。とても美味しそうだと思う。