ニコ・ニコチアーヌ・ニコチン

詩歌、小説など。 ワイルドサイドを敗走中。ピンカートンに追いまくられて、このケツの穴みたいな世界の片隅で雪隠詰め。

ニコ・ニコチアーヌ・ニコチン

詩歌、小説など。 ワイルドサイドを敗走中。ピンカートンに追いまくられて、このケツの穴みたいな世界の片隅で雪隠詰め。

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たいていはバーにいるから

 死ぬほど眠いのにどうしても寝つけなかった。じっとして眠る努力をするのも、諦めて寝床を出るのもそのいずれもが面倒だった。夜の砂漠に降る雨のことを考えた。何故だか自分の人生で自分自身の一番の親友であろうとしなかった。そのことに気がついてからも特に態度は変えなかった。自分を救うために何かすることを、いつでもひどく億劫がった。そうして斜に構えて、皮肉屋を気取って、でもとてもシャイだから誰かと話していると恥ずかしそうにちょっと笑った。いつもウイスキーを静かに心愉しく、しかし大量に飲ん

    • 202X年、阪神妄想タイガース

      1番センター 近本 なあえなりには似ていないだろう? 近本はもともとホームランは別に狙っていなかった。それよりはリードオフマンとして率が確実に3割ある方がやっぱりいい。だけど最低10本、出来れば15本打てるようになれば、相手チームにとってもっと脅威に感じさせることができるだろう。敵に嫌な野郎だと思われたいよな。巧打中距離長距離なんなら一発出かねない先頭打者。一番打席が回ってくるウザい奴。脚があるからボテゴロでも内野安打になり得るし、塁に出りゃばっちり盗塁がある。去年ゴールデン

      • シュガー・ボーイ、オフィスカジュアルの幻想

         朝食に熱くてほろっと苦いブラックコーヒーと、マネケンのベルギーワッフルを食べる。むう。ヤミー。ささやかな、しやわせ。“甘過ぎないところがいい”と思うようになったあたり、僕も少しは大人になったのかも知れない。ひとよりだいぶ遅いと思う。ごく最近まで「甘いほうが良いに決まってるさ!」と心の中にいる少年がうるさく強硬に主張していた。僕は長い間それに反論する論拠を持ち合わせなかったし、また心から彼に同調してもいた。野球のユニフォームを着て肩にバットを担ぎ、赤毛でそばかすだらけの彼を、

        • さよなら、マルボロマン

           カウボーイ達が絶滅したのは平原に柵が出来たからだと言われている。  今マルボロマンは便所で泣いていた。身を揉むようにして激しく泣いた。声が聞こえるほど近くには誰もいなかったから別にその必要はなかったが、嗚咽が洩れないように右手の親指の付け根を強く噛んだ。あんまり強く噛んだので、赤い血がたらたらと流れ出した。血は唾液と混ざり鼻水と混ざり涙と混ざった。血は腕を伝い肘へ流れた。シャツの袖を汚さないように二の腕まで捲りあげた。これほどの。ああ。神よ。俺は。俺達は。ひどい傷になるこ

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        たいていはバーにいるから

          2021年11月18日に見た夢

           小学生くらいの男の子が列車に忍び込もうとしている。干し藁が敷き詰めてある車輌があったり、先頭で運転手が石炭を焼べていたりと、西部開拓時代を思わせるが、一部車輌にはカードキー付きの扉などもありサイバネティックな先端技術も垣間見れる。奇妙な時代錯誤の混淆物。プラットフォームはアーチ型の天井がすごく高くて、スチームパンク風デザインがかっくいい。男の子は列車強盗を考えているとか政府転覆を企図したレジスタンスに身を投じているだの、別に何かそういう壮大なことをしているわけではなさそうだ