夫婦格差

パワーカップルとプアーカップルという夫婦格差

東洋経済オンライン連載、更新しました!

今回のテーマは、「夫婦の所得格差」についてです。

年代や子の有無関係なく、夫婦をひとかたまりの類型で見てしまうと気付きませんが、共働きが増えているといっても、その内情は、ほとんどが夫の年収の方が高い「妻の上方婚」で占められています。

婚活で「女性の上方婚志向」=「年収いくら以上じゃないとヤダ」という発言は、ともすれば男性側から非難されますが、現実の夫婦はきっちりそういう状態に収まっているわけです。

30代夫婦だけを取り出してみても、子有りと子無しでは大きく違います。特に、共働き30代子無し夫婦だけを取り出すと、所得の同類婚による夫婦格差が広がっていたことがわかります。いわゆるパワーカップル問題です。

未婚男性がよく「金がないから結婚できない」と嘆きますが、たとえ結婚したとしても、お金の問題はつきまといます。

なんと、ヤフーの方ではアクセスランキング2位にもなりました。樹木希林さん、安室ちゃん、貴乃花という記事に交じっての2位! すごくないすか?(笑)

ぜひご一読ください。


今回もたくさん読んでいただき、ヤフコメは393件以上いただきました。東洋経済の方のコメント欄はいつも通り読者層の問題か恨みつらみが多いので読まなくていいと思いますが、ヤフコメで面白かったのはみなさんがご自分の夫婦の状況をご報告してくれていることです。なぜなんでしょうwww

でも、こういった定性的な情報は参考になります。

夫は結婚が早かったし大卒ではないので、年収は低かった。でも共働きなので気にしてなかったなぁ。お金は生活できて、趣味が楽しめるくらいあれば良い。仕事を頑張ってくれて、いまは所得が高い方になりました。お金云々というより、気配りができる、先を見越して迅速に行動できるところが好きだし、結局そういう人は所得も伸びるんですよね。

→いや、多分こういう奥さんだからこそ旦那の収入が伸びたんだと思います。

自分は高校卒業後、30過ぎまで地方で親と同居の正社員で年収450位あったけど、朝6時に家出て帰宅は夜9時とかなので相手見つける暇も無く休日は独身貴族で自分のやりたい事を好きなだけやりたいまま楽しんでました。家に入れてても余って貯金も1000万円以上になりました。お金が全然無い若年者の意味が解りません。ようやく33歳で12歳年下の妻と出会って結婚しました。自由なお金は無くなったけど楽しい生活です。

→自由=幸福とは限りませんからね。


まさに夫婦共働きで年収500万。
働けど働けど税金税金で生活楽にはならないし、4人目が産まれるので不安しかない。育休明け戻らせてもらえる職場があるのはありがたいけど、
お金の悩みは尽きない。だけど、帰る家があって暖かくて子ども達の笑顔を見れるのは幸せだなって思う。その幸せの為に働いてるのは嫌ではない。

→4人目のお子さんとか。幸せそうで何よりです。


高校中退の30過ぎ、色んな職種の求人を見てきたが、経験なしにすぐに入れた会社はせいぜい250から350万くらいにベースアップする程度の会社。ボーナスなし、あっても寸志レベル。残業代なし、一日約12時間労働。退職金なし。今まで実際に入った4社は、求人に書いてあることは100%うそ、実際に昇給するのは10人に1人くらい。まったく所得が上がる見込みない会社で年収を上げようと思うと副業するか妻に働いてもらうしかない。しかしそれで収入が上がったとしても、時間はなくなるから、家事、育児の負担ストレスは増える。結婚から約7年やっと妻が正社員になったら世帯収入がやっと450万ほどに、その後家事分担がうまくいかず私は鬱に、妻はストレスで家庭に嫌気がさし家庭崩壊。それぞれ環境によってこの記事の内容より、もっと細かいレベルで各家庭で格差があるだろう。所得格差ある時点で同じ目線で話にならない。

→同じ世帯収入500万円近くでも上の方とは違いがでるようで…。夫婦いろいろですね。


一方で、独身上等! というソロ女からのコメントもあります。

独身時代から生活には一切困らない程度には稼いでいたので、少なくとも生活レベルを下げてまで結婚はしたくなかった。
自分より収入の低い男性と結婚する位なら、独身でいた方がいい。
予期せぬ自体で無収入になった時に支える覚悟はあるけど、最初から相手の収入ありきで生活するような結婚は嫌です。
選択子無し共働き夫婦で、生活費等全て折半して、貯金もできる。夫の稼いだお金は自分のものとは思ってないし、自分の欲しいものは自分の稼ぎで全て買います。
私が男性なら、結婚して生活レベルが下がる位なら、絶対結婚なんかしたくない。女性でも最低限稼げる努力能力が必要です。


かと思えば、専業主婦妻に対する愚痴を書かれる夫も。

俺の嫁は4年制名門女子大卒で大手銀行勤務だったのに、結婚後24歳で退職して以降一度も働いてくれない。一方の俺は3度目の海外駐在で今は発展途上国に単身赴任中だ。家計は全て俺が支えており日々プレッシャーを感じる。日本は男女平等ではない。実態は女が男をこき使って働かせる不平等社会だと思う。


夫婦の世帯を年収などのデータで分析したとしても、同じ世帯収入であったとしても、当たり前ですが夫婦それぞれ異なる物語が存在します。マクロ的な定量調査はそこまでは読み取れません。僕の書いた記事を読んで、それぞれの夫婦(または独身)の人たちが、自分を見つめ直し、幸せを再確認したり、はたまた不満を噴出させたり、いろいろな情動があっていいと思います。

ひとつだけ言いたいことは「他人と比較したところで意味はない」ということです。高年収共働き夫婦だからといって決して幸せとは限らないし、低年収夫婦が不幸だとも言い切れません。

結婚生活は経済生活であって「愛がすべて」なんて中二病みたいなこと言うのは、メルヘン脳の人に多いんですが、「金がすべて」というわけでもありません。

お金がなくても結婚はできますが、お金がないと結婚は続けられない。愛があるから結婚したという夫婦も、愛がずっと続いていくとは言い切れない。

そう思います。

売れない芸人と歯科女医のカップル。

結局、男だろうが女だろうが「金を稼いでいる事実」で相手をマウントするものなんだよね。「誰のおかげでうんたらかんたら」って定番の台詞は、言うか言わないかは別にして心の中ではみんなが思っているもんなんだろうね。


いずれにしても、結婚とは年齢も学歴も収入も同類婚が増加していることは間違いありません。同類だからこそ出会いの機会もあるし、知識的・金銭的価値観も合うからでしょう。だだ、同類縁がいきすぎることでの弊害もあります。それについては以前ここに書きました。


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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。