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お金の話だと堅実なのに、なぜ恋愛はイチかバチかになってしまうのか?

2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが提唱した有名な「プロスペクト理論」というものがあります。これは、ギャンブルなど、リスクがある環境下における、人間の意思決定回路を分析した理論です。

では、まず、以下の質問に答えてみてください。

あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されました。
選択肢A:100万円が無条件で手に入る。
選択肢B:コイントスして表が出たら200万円もらえるが、裏なら1円ももらえない。
さて、どちらを選びますか?



多分、あなたは選択肢Aを選んだと思います。


どちらの選択肢も手に入る金額の期待値は、計算上100万円です。にもかかわらず、一般的には、堅実性の高い「選択肢A」を選ぶ人の方が圧倒的に多くなります。それは、50%の確率で200万円が手に入る利益より、50%の確率で1円も得られないというリスク回避の方が上回るからです。

これは何もお金だけの話ではありません。仕事においても、成功の確率と失敗の確率が同じならば、失敗しない方を優先するでしょう。


このように、一般的に人間は「成功より失敗回避を優先したがる」ものなので、ここには、ソロも既婚も違いはないし、男女差もありません。

ところが、この設問を金銭的なものではなく、恋愛相手や結婚相手に変えると両者の違いが現れます。

たとえば、独身女性が相手の男の年収条件にこだわっても、そもそも絶対数からしてマッチングされないことは明白であることは、以前こちらの記事でも説明しました。

が、それでも「私だけは大丈夫」という根拠のない自信で、高年収条件をはずせない独身女性が大勢います。

同様に、自分の年齢が40歳過ぎても、「なんとかなる」と、20代の若い女性を狙い続ける独身男性もいます。

両者とも、確率論で言えば50%どころか1%しかないにも関わらず、選択肢Bを選び続けるようなものなんです。

これは、上記の人たちが決してリスクを察知できなくなってしまったわけではありません。お金の時と同様、下手すれば「後悔する」というリスクは承知の上で、それでも選択肢Bを選んでしまうのです。

確実な報酬よりも、リスクを乗り越えた先の大きな喜びへの誘惑が勝ってしまう。

お金の話なら、冷静に合理的にリスク回避できるのに、恋愛や結婚の話になるとなぜか無謀な選択をしてしまうのがソロの特徴です。というより、逆に言えば、恋愛や結婚において、冷静で合理的な選択をしたからこそ、既婚者は結婚できたとも言えます。既婚者ほど「恋愛と結婚は別物」という意識が強いのもその表れでしょう。もちろん、舞い上がった状態のまま結婚してしまうカップルもいるでしょうけど、だからこそ結婚5年未満の離婚が多いということも言えるわけですから。


恋愛や結婚を趣味に置き換えるとわかりやすい。自分の没頭する興味関心事には、どれだけお金や時間をさいても無駄とは思わないですね?それどころか、お金や時間を使えば使うほどアドレナリンが分泌されて、興奮状態になるでしょう。もっと言えば、たとえ散財しても、そのこと自体を正当化する理屈付けまでしてしまうんです。

無謀な選択をし続けて未婚のままの人は、もしかしたら、「本気で結婚する気がない」のかもしれません。


※本記事をおもしろいと思った方は、拙著「ソロエコノミーの襲来」にも、ソロならではの心理特性いろいろを紹介していますので、ご覧ください。


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