唯一依存は危険。選択できる複数の依存先を持てる力が必要。
"堀江貴文氏「多動力こそが最も重要な能力だ」「1つの仕事をコツコツと」では負け組になる"という記事から。
5/27に発売された堀江貴文さんの書籍「多動力」についての記事です。まあ、いってしまえば、本の宣伝記事ですが、とても勉強になります。
「多動力」とは、いくつもの異なることを同時にこなす力のことを言う。しかし、「それって器用貧乏じゃん?」「飽きっぽいってことじゃん?」と、今まではあまりいいイメージのない人を指す。ひとつのことをコツコツとやり続ける人の方が称賛されていたはずです。
しかし、堀江さんはこう言い放ちます。
一つのことをコツコツとやる時代は終わった。これからは、全てのモノがインターネットに繋がり、全産業の〝タテの壁〟が溶ける。このかつてない時代の必須スキルが、あらゆる業界の壁を軽やかに飛び越える「多動力」だ。
Iotという言葉を最近ニュースでもよく耳にすると思う。これは、ありとあらゆる「モノ」がインターネットとつながっていくことを意味する。すべての産業が「水平分業型モデル」となり、結果〝タテの壁〟が溶けていく。この、かつてない時代に求められるのは、各業界を軽やかに越えていく「越境者」だ。そして、「越境者」に最も必要な能力が、次から次に自分が好きなことをハシゴしまくる「多動力」なのだ。
これ、本当に大事なこと。
かつて堀江氏は、「寿司職人が何年も修業するのはバカ」とツイートして大炎上したことがあるが、大阪の「鮨 千陽」の事例を引き合いに説明する。「鮨 千陽」の土田秀信店長は、専門学校で3カ月寿司作りを学んだだけだ。その「鮨 千陽」が開店からたった11カ月目で、『ミシュランガイド京都・大阪2016』で「ビブグルマン」部門に選ばれたそうだ。
そう言えば、全国の豆腐コンテストでグランプリをとった豆腐は、豆腐づくりが本職ではなく、素人が作った豆腐だったという話も聞いた。
世の中は動いている!
匠の技を身に付けるために長い間の修行をすることを当たり前だという常識にとらわれている人は、どんなに説明したって理解できないことかもしれない。情報の取得経路が何もなかった昔は、師匠に教わるしかなかった。だから修行が必要だった。しかし、今は違う。情報や知識なんていつだって誰だって取り出せる時代。実務だって、効率的に伝授すれば何年もかけずに本当は伝えられるものだったのかもしれない。
それを徒弟制度の悪い部分で、「勿体ぶってなかなか教えない」ということがなかったとは言えないだろうか。それこそ、弊害だったタテの壁がなくなるってことです。
いやいや、そもそもテクニック的なことは、もはやロボットが代替えしてくれるかもしれない。
これは、他のことにも言えることだと思う。
例えば、禅の修行とか。お坊さんになるためには、きつい修行を何年もやらないといけないと言われているけど、本当にそれって必要なものなのか?っていう話です。お坊さんに特殊能力があるわでも、掌から気が出せるようになるわけじゃない。単に、辛い思いを乗り越えればいいという精神論って、実は師匠側の立場を守るためだけのものだったりする。
そうして、ひとつのことをある程度まで習得する時間が大幅に削減されることによって、さらに別のことをやる余裕が出てくる。そこが大事なわけです。今までは「ひとつのことを極める」のに時間がかかりすぎて、他に余裕がなかった。だから、ひとつのひとだけでもできるようになることに価値があった。
しかし、これからはそうじゃない。
ひとつを極めたくらいじゃ価値にならない。繰り返すが、一流の寿司職人の技は多分ロボットで再現可能になる。
ひとつの肩書きや技術だけでは立ち行かない時代になる。
これは、僕が拙著「超ソロ社会」で書いたように、ひとつの職場、会社、技能だけに固執してしまうことのリスクのことと同義だと思います。
唯一依存するな、選択できる複数の依存先を持て、ということ。
ひとつしか頼れるものがないと、それが消滅したらもうお手上げだから。一流の寿司職人の技をそのまま真似るロボットが出現したら、技しかない寿司職人は用無しです。
メディアアーティストの落合陽一さんも、週プレのインタビューでこう言っています。
現代のテクノロジーはものすごい速度で進展しているので、ある個人が何年もかけて技術を習得しても、その間にコンピューターの進歩に追い抜かれてしまう可能性が極めて高いんです。だから、テクノロジーと人間の間に落ちてくる即時的な偶発性を拾って、キャリアを組むしかない。「とにかく何かやり始めて、それを積み上げる」という形しか、リアリティのあるストーリーにならないんです。
これは、能書きの話ではなく、行動力の話です。この「多動力」を既に行動してしまっている人がいます。
それがキングコングの西野さんです。
彼はこう言います。
すべての職業には寿命があるし、ここからかなりのスピードでいろんな職業ごとなくなっていくから。
その通りです。だからこそ、彼は、「芸人」という肩書きにこだわらず、水平分業で「今までにない絵本」を作り、本を売ることとイベントと音楽とを関連付け、何より客との壁も越境してみせた。肩書きも職業も越境した先にあるのは、それこそ「人間と人間の関係性からしか生まれない」喜びのある世界だったわけです。
これからは、ひとつの能力だけではなく、複数のスキルを身に付け、しかも、それを同時進行的にマルチアクションできる人たちが廻して行く時代。というより、そうじゃない人たちの仕事はすべてAIとロボットに取ってかわられるんです。
わかりやすく言うと、ひとつの会社や職場だけで完結させる生き方が通用しなくなるってこと。別に、転職を繰り返せという話ではない。幹となるひとつの職業はあっていいんだけど、それだけじゃなく、別のネットワークや別の場所にも自分の立ち位置を作らないといけないってこと。
どうやっていいかわからない?
案外、実は簡単です。職場とかとは違う人間と会いに行くことです。人とつながることで、自分の中に新しい自分が生まれます。そのことについては「超ソロ社会」に書いてあるのでよろしくお願いします。
以上、堀江さんの本をダシにしたステマ、失礼しました。