教育の無償化で出生率は改善されないけど、なんだかんだ日本の未来にワクワクした話
【橋下徹通信】に以下のような質問に対するかれの回答が出ていた。
橋下徹さんに質問です! 出生率を上げるにはどうすればいいですか?
橋下氏の回答はこれ。
教育の無償化を成し遂げて、子どもが生まれてから大学卒業するまでは完全無償にすべきでしょう。
つまり、子どもを生むネックとなっているのは教育をはじめとする子育て費用が高いから。子育て手当みたいな現金支給になってしまうと、結局子どものために使われるかどうかわからないから、現金ではなく、教育費の無償化で家族のコストを軽減するってこと。
「子どもを産んでください。そのかわり、大学までの教育費は全部国が面倒見ますから」
これはこれでインパクトあるし、いいと思います。親の貧富格差に関係なく、子どもが公平に享受できるメリットですから。
橋下さんの場合、大阪府では私立の高校も無償化したという実績もありますから言葉の重みが違う。
でもね…でもですよ!
財源5兆円かかるらしいです。それを橋下さんは、公務員の給料カットから捻出するって言ってのけます汗。そんなの到底官僚がOKするとは思えないし、「嫌だったら選挙するぞ」と言ったって、どこの政党が勝とうが通らないでしょう。
よしんば、それで5兆円が捻出できたとしましょう。橋下さんは、フランス型の「N分のN乗方式」で、子どもの数だけ助成する制度も導入したらいいって言うけど…。
大体、少子化対策っていうと必ず「フランスがー」「N分のN乗方式がー」って錦の御旗みたいにギャースカうるせえんですけど、大和総研の資本市場調査部鈴木準氏は以下のように言っております。
◆現在の日本の税制にN分N乗方式を導入すると、子供のいる高所得者層で大幅な減税となり、低中所得者層にはプラスの効果が及ばない(場合によっては増税の可能性もある)と見込まれる。N分N乗方式の本質は税の累進性緩和にあり、日本の税率構造は低位でフラット化しているためである。
◆国民の多くが属している所得層や、子育て面で経済的制約に直面している所得層はどこかを踏まえれば、N分N乗方式に少子化抑制効果は期待できない。そもそも、税制の手直しだけで少子化を食い止めようとすることに無理があり、少子化対策にはより幅広い視点が必要ではないか。
でしょうね。
それこそどこにそんな金があるのさ。5兆円なんかじゃ済まないよね。
金の問題だけじゃないよね。
少子化だとか言ってますが、現在子どものいる家庭では大体2人くらい生んでいるんですよ。全体をならして平均化すると1.5になってしまうだけ。未婚者が多かったりするから。だけど、結婚して子ども生んでいるお母さんの平均では2.0に限りなく近い。お母さんたちは今でも頑張って生んでいる。そりゃあ、あんだけ子だくさんの橋下さんからしたら甘いのかもしれないけど。
「3人目、4人目を生め、金は出す」と言われても、なかなか大変じゃないんですか?
少子化の最大の阻害要因は、本当にお金なのか?という話です。教育費がかからないから「じゃあ、子ども作るか」ってなるか、ですよ。本気の貧困ならば、教育どころか今日明日の飯だって大変でしょう。そこそこ普通の家庭なら、それこそいみじくも橋下さん自身が言っているように
親は子どもの教育費のために自分を犠牲にしてでも、お金を出そうとします。子どもを労働力と見なすなんてことはしない。
そのとおりだと思います。いざとなったら、子を持つ親ならなんとかしようとするでしょう。新たにまた子どもを作ろうっていうモチベになりますか?ならんとは言いませんが、それほど劇的な効果をあげるかどうかは疑問です。
少子化を推進している最大の原因は非婚化にあります。しかし、これこそ、金を出そうが、国が婚活しようが、是正されません。第一、国がこの未婚化を解決しようとする意欲が全く感じられない。政治家はわかっているんでしょう。
政治じゃ未婚化は解決しない。
唯一、あるとすれば景気の好転だけでしょうね。結婚できない男の最大の言い訳は「お金(稼ぎ)が足りない」ですから。これ、面倒くさいのはベーシックインカムとかで金をばらまいても無駄です。男が結婚を決意するには、承認と達成が必要なんです。「てめえの力でこれだけ稼いだんだ」という結果がないと、結婚する資格がないと思ってしまっている性質を忘れてはいけません。
非婚だけじゃない。結婚してても「子ども産まない選択」をする夫婦も増加しています。
教育の無償化で助かった家計で消費を促進させようっていう話は理解できますし、そういう効果もあるでしょう。でも出生率改善の抜本的な施策にはならないです。
ネガティブなことばかりで申し訳ないですが、だったら対案出せとか言われそうですね。
対案なんてねえっすよ。出生率も未婚化も是正なんてされません。
いいんです、あるがままで進めば。少子化、上等じゃないですか。日本の人口なんて6000万人くらいまで減ればいいんです。今が多すぎ。
それじゃあ国が持たない?それこそ、知ったこっちゃないっす。東大出た頭のいい政治家と官僚とで知恵を絞ってくださいな。
ひとつだけ言えるのは、もはや人口の多さで経済力を誇る時代じゃないです。ドメスチックな商売だけで成り立つ世界でもないです。だったら国の人口なんて関係ないじゃないですか。「日本のソロ社会化」で人口減ります。でもアフリカはどうなの?東南アジアはどうなの?なんとかなります。
むしろ今いる子どもたちこそ未来の日本の宝です。彼らに対する教育支援だけではなく、ビジネスとして戦える人材育成まで含めた教育支援と機会の付与まで国が頑張るべきかな、と。
もっと言えば、本物の天才子どもがいたら、どんどん飛び級させて、小学生でも大学行かせるくらいの制度の柔軟性が求められます。天才に9年間の義務教育なんて時間の無駄。天才を見いだした教師には、特別ボーナスあげる施策があったっていい。
そして、そういう子どもたちがどんどんAIやロボットを世に輩出してください。人間の人口が減っても、労働力としてのロボット人口(人口とは言わないか)世界一の国になりゃあいいじゃないですか。それこそ次世代の日本の姿だと思うし、そう考えればワクワクします。
教育の無償化が即出生率の改善にはつながりませんが、子どもたちの道を切り開いてあげるひとつの手法が、教育の無償化だとするならば、それは遠い将来に必ず日本、いや世界の力を向上させることにつながっていると思います。
出生率には関係なく、教育無償化は賛成。
ちなみに、結婚しない、できない野郎どもは、大量の高齢者たちと同じ時期に静かに淘汰されていきます。でも彼らは、多分何百年後まで残るものを今作り上げていますよ。
彼らが何を作ってるって?
子ども作れないけど文化を作ってますよ、今。
それも役割分担です。
それでいいんです。それがいいんです。
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。