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日本はまだまだ枠や箱の考え方から脱却できていない。
FOR2035連載対談、2回目のゲストは社会学者で詩人の水無田気流先生です。『「居場所」のない男、「時間」がない女』、『シングルマザーの貧困』などの著書があります。
社会学者という立場から見つめる日本の“超ソロ化”による問題点や課題、そして目指すべきポジティブな未来について語りました。
前後篇の前篇です。ぜひご覧ください。
荒川:「結婚すれば子どもを産むはず。だから婚活促進だ!」という理屈はわからなくもないんですけどね。当時は、地域にお節介なお見合いおばちゃんもいましたし、職場での出会いもありました。お見合い結婚比率が下がったと言いますが、実質的にはあらゆる結婚が社会的お見合いシステムの中で動いていたんです。むしろほぼ100%が結婚していた「皆婚時代」こそ、長い歴史の中で見れば異常だったんです。若者の草食化と言われますが、それは大きな誤解で、今も昔も恋愛相手がいる率はほぼ3割で変わらないし、自分からアプローチできる男なんて25%しかいないんです。ただ、昔は、地域も職場も巨大なマッチング市場となっていたから、それが背中を押してくれていた。
荒川:日本はまだまだ枠や箱の考え方から脱却できていないですよね。まず“箱である家”を用意して、その中に入っている人間を“家族”と呼ぶ。核家族化になって、それがどんどん最小単位になってしまった。地域や血縁だけの家族には限界がきていると思うんですよ。一つ一つの繋がりが緩くなっても一人一人の負担を減らせる社会にならないと。
荒川:突拍子もないようなことを言うようですが、僕は、日本の未来の都市部のソロ生活者たちの家というのは寝室と浴室・トイレだけでいいと思っています。リビングやダイニングは、家の外が担ってくれるイメージです。家の機能を閉じずにオープンに共有する考え方です。ソーシャルリビング、ソーシャルダイニングですよ。
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