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みんなと同じじゃないと許されない「マジョリティの正義」の危険性

東洋経済コラム更新しました!

僕自身は、別に独身推進主義者ではないことは前々から何回も言っています。独身で生きようが結婚しようが個人が自由に選択すればいいし、決断するものだと思っています。にも関わらず、今回のような記事を書くと、結婚規範派の人たちから叩かれます。

まるで害虫を駆除するかのような勢いで。


今回もまさにそうです。

今回のテーマは、ソロで生きる人たちに対する精神的嫌がらせ「ソロハラ」についてです。が、というより、裏テーマとしては、「結婚強要」ということだけではなく、「集団による規範強要」なんですよね。集団規範に従わない人間を異分子扱いする人間の根源的な「排除体質」に関するお話です。


本文にも書きましたが言いたいことはこれです。

多様性とか言いながら、相変わらず標準性・統一性を強く求め、結婚すべきという自分の信じる価値観を、一方的に絶対的正義として押し付けること。これが、表面上善意として行われていることに、ソロハラの本質的な脅威があります。

ぜひご一読くだい。

独身を追い詰める「悪意なき結婚圧力」の正体
男性への「ソロハラ」は過小に扱われすぎだ!


東洋経済だけではなく、ヤフーの記事でも賑わっています。コメント欄とあわせて読んでください。まあ、こんな考えの人がいるのか?と思うコメがたくさん。それこそ社会の縮図が如実にあらわれていますよ。


本文では、結婚は宗教だ、というたとえをしています。押し付けてくる人は悪意はないかもしれない。むしろ「救ってあげたい」と思っているかもしれない。だからこそ余計に厄介なんです。

宗教じみた結婚強要の不可解さについては、以前ニコ生で対談したキンコン西野さんが部活に例えていて、とてもわかりやすいです。

バスケ部でも陸上部でもそれは個人のやりたいという意思を皆尊重するのに、結婚は『急にあるとき首根っこつかまれて「なんでお前将棋部に入んないんだ?」って言われてるような感じ』


価値観は人それぞれ。人それぞれなんだから絶対的に正しいものなんて存在しない。そんなことはみんな理屈ではわかっているはずなのに、結婚とか子育てとかになると途端に「マジョリティの絶対的正義」が顔を出す。なぜかそこでは唯一の正義しかないと思い込む。

それは他人の価値観を無理やり押し付けられることと同じで、やられる側は苦痛でしかない。

まるで「自由」や「好きなことをして生きる」ことは許されないと言わんばかり。いわゆるフリーライダーに対する処罰意識と同じかもしれない。彼らにとってソロで生きることはルールや秩序を守らない無法者なのだ。

社会学的に言うと、みんなが統一意識を持つ集団にフリーライダーが生まれてくると、少数のうちは許せても、増えてくると自分たちの存在の脅威になる。だから全力で駆逐し始める。そんなとき、人間は徹底的に薄情にも残酷にもなれるんですよ。魔女狩りも同様だったでしょう。

昨今、芸能人の不倫や不祥事を袋叩きする風潮も同じ。レールを逸脱しようとする予備軍に対する見せしめのように叩きまくる。叩きまくる際には、正義の名のもとに彼らなりの理路整然としたロジックも登場する。結婚の件で言えば、「少子化」とか「次世代の日本」とかの話。

拡大解釈すれば、それは自分の成功経験を押し付ける年長者も同じだし、子どもを支配下に置こうとしてしまう親も同じ。

果たしてこんな日本で、本当に多様性なんて実現できるんだろうか?


先日のNHKスペシャルの「40代一人暮らしが日本を滅ぼす」というのもそうなんだけど、どうしても「状態で人間を判断する」思考に問題があると思えてならない。

大学入学という状態、一流企業の社員という状態、年収いくら以上という状態、結婚したという状態、家族で生活しているという状態。その状態こそが正義であり、そこから逸脱するものは悪という考え方。

状態=個人の幸せではない。もちろん、家族で暮らすことに幸せを感じる人も多いでしょうが、それは状態が幸せを生んでいるわけではない。親として子の成長を見守る幸せ、夫婦として共に協力し合う幸せ、そこには感情がある。

あまりにも状態依存になりすぎてはいないだろうか?

だから「結婚すれば幸せ」「子どもが生まれれば幸せ」というフォーカシングイリュージョンに陥るのです。

幸せを感じるのは心の持ちようであり、状態が幸せを作るのではない。


そんな幸せの感じ方は人それぞれでいい、というちょっと前に話題になったツイッター上のマンガを最後に貼っておきます。


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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。