ソロ社会の到来。ソロの国ニッポンの危機。
読売新聞オンライン「深読みチャンネル」にて記事を書きました。我ながら渾身の記事です。是非是非こちらからお読みください。
ソロ社会の到来 「結婚しない」という選択と言うタイトルになってはいますが、「結婚しない」未婚問題のことだけを扱っているものではありません。自分的には「結婚したからといって安心できない、日本のソロ社会化危機」というタイトルにしたかったんですけどね~。
詳しくはリンク先を読んでいただくとして、ここではこの記事を書くに至った、みんなが見て見ぬふりをしまくっている「ソロの国ニッポンの危機」について書きます。
未婚晩婚問題に加えて、江戸時代並みに戻った離婚率の上昇(これ、本当に知らない人多いんですけど、日本人の離婚率が低かったのは明治時代の1900年頃から高度経済成長期終了の1980年頃までの一時期だけですからね)、さらには、死別した高齢女性ソロ生活者(既に1000万人超えています)問題を総合的に考えると、日本は世界随一のソロ生活者の国になります。2035年には48%(15歳未満除く)が独身生活者になります。
結婚したからって安心なんてしてられないんですよ。
例えば、専業主婦の人たち。もはや旦那の年金なんか当てにできない時代に、夫が先立たれて残った人生15~20年あるんですよ。その長い期間どうやって一人で暮らしていきますか?
子どもが面倒みてくれる?
そういう人もいるでしょう。でも、そんな子どもたちは未婚で40歳、50歳になっても独身だったりします。そもそも非正規雇用などの低賃金で子ども自身が貧困で生きるのに精一杯かもしれません。仮に、結婚していたとしても、子どものための費用で余裕がない場合もある。
子どもだから、夫婦だから、家族だからって面倒を見てくれるなんて幻想かもしれないんです。
年老いた親や配偶者の介護のために仕事も辞めて(辞めざるをえなくなり)、疲れ果て、金もなくなり、ついには殺してしまうという痛ましい介護殺人事件が2週間に一件の割合で発生しています。
「家族はそういうもんじゃない」とか気持ちの問題はどうでもいいんです。気持ちがあったって物理的に無理ならどうすればいいんですかって話です。
結婚した人たちの話もしましょう。日本人夫婦は国際的に見ても夫婦の依存度が高いんです。
アメリカと比べても20ポイント以上も高い。民族性が似ているとされるドイツと比べても15ポイントも高い。子どもより配偶者を支えとしているのは日本とスウェーデンくらいです。社会保障の充実しているスウェーデンと同じなのは興味深いですが…。
互いに依存し合っている日本人夫婦。大抵、夫は妻より先に死にます。だから残されるのは圧倒的におばあちゃんが多いんですが、妻に先立たれる夫だっています。そういう人がどうなっているか知ってますか?
配偶関係別の自殺率をみると、離別・死別した男性の自殺率の異常な高さがわかります。もともと女性の自殺数は少ないですが、女性の場合は、離別・死別の影響はさほど受けません。
なぜ残された旦那は自殺するのか?一人で生きていく力が足りないんです。
それを僕は「ソロで生きる力」と名付けました。わかりやすく言えば、個々人の自立力・自給力です。
別に無人島でサバイブする力のことじゃないですよ。社会的に生きるってことです。配偶者や子どもといったものに依存しきったりせず、自力で生き抜く力を備えていないとこれからはヤバいんです。政府が悪い、社会が悪い、なんて言ってるうちに餓死しちゃいますよ。
家族が助け合うというのを当たり前の義務だと思ってませんか?社会が国が助けてくれるはずだと安心していませんか?助けてもらえるかどうかもわからないものに頼ってどうするんですか?
2014年における日本の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳。60歳まで働いたとしても男は20年、女は27年もあります。年間200万ずつで暮らしたとしても男4000万円、女に至っては5400万円必要になるんです。退職金や貯蓄だけではとても賄えないです。高齢者だけに関係することではありません。むしろ、20代~30代の人こそ今から考えていかないと間に合いません。
金融や保険業界の方たちも、家族偏重のサービスから脱却して、人口の半分を占めるマジョリティのソロ生活者のためのサービスを導入していただきたいものです。
同時に高齢者となっても働く必要があります。労働環境の整備も必要です。だからといって、高齢者に肉体労働を課そうという話じゃありません。そんなものはロボットに任せればいいんです。高齢者の経験や知恵、技を活かせる仕事があるはずです。一人ずつでもいいし、寄せ集まって何かしてもいい。クラウドファンディングがあれば、全世界から投資を募ることだって可能じゃないですか。
考えましょう。未来のために考えるんです。
さらには、家族だけではなくサポートする、してもらえるコミュニティを自分から作り上げる必要があります。そのために、高齢者同士による相互協力コミュニティだったり、ボランティア活動を通じたつながり等でアメリカ並みに「友人・知人を心の支え」とする意識を作っていかないといけません。
配偶者や子どもに依存することが悪いと言っているのではありません。それだけに頼ってしまっては、最悪共倒れになる可能性もあるってことです。
一番大事なのは、個人個人の意識を作らないいけないということ。作るというよりパラダイム転換です。
個々人が自立していればこそ、誰かを助けたり、許せる余裕も生まれます。ソロで生きる力をみんなが持つことが、逆説的ですが、社会のつながりが生まれ、助けあいも実現していくんです。
記事はかなり読んで頂いているようでランキング入りしています。真田丸よりアドラーより読まれています。ありがとうございます。
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