エッグアートの世界

ご婦人方(とあえて言う、私や親世代の子育てがひと段落した後の専業主婦たちのことだ)が極める趣味の世界には疎い私だが、エッグアートとかいう豪華絢爛の世界を垣間見てきた。
三男が幼稚園に上がって少し自由な時間が増えたころに、公民館が主催する手作り絵本の講習会に参加したことがある。わが子のための絵本を作ろうという趣旨の連続講座、絵を描いて文章を書くのは得意な私は、一も二もなく参加したけれど、ちょっと後悔した。まず厚紙をつないで本そのものを作ることからはじまる講座だった。不器用な私は大苦戦をしたけれど、参加者同士は仲良くなる。講座が終了した後には、「色えんぴつ」という名前までついたグループができた。お手本の通りの立派な本でなくても、巻物風や漫画のような、あるいは飛び出し絵本、布の本など、いろんな本を作って週に一度の「色えんぴつ」は楽しかった。
引っ越したり、仕事が忙しくなったり、10年ほどで自然解消したけれど、何人かとは今でもLINEでつながっている。
優雅な主婦生活を送りながら、もはや趣味とはいえないほど、キルトやテディベア、魔女人形づくりなどにはまった人や、家庭料理の先生にまでなった人もいるが、その中のひとりが、エッグアートを極め、いまや全国組織の代表にまでなっているHさん。
今までの集大成、生徒さんたちも含めて、最後の作品展示をするというお知らせをもらったときは、そこまで本格的だとは思っていなかった。今まで何度も誘われたけれど一度も見に行ってない、薄情な私だが、用事のついでに軽い気持ちであざみ野の会場に寄ってみた。
そしてびっくり、1階と⒉階の広い会場は摩訶不思議な女王陛下の雰囲気。久しぶりに顔を見たHさんは、先生、先生と呼ばれて大忙しだった。花もお菓子も持参せずに、何の心構えもなく、ふらりと立ち寄ったうかつさに、たじろいでしまった。女性の趣味の世界を侮る事なかれ!

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