メジロの屍
わがやの小さな庭の、植木鉢に植えてあるレモンの木の根元に横たわってるメジロをみつけた。はじめは、鮮やかなグリーン色のおもちゃが置かれているのかと。風に羽毛がワサワサと動いているが、目は閉じたまま。エッ、エーッ……、思わず声を出し、二度見、三度見。
気絶しているわけではなさそう、どこかにぶつかって落ちたまま、寒さに凍えてしまったのか……。
はてどうしたものか、ドキドキして触れない。ちょうど外に出ていたお向かいのパパと男の子を招き入れ、袋で屍を包んで運び出してもらった。「裏の緑道に埋めてきます」と、助かった。
以前、立川に住んでいたとき、⒉階のガラス戸に、よく野鳩がぶつかってきた。ぶつかった音の後、さらにドサッと床に落ちる音がして、ベランダを覗くと、明らかに気絶した鳥が倒れている。しばらくすると、自力で頭を持ち上げて飛び去っていく。ぐったり横になっている姿は、飛んでいるときよりも数倍大きく感じて、恐ろしかった。
年の暮れのこの出来事をLINE仲間に報告したら、反応が速かった。
「野鳥の死骸は絶対に素手で触っては駄目」「鳥インフルエンザのような感染症が死因の場合もある」「自宅の庭に埋めなかったのは正解」「メジロはつがいで行動するから、片方がかわいそうだわ」……
片手に乗るくらいの小さな塊だったが、きれいすぎる羽の色と、閉じた目が頭から離れない。