時代劇チャンネル
ひとり暮らしの友人女性が言うには、「時代劇チャンネルの契約をしたいのだけれど、うちのマンションできないらしいの」。古いマンションは、個々にケーブルテレビを引いてくるわけにいかないのだろうか。電気とか通信関連の部分は、私も含めた高齢女性おひとりさまの弱点だ。
私より少しだけ上の人たちは、時代劇が大好き。昔のテレビ番組は、週に何回も時代劇をやっていた。銭形平次、水戸黄門、遠山の金さん、大岡越前…確かに私も、高校生くらいまではよく観ていた気がする。でも今は、大河ドラマも含めて、ちょんまげとチャンバラのドラマはほとんど観ない。
80歳になろうという知人の旦那、少し身体が不自由なので一日中テレビをつけっぱなし、それも朝から晩まで時代劇チャンネル、なのだそう。観ていないのかと、リモコンを操作しようとすると、「消すな」と叱られるのだと。
バッサバッサ人を切り、振り袖の女性は「アレーッ」と倒され、「ワンパターンで面白くないし、腹が立つ」と、知人妻はぶち切れて訴えるから、「あなた専用のテレビ買えばいいじゃん」と軽くアドバイスした。すると、一ヶ月もたたないうちに、最新型のでかいテレビを買ったと、嬉しそうに報告してきた。旦那が入ってこない台所に、場違いの新品テレビをどーんと置いて、1人で好きな番組を観るようになったと。大好きな羽生結弦のプログラムも心置きなく堪能しているらしい。
多分、彼女、1人で決めて1人で選んで、大きな買物をしたのは初めてだと思う。その世代の専業主婦は、遠慮深くて従順で、我慢強いのだ。
時代劇もよし、フィギュアスケートもよし。誰に気兼ねすることなく、好きな時に、好きな番組を観て楽しめる生活が、一番だ。