空き家
昨日も今日も、朝から家全体が微妙に揺れる。嫌だな、また地震かと不安になっていたが、この揺れはご近所のお宅の解体工事が原因だとわかった。家屋を壊すショベルカーの爆音も聞える。
わが家から2本目の路地には空き家が2軒、向かい合っている。そのうちの1軒、こんもり植木に覆われていて気になっていた古家が、1週間ほど前からすっぽりシートで覆われ、窓や玄関が広く開けられていた。このお宅にどんな人が住んでいたのか、いつから、住む人がいなくなっていたのかはわからないけれど、通るたびに庭にも入り口にも草木が侵食していき、家屋敷の姿が見えなくなっていった。夜道もここで灯りが途切れるし、特に昨今の強盗ニュースのなか、物騒極まりない。
そのお宅、植木が切り取られ敷地の全貌が見えてくると、ご近所の中でもひときわ広い、わが家の3倍以上はあるのがわかる。もともとこの辺りの旧家なのかもしれない。そんな家を受け継いで、此処に暮らしていこうという相続人はいなかったとみえる。きっと3軒くらいの建て売りが建つ。
その家の斜め向かいの空き家は、もっと以前からロープで囲まれている。家は朽ち果てる寸前で、窓の木枠はとうに崩れている。こういう空き家が、ご近所には何軒もある。団塊世代のちょっと上、80後半から、90代の家主たちが、施設に入ったり、亡くなったりした抜け殻だ。
数年前に大リフォームしたばかりのお隣も、今年、あっけなく主を失って空き家のままだ。
わが家も、ご近所さんも、8割がたが私と同年齢の2人暮らしか、ひとり暮らしだから、遠からずそういう運命になる。持ち家ってなんだろう。