きょんきょんきょん

植木職人、主婦、不登校・発達障害・IQ130の母、旅すき、植物すき、書くのすき、ものづくりすき、にこにこ、いそいそ、と明るくすごしたい

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最近の記事

小説『SAUDADE #3』ブラジルで刻まれた記憶

 リカたちのボサノヴァのライブ演奏がはじまる。  砂浜を歩く足音のようなドラムの音。続いてギターがリズムを奏ではじめる。  店中にいる人たちの視線が、ボーカルのリカへ注がれる。  リカは、下を向き、瞳をつむり、ネックレスのロケットにキスをした。長いまつ毛の奥の目に光がともり、口がひらく。 E quen que as notas (ぜんぶの音が欲しくても) Re mi fa so ra si do (レ ミ ファ ソ ラ シ ド) Fica sem nenhuma (なにも残

    • 小説『SAUDADE #2』移民会社と違うブラジル、帰れなかった

       昔、移民船の笠戸丸で日本からブラジルへ渡るには約50日以上かかった。船内の環境は、どこも人だらけで密集し、不衛生だった。ブラジルの地へ到着する前に、船内で病気になり亡くなってしまう人もいた。  知らない者どうし励まし合いながらの渡航だった。  皆、新しい生活にむけて前途洋々だった。  実際、移民会社は、「ブラジルへ行けば何でも手に入る」と皆に説明していた。  ブラジルへ到着した一行に用意されていると聞いていた農地は、何もなかった。日本から乗ってきた船はすでに港を出航している

      • 小説『SAUDADE#1』ブラジルに渡った日本人

         ブラジルの赤道近い地域の昼の屋外の太陽は、痛いくらいに肌へ差し込んでくる。夕方になると、その太陽は暖かく包みこむように優しい日差しへとかわっていく。  長くのびる海岸線と平行につづく岩礁は、太平洋の波を大きく受け止め波打ち際の足元を柔らかく洗い流してくれている。  神戸の港町にあるブラジル料理のレストラン『SAUDADE(サウダーデ)』。海が正面に見える夕暮れ時のオープンテラスでは潮風が吹き込んでいる。金色の夕日が差し込む店内のテーブル席では、様々な国籍の客がセルベイジャ

        • 不登校児が経済的自立するってどういうことなんだろう

          うちの不登校三年目の小学生高学年の子供たち、 死にたい、もう、外に出たくない、など、 悲観的だった子たちが、 ゲームで世界が広がったという。  不登校支援員関係のひとたちから言わせると、 やはりゲームは依存の傾向もあるし、 弊害も多いので、お勧めできる環境ではなく、 時間を決めて行うほうがいい、 ゲームは両手離しで、どうぞ、 とは言えないという。  フリースクールでは、 ゲームも子供たちの世界のひとつとして、 好意的にゲームとの関りを推奨してくれる。  不登校親からする

          物の見方考え方

          現Panasonic、旧松下電器の創始者、 松下幸之助著。 1986年5月初版発行。 40年近く前のものだが、 人や物を大切にしている著者の 誠実さから学ぶことばかりで 古さや胡散臭さがまったくない。 『オランダに学ぶ』では、 無条件に18万円の年金が 約束されていることを例に、 オランダ人の勤勉さや、 道徳観の高さを述べている。 政府がたくさんお金を持っているから 年金を沢山支払うわけでなく、 税金として納めた一部分を均等分配しているからだと。 高速道路を百~百五十

          すぎゆく雲(超短編小説)

          暑すぎた日々が 終わりを告げている。 強すぎた日差しと、 ぬけるような青空の入道雲と、 むせあがる様な熱気が、 柔らかい日差しと、 ちぎれた綿菓子のような雲と、 爽やかな風に変わっている。 昼間は暑いのに、 朝晩は肺に入ってくる外気がやさしく、 起きた時、とても気持ちがいい。 ここ数年、体調が優れず、 仕事も辞めてしまったカノンは 息をひそめて気配を消すように暮らしていた。 秋の気配にカノンの野生が、 ひんやり涼しい風に起こされ、 なにする? どうなりたい? と、繰り返

          すぎゆく雲(超短編小説)

          人生の旅をゆく よしもとばなな著 読了

          いろんな旅の出会いを無駄にしない ばななさんの人生の切り取り。 自分までさもそこにいるような 感覚にさせてくれる。 外国にいても、 日本でも、 出会うものたちや 違和感を みのがさない。 海の堤防で、姉のサンダルが片方落ちてしまった 『十年以上はいている、色あせたブルーのビーチサンダル』 「あーあ」と、言い合って、あきらめかけたが、 姉は、「やっぱり取ってくるわ」 の一言と共にドボンと海に飛び込み 泳いでサンダルを拾い テトラポッドを登ってきた ぷっ、と笑った。 常識

          人生の旅をゆく よしもとばなな著 読了

          noteを習慣にしています

          短くても、簡単でも 毎日じゃなくてもnoteに書くことを習慣にしている。 わが子が学校にいけなくなってしまったこと、 不登校の現状、子どもたちの注意欠損や、 耳の聞こえの難しさ。 不登校児の親の立場になり勉強したこと。 頭で整理できないこと、 勉強していた小説のこと、 ひょんなことに遭遇した話など、 自分のADHDという個性による生きにくさも含め 書くと心がストンと落ち着く。 いろんな人からの「スキ」へ読みに行くこともおもしろい。 「スキ」が多いのは、深くさらけ出したも

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          ちゃぶ台を手に入れた

          何か月も探してちゃぶ台を手に入れた。 フリマサイトで見つけた。 価格は1500円。 前の持ち主は島根で売っていたものを取り寄せたと言っていた。 いろんな人の生活を支え続け、わが家にやってきた。 折り畳み式、円の直径70センチほどの小さな軽いもの。 子どもが絵をかいたり、私がPC使うときに支えてくれている。 小さな家で邪魔にならない。 使わない時は畳んで部屋のすみに置いておける。 これを考えて作った日本人はえらい。 丸い形なので、何人で囲んでも平等につかえる。 そばに座った

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          体がすくむフリージング体験

           不登校相談で、フリージングという言葉をはじめて聞いた。  自分ではどうすることもできない、体が動かなくなる「すくみ反応」のことをいうらしい。原因は、複雑に絡み合っている場合がほとんどだから、特定することはとても難しいという。  自分自身でも、これを経験したことがある。これは、自分や現在不登校の息子たちだけの症状かと思っていた。  私がフリージングするときは嫌な思い出のある場所や、嫌いなひとに会ったとき、テレビを見てても苦手なシーンではそうなる。  現在は大人になったので、

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          休園日の動物園って

           昔、休園日の動物園へいれてもらったことがある。  いつもは、見られて戸惑ったり、隠れたり、避けている動物たちが、檻の外にいるたったひとりの人間に、野生の顔をみせていた。特に、肉食動物のトラや、猛禽類の鷹や鷲、サルまで、こっちをじーっと見つめ、こちらにはこれない、とわかっていてもいい気持ちはしなかった。  私は、園内の樹木の観察でそこにいたのだが、生き物相手の飼育係は本気でかからないと大変だろうとおもった。

          休園日の動物園って

          ミーコ―のむ

          関西では昔、カフェオレはミーコ―とよんでいた。 昔は喫茶店で、「ミーコーちょうだい」で通じた。 ミルクコーヒーを略したもの。 仕事をするようになってからか、子どもを産んでからか、ヘルニアの手術をしてからか、いつからか忘れてしまったが、元気をだして動く前にはこれを飲む習慣になっている。 コーヒーとミルクをそのまま飲むより、パワーアップした味になる。砂糖は控えめにいれる。 いつも、特に夏の間は、これのおかげで動くことができた。 だが、たくさん飲めない。 カフェインを取りすぎると、

          自分のADHD.HSPの特徴

          まず、保育園、小学校、中学校、高校の授業中先生の話が聞き取れず、バカだから聞こえないんだ、と、思っていた。 戦いや、争いごとが嫌い。 外がまぶしい。 ひとと長くいるとしんどくなる。 必要な買い物をわすれる。 人の名前など覚えてもわすれる。 好きなことは寝食わすれる。 同じ曲を永遠にルーティンで聞いてると落ち着く。 一度にたくさんのことが難しい。 神経質。 大勢のなかにいると落ち着かない。 片付けがいまいち。 つめがあまい。 こだわりすぎて下手をこく。

          自分のADHD.HSPの特徴

          小学校行けなくて3年目の息子たち二人。母親は、行かないのか〜つて、無言の圧かけないで、明るい心でいればいつか自然といくようになる、ってよく聞くが、ほんとか〜?

          小学校行けなくて3年目の息子たち二人。母親は、行かないのか〜つて、無言の圧かけないで、明るい心でいればいつか自然といくようになる、ってよく聞くが、ほんとか〜?

          映画「パンズ・ラビリンス」を観て

           ファンタジー一色かと思ってみたら、なかなか、現実世界の方がスペイン内戦下が舞台なので、グロテスクな拷問シーンありでホラーとかだめな私には苦しいものだった。  しかし、現状の悲惨さに現実逃避する女のコの話ではなく、女の子の母親が戦争未亡人になり生きていく為に軍曹の子供を身籠る浅はかさの方が際だっていた。  軍曹と山中の家の基地の新しい家族の生活、主人公の女の子が森で出会った地底人との駆け引きによって自らの殻を破り新たな自分を取り戻すための試練にのぞむ姿、反乱軍と軍曹たちの戦い

          映画「パンズ・ラビリンス」を観て

          ひとうお(超短編小説)

           その世界へ帰れるのは、 世が等しく青に染まる時間だけ。  世界が今の姿になった太古の昔、海の生き物が、 陸へ上がった青の時間、陸から海へと帰る者たちがいた。  しかし、彼らは一度、陸の土に触れてしまったため、 体がもとに戻らず、腹から上はひとの姿、 腹から下はうろこのある、うおの姿になってしまい、 そのまま一生を終える者たちがいた。  ひとうおたちは、陸と海どちらにもなじむことができず、 青の時間、波打ち際へ現れることが多々あった。  うみぼうずは、これをふびんに思い、彼

          ひとうお(超短編小説)