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大学講義ワンショット6 別の惑星

嵐の中で、政治は本質を現わすのかもしれません。

「・・・別の惑星にいるようだ。」
Marina Hydeは、その異様なコミュニティーを観察して思いました*。
火星への移住計画を唱えるイーロン・マスクが、
その前に、地球を別の惑星に変えてしまう。
人々はハリケーンについて、現実と全く異なる会話を交わしています。

イーロン・マスクの観るハリケーンは、もはや自然現象ではない。
彼とその仲間にとって、それはバイデン政権が作り出した大惨事だ。
連邦政府や危機に対応する公的スタッフは、援助物資を強奪し、
災害を利用して住民を苦しめている。

いいえ、それは事実ではありません。

連邦緊急事態管理庁FEMAはこうしたフェイクニュースの拡散を懸念し、「噂への対応」というサイトを立ち上げました。
しかし、彼らの「噂」の爆発的増加はそれを圧倒します。
それどころか、FEMAのサイトを、政府による隠ぺい工作として攻撃しはじめました。

「確かに彼らは天気をコントロールできる」と共和党下院議員マージョリー・テイラー・グリーンは説明した。
マージョリーに対する常套的な反応は、まるで別の惑星にいるようだ、というものだ。Hydeは、彼女がそうだったらいいのに、と思う。

そのコミュニティーは、トランプにならって、地球温暖化を信じません。
温暖化は気象学者や連邦政府の創り出した妄想です。
気象観測データや自然現象を否定するだけでなく、
別の惑星コミュニティーは、自衛のために武装し、連邦政府職員や気象学者を敵視します。

気象学者への殺害予告。
救急隊員を狙撃せよ、という脅し。

しかし、公的機関が破壊されるとき、文明は急速に失われ、
レバノンになる。

Joumana Haddadが書きました**。

1975 年から 1990 年まで続いた内戦で、15 万人が死亡し、国は崩壊した。その後、主にヒズボラに反対する政治家・ジャーナリスト・活動家が何年にもわたって暗殺され、2006 年にはイスラエルとヒズボラの間で壊滅的な戦争、2019 年には経済崩壊が起きた。翌年、ベイルート港での史上最悪の非核爆発の一つにより、市街地の大部分が壊滅した。
レバノンは貧困、ホームレス、失業、不安、医薬品・電力・水供給の不足に陥った。

最近の紛争は、イスラエルの右翼過激主義、軍事的な不均衡、貪欲な拡張主義、無慈悲な戦争によってもたらされた。ヒズボラもまた、その超宗教的ビジョン、イランへの忠誠、そして長年にわたるレバノン国家の人質化によって、破壊をもたらしてきた。

この地獄のような破壊がヒズボラによる支配に対する唯一の解決策だなどとは受け入れられない。この容赦ない虐殺に代わる政治的手段はないという考えをわれわれは拒否する。
正義は罪のない人々の殺害を伴うべきではないし、復讐は決して平和をもたらさない。

*Marina Hyde, "Hurricane Milton has left two worlds in its wake. Elon Musk lives in one of them. The other is called reality" The Guardian, Fri 11 Oct 2024
**Joumana Haddad, "In Lebanon, We Took Pride in Our Resilience. Not Anymore." NYT Oct. 17, 2024

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