![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158274100/rectangle_large_type_2_6c772d712e1e9a36e313e96eef529db0.png?width=1200)
大学講義ワンショット5 米中対立の意味
アメリカ大統領選挙によって何が起きるのか? 何が変わるのか? そして、何が始まるのか?
トランプが敗北すれば内戦が起きるかもしれない。勝利すればウクライナは敗北し、NATOもWTOも空洞化する。分裂した世界において独裁国家が小国を威圧する。
それは、正直、わかりません。それらが、ありえない、とは言えないのです。
11月の選挙で大統領が決まります。しかし、アメリカと中国の政治経済体制がどのように変化するか、決まるわけではありません。国際秩序にとって、もっと重要な問題です。
Rana ForooharはFTで、アメリカを「新興市場Emerging Market」と認めました。
・・・米国が安定の拠り所ではなく、リスクヘッジすべき世界に安住している、と言った方が真実に近い。
不確実な政治、関税、輸出規制、制裁を含む政策の影響、米国企業に有利な財政刺激策。・・・企業が長期的に頼りにできる明確で安定したガイドラインや需要シグナルを欠く。
政治的ルールや規範を明確に定義・施行できない弱体化した制度。社会の二極化、政治的暴力、主要な政治的イベントから生じる経済的不確実性の増大、たとえば、終わりのない債務上限論争。
暴力が常態化している。およそ2日に1回起きる公共の場での銃乱射事件。
そして、考えます。
・・・経済と金融の不安定さにより、平均的な先進国リスクは平均的な新興市場リスクよりも急速に増大している。どうやら、私たちは皆、今や新興市場なのだ。
Angela Huyue ZhangはPSで、中国の「地方創生」を求めました。
いや、正しくは「地方への権限移譲」です。
・・・現在、中国は日本型のデフレと停滞、「失われた10年」に直面している。そして、デフレが長引けば長引くほど、反転のコストが大きくなる。
北京の支配層・中央政府は、日本のプラザ合意やバブル崩壊を避けるための政策を探究し、2008年の世界金融危機にみごとな対応を取りました。
なぜ日本病に対する「アベノミクス」の経験から学ばないのか?
北京は、債務の増大を嫌い、米中貿易戦争とデカップリングを嫌い、21世紀の先端産業のすべてにおいて主導権を握ることに賭けています。
アメリカやIMFなどが繰り返し求めてきた制度改革、労働者への再分配、社会保障システムへの国民的包摂による消費拡大、内需に依拠した成長モデルを、中央への権限集中や軍備拡大の障害とみて抑えているようです。
しかし、たとえそれが成功しても、貿易摩擦やバブルを再発するだけではないか。
米中の構造転換が進む困難な時期に、大国間の鉄壁の安全保障体制があれば、貿易や投資については交渉と協力の余地が得られるはずです。
21世紀の核・軍備管理、国境を築く21世紀のウェストファリア体制を合意することが重要です。