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騒音問題と民法 占有訴権

民法
(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

 法律は一番言いたいことを一番最初に持ってくるものです。で、それを補うようにどんどん項目が追加されていくものです。民法は民間人と民間人の取り決めを定めた法律のリーダーみたいな位置付けで、その法律の一番言いたいことがこれ。

公共の福祉とは
 詳しい説明は他所に任せるとして、ざっくり説明すると第一条は「世間の迷惑にならないようにしましょう」って感じの意味です。
 これに違反すると何かあるのか?って言われると直接これに違反するからと言って罰則があるわけじゃないです。じゃあ、役に立たないのか?と言われるとこの条文を元にしている法律もあったりするから無能ってわけじゃない。小学校の校長先生は現場で教えてるわけじゃないから役に立ってないように見えるけど、大人になると責任ある仕事ってわかるような感じでしょうか。

 現に困っている人からしたら「早く役に立つ情報をよこせ」ってところでしょうか。役に立たない駄文を並べるつもりは無いのでもう少しお付き合いいただきます。
 民法は民間人と民間人との取り決めを定めた法律なので、民間人同士で争いになりそうなことをあらかじめ定めてあります。残念ながら騒音に関することは定められてはいませんが。
 じゃあ使えないのか?と言われるとそうでもないのです。民法で定める物権の中の占有権に具体的な権利が定められています。所有権はよく耳にすると思います。所有権はその所有する物に対して法律に触れない限りは何をしてもいいという強力な権利です。使うのはもちろん売ろうが壊そうが好きにしてもいい権利ですが、所有権は手に入れるのはちょっと大変です。頻繁にやっていることなのでそうは思えませんが。例えば物を買ったりすると所有権は手に入ります。しかし落ちてる物を拾ったとしても所有権を手に入れたことにはなりません。
 対して占有権は現に物を所持しているだけで得ることができます。さっきの例で言えば、物を拾っただけでも所有権を手に入れることはできなくても占有権を手にすることはできます。
 民法には占有権を持つ者に対して保護する規定があります。

民法
(占有の訴え)
第百九十七条 占有者は、次条から第二百二条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。
他人のために占有をする者も、同様とする。

(占有保持の訴え)
第百九十八条 占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
(占有保全の訴え)
第百九十九条 占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
(占有回収の訴え)
第二百条 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。

占有保持の訴え
 すでに起こってしまったことで通常の使用が妨害されている場合に訴ることができる。例 隣のゴミ屋敷からゴミがなだれこんできて困った時
占有保全の訴え
 占有の妨害が起きようとしている時に訴ることが出来る。例 隣のゴミ屋敷が今にも崩れそうな時。
占有回収の訴え
 占有が奪われた時に「返せ」と訴ることが出来る。

 この中で「占有保全の訴え」が騒音問題で使える権利です。損害賠償も可能ですが、その場合には相手がそのことを知っていないといけないのでそのために内容証明郵便を使用する必要があるので一手間が必要です。

 占有権は不動産にも及びます。つまり占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは(騒音によって通常の使用が出来なくなるおそれがあるとき)、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
 その妨害の予防はそのまま「騒音を辞めろ」と迫ることです。損害賠償の担保は「次騒音を出したら損害賠償請求する」と約束する感じです。つまり、騒音を止めるか、騒音出したら損害を賠償しろ、と迫れます。

 占有訴権は民法の基本と言えるものなんですが、自分が相談した弁護士は二人いたけど二人ともこの話をしなかったのが気になりますね。

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