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カードからフィギュアまで。「不思議かわいい」作品ができるまで

「名刺やカードには、人となりや想いが詰まっているはず」その考えのもと、whooのご注文の中から気になった方のお仕事や考え方について、インタビューしてみることにしました。小さな紙の中にも宿る想いや美学は誰かのクリエイティビティを刺激してくれるかもしれません。今回は、造形作家の立花 未奈子さんです。

立花 未奈子|造形作家・フリーランスデザイナー。個人ブランドとして「CHIMNEY」「rök」を展開。企業でのフィギュア・ジオラマ制作やグラフィックデザインの経験を経て、フィギュアの制作技術を応用したアクセサリーやオブジェを発表。作品はminneで販売中。noteも開始。@takochin

フィギュア制作を活かした作品づくりで2ブランドを展開

CUBEサイズのカードに箔加工(左)とクリアニス加工(右)をしたカード。※撮影:立花さん

—カードのデザイン、とてもかわいくて不思議な世界観に魅了されました
ありがとうございます。今回は商品に添付したりお取り扱い店舗様へおいていただくためのブランドカードとして作成しました。
whooさんがスタートされた際にSNSで目にし、すぐにサンプルを取り寄せていたのですが、なかなか制作に着手できず…やっと利用することができました。

—それはうれしいです。現在どのような活動をされているのでしょうか?
メインは造形作家です。あとはフリーランスでずっとデザインの仕事をしていて、ちょこちょことグラフィックやWebの仕事を受けています。デザインすることは好きなので、創作活動とバランスとるためにやっているところもあって、今も続けています。

—作家活動では2つのブランドを展開されていますよね
はい。「CHIMNEY(チムニー)」と「rök(ローク)」です。
CHIMNEYはもう10年くらいやっているブランドです。もともと仕事や趣味でフィギュアを作っていたのですが、それを応用して何かできないかと思って始めました。個人的にアクセサリーが好きなので、フィギュアの作り方でアクセサリーや雑貨をハンドメイドで作り始めて、どちらかというとポップな世界観でやっています。
rökについては、技術を試しながらアート作品寄りのものを作りたいなと思って、CHIMNEYとは切り分けて、別ブランドとして始めました。

どちらも受注生産がメインですが関西を中心に委託販売もしています。あとはイベントに出したりとか。

—CHIMNEYは「煙突」という意味ですよね。rökはどのような意味なのでしょうか
rökはスウェーデン語で「煙」という意味です。煙突から出た煙のイメージで、CHIMNEYよりもっと自由に作るというイメージで、この単語を使っています。

—どちらもかなり商品の種類が多いですよね
はい。CHIMNEYは結構数を作っていて、rökはまだ2年目で数は多くはないのですが、去年は月に一作品くらい出すというのを目標にやっていました。結果的になかなかの量になっています。

—どのような作り方をしているのでしょうか
最初に簡単なラフを描いて、その中からこれ作りたいなというのを決めていきます。まず、石粉粘土、石の粉の粘土で原型を作ります。ゼロから立体物を作るんです。それからシリコンで型をとってその型に染めた樹脂を流して研磨して塗装して、コーティングして、という工程で、基本的にはフィギュアを作る工程と同じ作り方でやっています。

このようなたくさんのラフスケッチを描いているそう。この時点ですでに可愛くないですか?!

—すごく手間かかりますよね
そうですね。最初の一個を完成させるまでが時間がかかりますね。
あとはめっちゃ失敗します!アクセサリーだから強度を出すためになるべくパーツ分けをしないようにしていて、これはフィギュアを作られている方からすると無茶苦茶な作り方のようなのですが、そんなやり方というのもあってロスは意外と多いですね。

一度見たら忘れられない、個性豊かな作品たち

—特に気に入っている作品はありますか?
WebサイトのTopに使ってるのものはどれも気に入ってますね。猫の手鏡とか、カードにも使ったお化けのキーホルダーも気に入ってます。

—お化けもかわいいですよね。何かコンセプトがあるのでしょうか?
これは、女の子が仮装しているというテーマなんです。お化けというモチーフが好きなので、それをカラフルに生き物っぽく作ってみようと思ってこんな作品になりました。

愛らしいお化けのキーホルダー。確かに、よく見ると足がある・・・!

—では今までで人気の作品はどれでしょうか?
突風ちゃん」というブローチがあるんですけど、結構印象が強いのか、CHIMNEYを知らなくてもこれは見たことあると言っていただくことが多いですね。minneさんでピックアップしていただいたり、雑誌に載せていただいたこともあったので。これは今でもずっと人気ですね。

風に吹かれる突風ちゃん。一度見たら忘れられないかわいさとインパクトがあります。

あとは「かすみマッチ」というマッチのピアスですね。マッチの軸のところは染めてあって、先っちょは絵の具で塗装しています。軽くてつけやすいので、突風ちゃんと同じくらいずっと人気で作り続けています。

—これも変わったモチーフですよね。何でマッチにしようと思ったのですか?
マッチの形がかわいいなと(笑)。いろんな色で作ったらかわいいんじゃないかなと思って作りました。

マッチをかわいいと思ったことがない人でも、これはかわいいと思うはず。

「作ることが好きすぎる」新たな創作活動も開始

—商品を入れるパッケージもこだわっているんですよね
箱は既製品ですけど、パッケージに貼るシールを作ったりとか台紙をモノによって変えたりとか、それらも自分でデザインしています。とにかく作ることが好きなんです!

以前3Dのポストカードなどを作るメーカーで働いていまして、カードにレンズが貼ってあって、左右の目で見える角度が違うので立体に見えるというカードなんですけど、レンズ代が高いのでパッケージとかにお金をかけられなかったんですよ。
その時すでにCHIMNEYをやっていたので、仕事では作れない鬱憤をCHIMNEYで晴らしていたんです(笑)
「あれやりたいな」というのを自分で試してみる、というのが今も続いているという感じですね。

あとその会社では、CGではなく実物のジオラマを作るところからやっていて、それを写真に撮ってパソコンで処理してカードを作っていたんです。小さいメーカーだったので、企画からジオラマ制作、Photoshopでの加工や印刷データの作成など一通り経験したことも色々やるというのにつながっているかもしれません。

—カードのイラストも自作ですか?
イラストを描くのも好きなので自作しています。イラストをSNSにアップすると反応が良かったりもするので(笑)。イラストを使って、キャップとかウエア系のアイテムをオリジナルで作ってみたいな、などとも思っています。

—あと写真の撮り方も上手だなと思いました
whooの写真撮るのは楽しかったです!色々やりすぎてどうなんだろうとは思いますが、作品の写真も自分で撮っていますね。

SNSにもステキな写真をアップしていただきました。

—まさかWebサイトもご自身で作られたのですか…?
そうですね。色々やりたい病気なんです(笑)。あまり難しいことはできないんですけど文明の力を使って作ってます。
全部やりすぎていたのもあり、ロゴだけ、自分にない要素を入れたかったので友達に作ってもらいました。

ご友人に作成いただいたというCHIMNEYのロゴ。

—多才でうらやましいです!今後やってみたいことはありますか?
去年は企業さんのオフィシャルのキャラクターとのコラボだったりとか、依頼を受けて作るという機会が多かったので、今年は自分から好きなクリエイターさんに声をかけて、コラボで何か作るということに取り組んでいこうと思っています。
他にも、ここ数年でエンジニアやキュレーター等をしている友人ができ、自分一人では実現できなかった部分を補ってくれる人たちが増えました。その人たちに手伝ってもらって動くオブジェなど、より楽しい作品を作ろうと思って色々試作をしているところです。

9月に東京で個展をやるので、よろしければぜひ来てください。アクセサリーや置き物に止まらず、色々なアプローチをしたいと思い今から準備しています。

作品の世界観を表現できる2種類のブランドカード

両面に立体的なクリアニス加工で思わず触れたくなるカードに。

—今回はオリジナルデータで作成いただきました。カードのこだわりポイントはありますか?
以前のブランドカードは情報量が多く色数の少ないデザインのものを使っていたので、実物の世界観が伝わりかつシンプルに必要な情報を伝えられるもの、少し高級感のあるものにしようとデザインしました。

CHIMNEYはポップな世界観なので、裏にカラフルな写真を選び、ハンドメイドしている自分をイメージしたイラストをニス加工で浮き立たせて立体感も楽しめるものにしました。
rökはCHIMNEYより価格が高めのオブジェブランドなので、シンプルなデザインに箔をのせてで高級感を出してみました。

周りの人にもかわいいって言っていただいてます。箔は高いイメージがあったのですが、価格的にも個人で作るには有り難かったです。

中央にワンポイントの箔加工。シンプルなデザインが引き立ちます。

—箔やクリアニスの使い方が上手だなと思いました
白いお化けの写真の面に白いロゴの文字を乗せたので、そこがぷっくりしてたらかわいいなと思って試してみました。写真とロゴで質感を分けるのがよかったかもしれないです。
表はニス、裏に箔など裏表で違う加工ができようになるとさらに嬉しいです。

まとめ

とにかくモノづくりに対する圧倒的なモチベーションを感じました。またお話を聞く間、何度「かわいい」を連発したかわかりません。かわいいだけでなく、ちょっと変わったモチーフを使っていたり(身につけていたら「何これかわいい!」と言ってもらえそう)と不思議な世界観があるのも魅力に感じました。たくさんの作品が掲載されているWebサイトも素敵なのでぜひCheckしてみてください!

※写真は全てCHIMNEYrök Webサイト、及び立花さんInstagramTwitter より

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