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16から始まった英語

SNSを始めてから、割と頻繁にもらうのがこの質問。

英語を話せるようになりたいので、勉強法を教えてください!
英検はいくつ持っていますか?
英語はどれくらいで話せるようになりましたか?
おすすめの勉強法や参考書はありますか?

私はこの質問、結構苦手です。
私の勉強法がその人に合っているとは限らないし、そのせいで成績が落ちても私は責任を取れません。

これに限らずですが、財テクとか勉強法とか、そういう本人のお金や成績に関わるような質問は本当に苦手です。人生相談みたいなのも超苦手です。

私がプロのコンサルタントとかならまだしも、私は19歳の普通の学生で、質問をしてくる人たちの人生や財布に全く責任を持てない以上、無責任なことは言えないし。

なので今から私が書くことは、あなたの英語力の向上に繋がる保障は全くなく、ただ素人が体験談や私見を書いているだけにすぎないことを念頭に置いて読んでいただければと思います。


きっかけ

元々は英語には全く興味がなかった理系

びっくりする方もいるかもしれませんが、本来の私は基本的に理系です。英語!!とか国際!!とかには1ミリも縁もなければ興味もない人間です。

本を読むのは好きだったけど、中学受験の時の得意科目はずっと算数だったし、中学時代も一番成績が良かったのは数学でした。
将来の夢は子供の頃は医者、大きくなってからは生物学者。英語はむしろ嫌いでした。

ですが、高校でIB diplomaをとることを中学3年生の夏に決めて猛勉強、高校に入学してからが地獄の始まりでした。
IBDPでは、なんと全ての授業が英語で開講されていたのでした(知らなかった)。

崖から落とされたライオン

よくライオンは子供を育てるために親ライオンが子ライオンを崖から落とす、といいますが、まさにそれ。
私の場合、(親は受験に何も口出ししないタイプだったので)自分で勝手にIB入学を決めたので、自分で飛び降りたライオンなのですが笑

今でも覚えていますが、高校入学1日目、周りから聞こえるのは知らない言語ばかり。
横に座っている金髪碧眼のお母さんが子供と英語ですらない言語で話している(後から知ったのですが、ドイツ語でした)。

入学式後のオリエンテーションで、これから三年間一緒に過ごすことになる、と自己紹介しあった同期のIB生4人は、ドイツ人、オーストラリア生まれ、インター育ちの中国人など強者揃い。
文字通り号泣です。一緒に来た父親に大丈夫か?と心配されながら帰宅。寝れずに抱えた不安は的中しました。

今では笑い話ですが、入学して1ヶ月間の間で私が聞き取れた言葉はハローだけです。文学の授業、演劇の授業は特にキツくて、でも分からないのでもう一回言ってください、と言えるほどの英語力も勇気もなく、みんなの前で泣けるほど強くもなく、トイレに駆け込んで号泣。

何度も辞めたくなりつつ、なんとか続けてこれたのは自分が化学とか数学とかがすごくよくできたから。
元素記号や二次方程式の公式は万国共通、言語は関係ないので正直無双です。(IBはヨーロッパのカリキュラムなのですが、数学や化学などの理系科目は正直日本の方がずっと進んでいます)

高校入学直後、インターの先輩(日本人)とのLINEの会話
本当に苦労していました^_^

やっぱりアウェーでも自信を失わないために必要なのは数学などの言語が関係ないスキルだと思います。英語しかできない日本人だったら簡単に打ちのめされていただろうけど、数学や音楽など言語が関係ない強みがあれば戦えますし。
身も蓋もない話ですが、英語が喋れる人というのは英語圏に行けばいくらでもいるわけで、外見、芸術、数学、そういう言葉のいらない武器はやっぱりある程度必要だと思います。

そこからなんとか崖の下でもがいてファーストタームを終えました。

BBCとの出会い

じゃあどうやってそこから英語を伸ばしたかというと、BBCでした。BBCというのはイギリスの公共放送なんですが、これが私にすごく合っていました。

中学や小学校から英語学習をスタートする場合、絵本や子供向けアニメで英語力を得ることができます。
分かりやすいし、難しい語彙も使わないし。実際、英語力向上で子供向けのアニメなどはよく勧められていますね(ディズニーチャンネルとかシンプソンズとか)。

しかし、私のように高等教育の段階から英語を始める場合、もう基礎からやっている時間はありません。
授業では経済や歴史を勉強するのに、いくら日常会話で使える語彙やスラングを増やしたところで意味がないからです。

実際に配られた授業のルーブリック(評価基準)の写真
求められているレベルが高すぎて、基礎からやるどころの話ではなかったです。。。

その点、BBCは語彙のレベルも高校生が社会や経済の授業で使うエリアをうまくカバーしていたし、私のEnglish Bの先生はオックスフォードで勉強していたので授業もちょうどイギリス英語で、これが自分にとてもマッチしました。

私の高校の担任は元appleのエンジニアで高校教師に転職したユニークな先生だったんですが、彼はずっとNew York TimesかBBCを毎日見るよう生徒に口酸っぱく言っていて、まさにその通りだったなと思います。

経済の専門誌とかだったら難しすぎるけど、BBCなら世界中の情勢をカバーしていて、かつニュースなのでドラマなどと違って聞き取りやすく、語彙も高等教育レベル。
読むことも見ることもできる。(動画も記事も無料で見れます)
しかもスマホで見れますから、高校へ行く電車の中で10-15分見るのにもすごくちょうど良いわけです。

これのおかげで長いエッセイを読んだり、TOK(知の領域)という授業でいきなり戦争と科学について4000wordsで書け、と言われても対応できるようになっていきます。

デメリットとメリット

その学習方法で問題はないの?

大アリです。まず、基礎ができていないので感覚で普通に読む、書く、話すということができません。
どういうことかというと、ネイティブや子供の頃から英語で教育を受けている人は基本的に感覚で英語を使っています。
私たちも日本語を読んだり書いたりしているときに頭はたいして使っていないと思います。
なぜなら、基礎がしっかりしているので多少アレンジしたり応用の利いた文が出てきてもそのまま読めるわけですね。

デメリットはまずそれです。私の場合、リスニングは(嫌でも)周りも先生も英語で普通に授業を進めて行くので聞いていくうちに慣れたし、何を言っているのかわかるようになります。

問題はリーディング、ライティング。高校になるともう英語の基礎なんて教えてくれません。
だって日本の高校でも国語の時間に助詞助動詞の使い方、分類、主語述語、なんてやらないじゃないですか。そういう言語の基礎教育って中学、下手したら小学校で終わってるし。

私は基礎を飛ばしてしまっているので英語を読んだり喋ったりする時、大体感覚ではなく頭を使っています。
なので、ぶっちゃけるとRとLの発音の違いが未だに分かりません。3年間英語で教育を受けてても、です。基礎ができていないっていうのはそういうことです。

私は日経新聞で日本語を覚えたアメリカ人みたいなものなので、授業で必要なエッセイは書けても、スムーズに話したり文学を楽しんで読んだりすることはできないです。

なので、もしあなたが英語の習得を考えているのなら、というか英語を話すことを楽しみたいのなら、面倒くさくても基礎からきちんとやるべきだと思います。
子供なら勝手に感覚で覚えられるけど、高等教育の段階なら個人的にはそれはもう厳しいと思います。

科学の世界の公用語は、へたな英語(プア・イングリッシュ)です

福岡伸一

これは分子生物学の分野で有名な福岡伸一さんの本からの引用ですが、正直成績やビジネスのために英語を勉強するだけなら基礎は飛ばして良いと思います。

科学の世界には、(論文は基本的に英語で書かないといけないので)論文のためにしょうがなく英語を勉強して書いている科学者がいっぱいいます。
彼らの目的は英語を話すことではなく、英語はあくまで論文を書くためだけの手段なので、彼らの英語は多くの場合下手くそです。

私も正直それに近いです。私は自分の好きな研究や勉強をするために高校でIBに入って、そしたら授業とかが全部英語だったから仕方なく勉強しただけ、という感覚なので、自分的には基礎も発音もできてなくても、もう良いです。笑

だって私、RとLの発音の違い分かんないけど、論文は書けるし(IBDPではextended essayといって、卒業のために一本論文を書かないといけません。キモイですよね。泣きながら書きました)。開き直っています。

ただ、外国で暮らしたい、本を読みたい、コミュニケーションを取りたい、要は英語を使うことが目的ならしっかり基礎からやるべきだと思います。

「分子生物学の論文書きたいんだけど、英語で書かないといけない」みたいに英語を手段として使うだけなら全然基礎なんて飛ばしていいと思います。個人的な意見です。

でも結局は何のために学ぶのか、で自分で判断するしかないと思います。

重要なのは楽しむこと

長々と書きましたが、結局楽しめないとどんな学習も続きません。受験のために英語を勉強したけど、受験が終わった瞬間に全部忘れてしまった、というのはよく聞く話です。

私は友達に恵まれていたこと(IBの同期たちは私の英語の発音がどれだけ酷くても決して笑うことはありませんでした)、楽しかったことが大きなファクターだと思います。

どんどん英語を話したり書けるようになって、これまで理解できなかった先生の授業が理解できるようになっていくのは私にとって非常に面白いことだったので、それらの学習は私にとって全く苦ではありませんでした。

厳密に言うと、英語を学ぶこと自体は全く楽しくないし苦痛だったけど、それによって授業が理解できるようになったり、周りと話せるようになるのが楽しかった。英語を学ぶこと自体はまっっったく楽しくなかった。言語はただの手段だと割り切ってました笑

BBCも日本のニュースや新聞とは全く違ったので面白かったし、IBも自分が受けてきた日本式教育(みんなで板書して、ノートを提出して、暗記してペーパーテストを受ける)とは全く違ったので、それが非常に楽しくて面白かったのです。

学習方法には向き不向きがあり、私に合っていたからといってあなたに合うとは限りません。自分が楽しめる方法で勉強するしかないと思います。

まとめ

ぶっちゃけると、私にとって母国語は日本語だし日本育ちだし、英語は正直なところ必要だったからしょうがなく学んだ、という感覚に近く(だって授業も友達も英語なんだから、できないとしょうがない)、あくまで私にとって英語は手段であって目的ではないです。

なので、ただ英語を勉強したいとか受験英語の暗記方法を知りたいとか、英語が手段ではなく目的なら、専門の塾とかYouTubeとか見たほうがいいです。

ただ、良かったことは自分が理解できる単語が一つ増えたおかげで得られる情報や知識も増えたこと。しょうもない例だけど、たとえば前は日本のお笑いでしか笑えなかったけど、高校以降は英語のミームでも爆笑できるようになって、笑いの幅が広がったし。

理解できる言語が増えるってことは、笑いや情報や感動の幅も広がるってことです。あと日本語だと言いづらいことが英語だと言えたりします。
シェイクスピアを見て感動できたり、エミネムの歌詞に感動共感できたり、BBCのキレッキレの英国製皮肉に爆笑できたり。

人生観の深い話やシリアスな相談をするときとか、英語だと取り繕えるほどの英語力も表現力もない分ぽろっと言えたりします。

ただ、高等教育以降で 学問のために外国へ行く/外国教育を受ける 場合は正直勉強するべきポイントは英語ではないと思います。
例えば、もしあなたが心理学の勉強のためにイギリスに留学するなら、あなたが勉強するべきは英語じゃなくて心理学です。

何故なら中学を出てから学び始めた言語がネイティブに敵うことはまずないからです(長期間在住している、などの場合を除き)。「イギリス育ちのイギリス人より英語ができない」と落ち込むのは非常に時間の無駄です。

英語で戦うより言語関係ないスキルで戦った方が絶対にいいです。あなたがバイオリンのためにアメリカに留学するなら、英語じゃなくバイオリンで戦った方が良いです。おそらくあなたはバイオリンでは太刀打ちできても英語ではもうできません。これは私の経験に基づくアドバイスです。

二次方程式が解けたり、美人であったり、バイオリンが弾けたりすることは言語や文化に左右されないし、それは大きなアドバンテージになります。

また、割り切って通訳を使うのも手です。私の祖父はエンジニアで、イギリスへ駐在していたこともあったのですが、30過ぎて英語を学ぶのは無理だということで相手企業に通訳と運転手をつけてもらい、仕事も生活も全てそれで済ませていたとか。

はっきり言って、これが一番楽だし効率的です。無理して他言語を覚えるのは成人以降だときついと思います。私は15から始めましたが、それでもキツかったし、RとLの発音の違いが感覚で分かる子供やネイティブにはもう勝てないです。

もしあなたがある程度のお金、もしくは言語関係ないスキルを持っているならそれで戦うことを強くお勧めします。
そうでないのなら、時間がかかることを承知して基礎から英語を勉強するか、言語は手段であり、目的は別のところにあると割り切るかです。

長々と書いてしまいましたが、一説には耳が良い人は外国語もすぐ覚える、と聞いたことがあるので、上記は全て、ただ私が音痴で耳が悪いから起きたことかもしれないことはご承知ください。

※これらは全て私個人の感想であり私見です


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