出発の日 レジデンス備忘録#3
前日からものすごい緊張していて、荷造りもなかなかできなかった。でっかいスーツケースひとつに全ての画材を詰めなければならなかったので、何を持っていくべきかものすごく悩んだ。特に私はmixed mediaで作品を作るので、さまざまな画材や、紐、縫い物セット、グルーガンなどいろんなものが必要なのだ。持っていきたいもの全ては入らなかったが、量を減らして入れたりと、なるべくいろんな種類のものを使えるようにパッキングした。
レジデントアーティストの中で、電車で来たのは私だけだった。
ChaNorth Artist Residencyは何もない、かなりの田舎に位置しているので、
最寄りの駅からも車で20分以上かかる。みんな車で来ていた。
私は車を持っていないので、電車に乗って最寄り駅に迎えに来てもらう必要があった。
荷物を荷台に乗せてもらうためだけにパートナーに駅まできてもらい、(1人では絶対に無理な重さ)なんとかメトロノースに乗車。シティから離れてだんだん緑が多くなっていく様子をぼーっと眺めていた。ハドソン川が光っていて綺麗だった。
なんだか電車が遅れていそうだな、と思ったので、レジデンシーディレクターに連絡した。しばらくすると電話がきて、どれくらい遅れているの?と聞かれたので次の駅はPoughkeepsieらしい、と答えると、「そこからRhinecliffまでどれくらい?」と聞かれたが、わからないから調べないと…と答えると、"Don't worry…!"と言われた。なんだかそれが、すごく温かい一言に感じた。大丈夫だ、と思った。実はPoughkeepsieから最寄りのRhinecliff駅まではすぐ近くらしい。そんなに遅延していなかった模様。良かった。
重い荷物を転がし、なんとか駅舎の外に出ると、ディレクターがすでに来ていた。彼女の車に荷物を乗せて、レジデンシーへ向かった。
道すがら、Rhinebeckという街を通り過ぎたので、説明をしてくれた。ここに本屋があって、このレストランは高いけど美味しい、とか。そんな感じ。
その街を過ぎると、森の中にただの一本道の道路が走っているという状態。しばらく何もない道を走っていると突然レジデンシーがあった。
自分のスタジオと寝室のある建物に着くと、扉の前に自分の名前が貼ってあった。これはなんだか嬉しかった。
ニューヨークで学びアーティストとして活動するための資金とさせて頂きます。