断捨離されるIssueたちをUXライティングで救う
Lancers(ランサーズ) Advent Calendar 2020 18日目の記事です。
はじめまして。
ランサーズのデザイナー(アソビュー株式会社から出向中)長倉(@japannohaji)です。
正義感に溢れたタイトルにしていますが、壮大なヒーローストーリーを語るつもりはないのでご安心ください。小さな改善の話です。
ランサーズのデザイナーチームでは、現在 lancers.jp のUXライティングプロジェクトに取り組んでいます。チームは3名のデザイナーで構成されていますが、エンジニアのランサーさん(ランサーズに登録されているフリーランスの呼び方)の手を借りてガンガン改善を回しています。
10月21日からスタートして、UXライティングに関連するIssueの消化数、なんと168件!(2020年12月18日時点)プルリクエストも含まれるので、厳密には半分の84件の改善をしたことになります。2ヶ月弱でこの数。手前味噌ながら、すごくないですか…?
この取り組みを評価してもらい、11月の月間チーム賞を受賞することができました!これもひとえにご協力してくださっているランサーさんのおかげです。感謝感激です!
前置きが長くなりましたが、この記事では、UXライティングプロジェクトの事例をひとつご紹介します。
前段:UXライティングとは
It’s about designing the conversation between a product and its user.
UXライティングとは、製品とユーザーとの対話を設計することとWhat is UX Writing? | by Lisa Sanchez | Mediumで書かれています。
In many ways, it’s just writing, so don’t get thrown off by the name.
多くの点でこれはただ書くことなので、名前に惑わされないようにとも書かれています。
UXライティングと聞くと新しい概念で難しく感じる方もいると思います。しかし、つまるところソフトウェアに登場する言葉を書くことなので、昔から存在している行為なのです。ソフトウェアをつくる上で、ライティングは付きものなので、開発メンバーの誰かしらが言葉を書いているはずです。
その言葉がユーザー体験の良し悪しに影響を及ぼすことがわかり、昨今関心が高まっているだけで、本質は、利用ユーザーの気持ちに寄り添って、言葉を考えるというシンプルな手法であり、ソフトウェアをつくる人の身近にずっとある行為です。
断捨離されるIssueたち
前置きが長くなってしまいましたが、本題です。みなさんが所属する組織には、GitHub Issue内で塩漬けされているIssueはありませんか?もしかして、この年末の棚卸しタイミングで断捨離してしまおうかと思っていませんか?
「やったほうがいいけど調査や実装に工数がかかる」「他に遂行すべきメインプロジェクトがある」「事業のKPIに直結しない」などの理由で後回しになってますよね。
やらない意思決定も必要です。しかし、その中には、UXライティングを用いて解決できるIssueがあると考えます。
ランサーズで塩漬けされていたIssue
ランサーズには、仕事の依頼方式が大きく3つあります。プロジェクト方式、タスク方式、コンペ方式です。
それぞれ依頼作成中に下書きを保存できる機能があります。コンペ方式では、前回の下書き保存している場合、依頼作成画面を開いたタイミングにページ上部からすぐ呼び出すことができます👇
しかし、プロジェクト方式、タスク方式は、依頼作成画面からカテゴリと依頼方式を選択後、次の画面に進まないと下書きを呼び出すことができません👇
こんな複雑な仕様にも関わらず、依頼作成画面上では何の言及もありません。
Github上には「下書きが見つからない」Issueが散見され、どれも放置されている状態でした👇
さらにお客さま対応の現場メンバーからもSlack上で多数要望が寄せられていました。抜粋したものです👇対応の大変さがテキストで伝わってきます。
最小工数で最速の解決アプローチ
おそらく最善の解決策は、下書き保存した依頼が一覧できる画面の開発だと思います。「整理されたコンテンツ」「ストレスを感じないインターフェイス」「トレンドを反映したグラフィック」「気持ち良いインタラクション」などの条件を満たしていることが理想の状態でしょう。
しかし、新しいUIを設計したり、機能の裏側を改修したりするのは、なかなかの月日を費やします。それでは、現場メンバーも途方に暮れてしまいます。
最小工数で最速の解決アプローチ。それがUXライティングです。文言の変更と追加をするだけ。これで課題解決できたら費用対効果は高いです。
利用ユーザーの気持ちに寄り添って、言葉を考えます。変更後の文言です👇
Before
前回途中まで作成した依頼を引き続き編集できます
保存日時: 20--/--/-- --:--
👇
After
途中まで作成したコンペ方式の依頼があります。依頼を完成させましょう。
保存日時: 20--/--/-- --:--
プロジェクト方式、タスク方式の下書き確認方法→
改善で満たしたこと
・コンペ方式の下書きが保存されているのがわかる
・プロジェクト方式、タスク方式の下書き確認方法は、コンペ方式と違うことがわかる(FAQへの導線を用意)
・機能の事実を伝えるだけでなく、行動を起こすための言葉を添えてユーザーに考えさせない
説明を読んでもらう手間はユーザーに取らせてしまいますが、解決方法を自ら見つけるための道筋はつくれました。
電話窓口のメンバーが複雑な仕様を幾度も説明する時間は削減できるのではないかと思います。
リリースから1週間後に現場メンバーからうれしいフィードバックをもらいました。下書きに関する問い合わせは減っている実感があるとのことで安心しました。
小さな単位で改善を積み重ねる
このように小さな単位でいいので、改善を積み重ねていくことが大切だと考えています。
私は、3日坊主にならないように継続できる仕組みをつくりました。一日一善(1日1ライティング改善)と決めて、地道に進めています。今のところ毎日続いています👇
UIとUXを束ねて考えられることが多いですが、UIはあくまでユーザー体験を向上する一個のアプローチです。「ユーザー困ってるし、そろそろUIつくろう」と重い腰を上げる前に、ことばの工夫だけで目の前のIssueを解決できるかもしれません。
みなさんも断捨離されそうなIsuueを見つけて、UXライティングで解決できないか探ってみてはいかがでしょうか。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
最後になりますが、ランサーズではプロダクトを一緒に良くしてくれるエンジニア、デザイナーを募集中です。ご興味がある方は、ぜひ気軽に応募してみてください。
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